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2014年9月19日金曜日

みちのく山岳ドライブ-20


-八幡平・十和田・奥入瀬・八甲田・白神山地・鳥海を駆け抜ける-

13.そば街道を経て(最終回)
法体の滝駐車場で次の目的地としてナビにセットしたのは、羽州街道(国道13号線)が最上川と並行して尾花沢に至る道筋の西側に在る大石田町のそば屋“きよ”である。この一帯に何軒かあるそば屋の一つで、ガイドブックで“遠方のファンも多い”とあったことから決めた。法体の滝からはおよそ120km位のところに在るから2時間半位はかかると読んだ。
出発したのは10時半過ぎ、到着予定時刻は1時。昼食に良い時間である。矢島街道(国道108号線)へ出るまでの道は、山間部を通る地方道、畑地や小集落が現れるが、ほとんど道路標識が無いので専らナビ任せで走る。本荘と山形市を結ぶ矢島街道はこの地方の準幹線道路のはずだが交通量は少なく長い松の木トンネルを抜けると13号線に合流。さすがにここは幹線道路、道路の整備が進みかなりの部分は自動車専用道に変わっているが全通していないこともあり、無料である。尾花沢北ICで専用道路から下り、西へ向かって最上川を渡ると、その支流に沿う狭い田舎道を南に向かう道に何軒か家はあるものの、商店街ではない。そんなところにポツンとそば屋が現れた。しかしここは“きよ”ではなく、ナビもさらに先へ進むよう指示する。しばらくすると“目的地周辺です”で案内が終わった。確かに駐車場があり道路を挟んで“きよ”が在った。しかし昼時だと言うのにクルマは一台も駐車していない。店の前まで行って分かったことは“定休日”!ガイドブックをよく確かめると、確かに木曜日は休みとなっていた。仕方がないので先ほど通り過ぎたもう一軒の所へ戻ってみた。10台くらい止められる駐車場に1台だけ空きがある。ナンバーは皆地元のものだ。これなら間違いないだろう。
“なんば”と言うこの店は、座敷へ上がるスタイルでほぼ満席になっていたが、1時近くなのでピークは過ぎている。直ぐに空き席が出来た。メニューには幾種類かあるのだが、周りを見るとほとんどの人はもりそば(板そば;箱の中にそばが盛られる)を食べている。もりだけではチョッと物足りないので、それに“げそ天”を付けたものを頼んだ。地元のそばで出来たそれはこしも弾力も確りしたもので、この一帯(寒河江辺りまで)がそばで知られていることに納得した。
そば屋出立は1時40分頃。次にナビにセットしたのは13号線沿いに在る道の駅“むらやま”、お土産調達が目的である。この後は13号線をさらに南下、天童のモービルSSに寄って最終の給油。前回(弘前)からの距離は494km、給油量は41.8kl、燃費は11.8km/L、白神や鳥海の山道が多かったことを考えればまずまずの効率と言える。
山形北ICで山形自動車道にのったのは3時頃、ここは2010年5月反対方向(酒田に向けて)に向けて走ったことがある。山間を適度にワインディングした道は空いており快適に飛ばし、村田JCTで東北道に合流。さすがに首都圏と東北を結ぶ幹線道路、平日遅い午後の上りは久しぶりに交通量が多くなる。国見SAで小休止、あとは260kmばかり一気に走り、首都高へ入る前の休憩は蓮田SAでとり、江北→小菅→葛西を経て湾岸に入り自宅最寄り出口の幸浦で下りて、自宅到着は19時50分。4日間、約1800kmのグランドツーリングを終えた。
総括;
先ず走路としては八幡平アスピーテラインが第一番。道路・高低差・ワインディング・交通量どれも走りを楽しむ条件は抜群だった。惜しむらくは山頂付近が濃霧だったことである。
景観ナンバーワンは何と言っても奥入瀬。ドライブウェイとしてよりも散策できたことで高得点。それに続く八甲田山を巡るドライブも好天に恵まれ快適だった。白神山地も訪れて良かったとは思うが景観は今一つ。白神ラインを日本海まで抜けられれば評価も変わったかもしれない。
宿泊・食事はフォレスタ鳥海。スタンダードの部屋だったが、周辺に建物が無く、鳥海山が見えるのが良かったし、レストランの雰囲気と食事内容、温泉全てに満足した。ここは通過点として宿泊するより何日か滞在するスタイルの利用が良さそうだ。
5月の東北ドライブは2010年の酒田→角館→乳頭温泉→鳴子→銀山温泉→山寺→蔵王に次いで2度目になるが、“ドライブ旅行”の視点で最も好ましいのは、自動車専用道も含め道が空いていることである。今回も首都圏周辺を除けば思いっきりスピードとハンドルさばきを堪能した。大震災から復興途上にある三陸方面は未踏破地帯、今度は紅葉のシーズンに出かけてみたい。
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-完-


