出立の朝、乳頭温泉は小雨だった。角館までは来た道を戻るのだが、途中で空が明るくなり、晴れ間こそないものの道も乾いてくる。この地方の幹線道路、国道13号線の大曲バイパスに出て南下する。横手盆地の中央部、十文字の道の駅で一休み。そこから無料の自動車専用道路、横手湯沢道路を走り、湯沢を経て雄勝(おがち)から再び一般道になる。幹線道路ゆえ、沿道の町々はほとんどバイパスが出来ており、ショッピングセンターやファミリーレストランなどが在って、車の旅の利便性はいいが、全国どこでも同じような情景なのが残念だ。
雄勝で13号線と分かれ、本日のハイライトと期待する国道108号線(鬼首街道)に入り、鳴子温泉郷への山岳ドライブを楽しむ。途中に秋の宮という温泉場があるものの、町らしい町はないのでほとんど車は走っていない。しかし、道は舗装こそしてあるものの整備されていないので、曲がりは厳しい。秋田・山形の県境、鬼首峠までは上り、ここをトンネルで抜けるとあとは鳴子に向かって下りになる。12時過ぎ日本こけし館に到着。こけしに特別関心があったわけではないので、一通り見学して、近くにある遥かに鳴子市街を見下ろすレストランで蕎麦を食した。近くで採った山菜のてんぷらを、サービスでつけてくれたのが嬉しい。
鳴子からは国道47号線を西に向かい、中山峠で再び山形県に入り、途中県道28号、29号に分け入って銀山温泉に、2時半頃到着した。
温泉街は道路のどん詰まり、渓流(銀山川)の両側にあるのだが、道路は狭く、限られた業務用軽トラックが通行できるだけ。一般車は入口の橋(白銀橋)の手前までしか入れず、それぞれの旅館が用意する狭い駐車場に停めて、そこからは歩きになる。予約の時に指示されたとおり、橋の手前で電話をすると、印半纏の番頭さんがやってきて案内をしてくれた。白銀橋から川沿いの狭いコンクリート道路を進むと、両側に3層、4層の木造建てが見えてくる。その建物を河岸で写生や写真撮影をしている人達がいる。皆のお目当ては何と言っても「おしん」の舞台にもなった重要建造物指定の「能登屋」、橋からは最も奥にある。我々の宿泊先はここではなく、少し手前にある「旅館藤屋」、ここはここで銀山温泉を代表する旅館のひとつなのだが、それについては次回に譲る。
(写真はダブルクリックすると拡大します)
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