長い間ご覧いただき、ありがとうございました。

2014年9月10日水曜日

みちのく山岳ドライブ-19


-八幡平・十和田・奥入瀬・八甲田・白神山地・鳥海を駆け抜ける-

12.鳥海から天童へ
今度のドライブ旅行全体を検討している際、鳥海山周辺の見所として日本海を一望できる“鳥海ブルーライン”が先ずクローズアップされた。この場合ホテルから県道58号線を西へ向かいそこへ取り付くことになる。ところが出発前の情報によれば、年初の大雪の影響でこのルートに通行止めの所があることが分かった。国道を利用すれば行けないことはないのだが、それでは時間がかかり過ぎる。そんな訳で日本海眺望は諦め、東側から攻める可能性を調べ、その後は来るとき利用した国道108号へ戻り、そこから東北地方中央部を通る主要道、国道13号線に出て南下、真室川、新庄、尾花沢、東根、天童を経て山形北ICで山形道に入る道筋を選ぶことにした。ただこの段階では鳥海山の東側に駐車展望できる場所があるかどうかは分かっていなかった。
ホテルをチェックアウトする際、「ここから鳥海山へクルマで上り、駐車できるところはあるか?そこから13号線に出るルートにお奨めの観光スポットはあるか?」と聞いてみると「一番近い駐車場は5合目の祓川(はらいかわ)ヒュッテです。周辺の見所は花立牧場、桑の木合湿原などがありますが、矢島街道(108号)の南へ出るなら、法体(ほったい)の滝がお奨めです」と教えてくれた。
出発は8時40分頃、しばらくはクルマが行き交える道だったが、上りに入るとほとんど一車線、舗装も粗く残雪が至るところで迫る道に変わっていく。こんな所で対向車に出会ったらどうしようと緊張しながらの紆余曲折、30分ほど走ると比較的広い駐車場に辿り着いた。山登りやスキー客の車が10台近く駐車しているが、一台を除いて人気は無く、周辺にも人影は見えない。周囲は一面雪で覆われている。雪原の先に2階建ての建物が在る。どうやら祓川ヒュッテらしい。厚い雪の上を恐る恐る歩いてそこまで行ってみたが、ここにも人の気配はない(あとで調べると、素泊まり小屋で常駐の管理人は居ないとのこと)。
小屋の先が登山ルートになっていることは標識で分かるが、雪が残る湿原に木道が延びて、さらに先はブッシュ、雪、岩が少しずつ勾配を増しながら広がっているだけ。展望が開けているのは東側、朝の太陽で雪面は明るいが靄で山なみは今一つキリッとしない。20分ほどヒュッテ周辺を散策して次の観光地法体の滝に向かう。
しばらくは来た狭い道を戻り、三差路で東南へ新しい道を進む。この道は下りで幅もあり対向車の心配はないが、所どころ“落石注意”の掲示があり、実際小石があちこちに散らばっている。滝の見える駐車場には10時前に到着、先客は1台だけ。休憩所の先には草が刈り込まれた河原が広がり、その先に滝が見えている。
法体とはこの地を空海が訪れた際不動明王が現れ、それに拝礼したことからきているらしいが、特にそれと関わるような歴史的なものが残っているわけではない。滝の高さや幅も取り立てて特色があるわけではないが、日本名滝百選の一つに数えられている。どうやら紅葉のシーズンの滝を彩る景色の素晴らしさが評価されたようだ。
つり橋を渡り滝の上流へ上るルートがあるので、しばらく上流に向かってみた。“熊”と赤字で書かれた警告を見て、先に進むことは止め滝口に下りて、そこからの鳥海山を写真に収めて、この地の観光を終えた。11時前ここを発ちあとの予定は“そば街道”へでて昼食摂るだけである。
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(次回;総括;最終回)

2014年9月4日木曜日

みちのく山岳ドライブ-18


-八幡平・十和田・奥入瀬・八甲田・白神山地・鳥海を駆け抜ける-

11.フォレスタ鳥海
最終の日行程を考えると、3泊目は秋田・山形の県境に近いところにしたかった。酒田は一度泊まっているから他の場所が良い。翌日は少し山道を走りたい。ここから鳥海高原がクローズアップし、適当な宿として猿倉温泉のフォレスタ鳥海を見つけた。“全室から鳥海山が見える”とリゾートホテルとして口コミの評判が良かったからである。林の中に一棟だけポツンと在るのも気に入った。
夕刻ホテルに到着したが、少し離れた駐車場にはほとんど車が止まっていない。玄関前も広々としたスペースがあり、どこでも止められる。近い方がいいので適当な所に駐車してフロントへ。平日のせいかロビーにも土産物コーナーにも客は見かけない。
4階の部屋はスタンダート・ツインだが昨日のビジネスホテルと違って広々している。窓の下から裾野にかけてはブナ林が広がり、謳い文句のように西日が射しこむ窓の先には逆光の中に暗くなってきた鳥海山が迫る。申し分ない部屋だ。
部屋にユニットバスもがあるが、ここは当然温泉大浴場だ。早速出かける。床・壁は全て石造りで山側はガラス張り、外には無論露天風呂。誰一人いない大きな湯船に浸かると、チョッと大げさだが「日本人に生まれて良かったなー」と言う気分になる。これだけは海外旅行では先ず味わえない。
部屋で、ビールを我慢して一休み。夕食は7時から1階のレストランで摂る。床・天井は木造り、庭に面したガラス壁を通して、ライトアップされた木立に囲まれている。客は総て二人連れ、4,5組しかいないので、適度に席も離れて静かだ。料理はシニア向けの“美味少量「奥郷懐石コース」プラン”と言うのを事前予約しておいた。しかし、席について“お献立”を見ると洋食のフルコース以上に品数がある。「大丈夫かな?」と一瞬心配なる。先ず食前酒で前菜を始める。次いで刺身・山菜あんかけ茶碗蒸しで生ビールに移る。やはり長距離運転の後はこれが一番。千畳敷で昼食を摂っている時、グループ旅行者が飲んでいるのを見て以来「着いたら」の思いがやっとかなう。2杯目は赤ワインに切りかえる。実は今日は44回目の結婚記念日なのだ。家内は飲まないが乾杯する。ポークのアスパラ巻き、魚のグリル、和牛ステーキ、どれも上品な味付けで量も適量。最後の当地名物稲庭うどんも確り片付けられた。“美味少量”看板に偽りなしの内容であった。
朝食も他の宿泊先と違いバイキングではなく、キチンと洋食が供される。新鮮な高原産の牛乳が美味しい。
朝食の後ロビーを徘徊していると壁に掲げられた写真にフッと目がいった。それは皇太子ご夫妻がここにお泊まりになったことを記念するものだった。今回は八幡平とここ2ヵ所でご皇室の方々と同じ所に泊まったことになる。良い想い出が出来た。
29日は朝から晴天。駐車場であいさつを交わした若いカップルは、これから山歩きをするのだと言う。新緑や残雪の残るこのシーズン、本来は何泊かしてリフレッシュする所なのであろう。もう一度今度はゆっくり過ごしに来てみたい所であった。
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(次回;鳥海から天童へ)

2014年8月23日土曜日

みちのく山岳ドライブ-17 -八幡平・十和田・奥入瀬・八甲田・白神山地・鳥海を駆け抜ける-


10.鳥海へ-2
白神ラインが日本海に突き当たる岩崎を過ぎても海岸沿いの単調な道は変わらない。交通量は少なく周辺にときどき小集落が現れるものの人影は疎らだ。左側は山地、右側は海。田圃は全くなく、小規模な畑地が散在するような景観が続く。地方をドライブしている時いつも沸いてくる疑問がここでも出てくる。「一体どのように生計を成り立たせているのだろう?」「沿岸漁業で獲れた海産物や野菜などを近くの都市(弘前、能代など)へ供給するだけでやっていけるのだろうか?」「それとも“日本キャニオン”などと言う看板があるので、白神と併せて観光で食べているのだろうか?」 こんなことを考えているうちに街道名にもなっている大間越(おおまごし)の町を抜け、しばらく走ると秋田県に入って、県境に在る道の駅「八森」で小休止する。どうやらハタハタが名物のようだ。
八森で休憩の後10分くらい南下するとやっと平地が開けてくる。能代平野に入ったのだ。能代と聞いてすぐに思い浮かべるのは“大火”である。ここは1949年(昭和24年)と1956年(昭和31年)、2度も大火災で市街地がなめつくされている。後者は高校生であったからよく記憶に残っている。それもあるのか、道路は広く、よく整備されているが、町の風情は何か軽薄な感じだ。もっともこの風景は最近の地方中小都市共通で、街中を通る旧道とは別にバイパスが設けられ、そこに商業施設が並ぶ、クルマ社会への転換を象徴する典型的なパターンともいえる。
町の特色をつかめぬまま道は秋田道の北の始点、能代南ICにつながっていく。この道はやがて東北道に至り首都高まで達するのだが、うれしいことにかなりの部分が一般国道扱いで無料になっている。今回有料だったのは琴丘森岳ICから日本海東北道の秋田空港ICまでの間だけだった。無料区間は基本的に片側1車線だが交通量は極めて少なないので追い越しの必要はほとんどなく、先を急ぐのに差しさわりは無い。さすがに米どころ、左右に見事な水田が広がり、右側の遥か先には八郎潟干拓で出来た大潟村を遠望できる。秋田南ICで今度は日本海東北道に乗り換え、さらに交通量の少ないこの道を南下する。先ほどまでの平地が山がちになり、切通しやトンネルの多い、変わり映えのしない地方自動車道をしばらくひた走り、由利本荘ICで自動車道を下りる。
ここからは国道108号線(矢島街道)を南東に向かう。この道は真室川を経て山形へ通じる道だ。5時前、買い物にでも出かけるのだろうか、女性ドライバーの軽自動車が結構多い。やがて由利高原鉄道の矢島駅を中心に開ける矢島の町に入る。ここからの道取りには注意が必要だ。ナビには今夜の宿泊先フォレスタ鳥海をセットしてあるものの、出発前に入手した情報では、鳥海山の麓の道路は年初の大雪で、各所で通行止めになっている。ナビに現在の道路状況がどこまで反映されるのか分からないので、道路標識や看板で確認することが不可欠だ。幸い5月下旬の空はまだ明るい。先ず矢島の町から直ぐに山に分け入る道をナビは採らず、さらに直進してから山に向かうルートを指示してくる。随分遠回りのようだが、それに従うとあとは人家もまばらな山道を何度も変えながら上っていく。夕日をバックにした鳥海山が見えてはいるが、ホテルの案内表示を見つけることが出来ない。「大丈夫か?」と思っていたところ、やっと広い道に出て、その先にホテルへの道標があらわれた。ホテル到着は5時半、チェックイン予定時刻ピッタリであった。本日の走行距離;334km。白神を除けば走りの一日だった。

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(次回;フォレスタ鳥海)

2014年8月20日水曜日

みちのく山岳ドライブ-16 -八幡平・十和田・奥入瀬・八甲田・白神山地・鳥海を駆け抜ける-


10.鳥海へ
出来れば暗門橋から西に向け日本海まで白神ラインを抜けたかった。道もここから本格的な山岳道路になるし、時間的にもかなりショートカットになる。その分男鹿半島を廻る可能性も生まれるからだ。しかし暗門橋の先は確り通行止めのバリケードが掲げられていた。
予定していた残りの選択肢は二つ。一つは東北道の大鰐弘前ICまで戻り、南へ向けて鹿角八幡平まで走り、一般道に下りて田沢湖、大曲を経て秋田道の大内JCT、由利本荘ICに出るコース。もう一つは岩木山の西ふところを北上し鯵ヶ沢で日本海に出て海沿いの国道101号線を南下するルートである。第一案は時間的にはゆとりがあるものの2010年の“奥の細道ドライブ紀行”とダブルところが多いので、厳しいスケジュールが予想されるが、未知の土地を少しでも味わっておきたいので、第2案を採用することにした。もしチェックインタイムに大幅に遅れる恐れがある場合は秋田道を途中から利用すればいい。
白神のアクアグリーンヴィレッジ暗門を出発したのは11時過ぎ。先ず西目屋村役場まで来た道を戻り、そこから県道204号線を岩木山に向かう。弘前に直結する県道28号線に比べ道幅は狭く荒れているが、ほとんど走るクルマがいないので短い距離だが存分に山岳ドライブを楽しめる。やがてT字で突き当たると眼前には岩木山。ここから岩木山環状線の県道3号線(百沢海道)を北上する。ここも交通量は少なくのどかな景色の中を快適な運転が続く。鯵ヶ沢市街の少し手前で大間越街道の鯵ヶ沢BPに入り西に向かってしばらく進むと右側に日本海が開けてくる。昼食予定地千畳敷到着は12時半。2件ある食堂の一軒に入る。トラック運転手や作業服を着た人などが多いから、必ずしも観光食堂ではないようだがメニューにある定食は結構いい値段だ。一番安い焼き魚定食を注文したが1400円もした。
千畳敷出発は13時半。今夜の宿のチェックインは一応5時半、ここからの距離はまだ240km位あるのでナビ設定に自動車道利用を指定したところ、能代南ICで秋田道に入る案が出てきたのでこれで行くことにする。しかしそこまでまだ一般道を90km近く走らなければならない。チョッとホテル到着時間が気になってくる。と言うのは直前に得た道路情報に、その辺りも今年の大雪の影響で未だ不通個所が何カ所かあることが報じられていたからである。暗くならなければいいが・・・。
この地方を走る五能線は“波被り線”として有名だが大間越街道はそれと並行する。取り敢えず黄金崎と言う温泉のある岬を目指して走る。道の右側はいつも海、初夏の日差しは強く、キラキラ輝く海面を眺めながらの運転は快適ではあるが、今まで走ってきた山道に比べれば些か単調。しばらくするとナビは国道を離れ岬の温泉に向かう道を採るよう指示してくる。案内に従って辿り着いたところは、予想していたような岬の先端ではなく、広い駐車場を備えた、不老不死を謳い文句にした、巨大な入浴・宿泊施設であった。先を急ぐわが身には関係なし。あとでそれを話した人に「あそこまで行って温泉につからなかったのですか!?」と言われたから、それなりの名所だったのだろう。再び街道に戻って少し行くと、白神ラインと出会う岩崎を通過した。通行可能であればおそらく1時間くらい短縮できたのではなかろうか。通ってきた道の景観や道路状況を振り返り、通行止めが残念でならない。
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(次回;鳥海へ;つづく)

2014年8月14日木曜日

みちのく山岳ドライブ-15


-八幡平・十和田・奥入瀬・八甲田・白神山地・鳥海を駆け抜ける-

9.白神山地-2
白神山地の総合観光施設であるアクアグリーンヴィレッジ暗門の案内所で入山携帯地図をもらい散策に出たのは11時前。来るとき渡った暗門大橋を戻り、すぐ右に折れて暗門川に沿う道をしばらく進むと休憩所が現れ、そこから今は閉鎖中の「暗門の滝歩道コース」と「ブナ原生林散策コース」が始まる。我々は一応大きな8の字を描く一周2kmのブナ林コースを選んで回ることにする。案内図には1~2時間となっているが、距離や高低差から考えて1時間足らずで周れそうだ。直近のコースでも周ってきたのだろうか、小規模な女性主体の高齢者のグループが戻ってきたところで、あまりしんどそうに見えない。「辛ければ途中でショートカットしよう」こんな気分で歩き始める。
取っ掛かりはチョッと急な登りだが丸太で作られた階段は登りやすく、それほど距離もない。直ぐにブナ林に入り木漏れ日の中を進んでいくともう前後に人は居らず、時々小さな案内表示が現れる他に人工物は何もない。嘗て歩いた同じ世界(歴史)遺産の熊野古道とはその点で趣が全く異なり、自然保存に良く気配りされている。しかし、道半ばまで進んだとき、数人の人が何か作業をしている。近づいてみると道が崩れ落ちており、その補修作業をしているのだ。どうやら自動車が走れる白神ライン、そして出発点を同じとする「暗門の滝」ルートはこのような道路破損が大規模に起こっているらしい。さらに進んで暗門の滝へつながる分岐点にはロープが張られ立ち入り禁止の警告版がぶら下がっていた。
道はアップダウンと曲折を繰り返してさらに林の中に分け入っていく。すると初めて前方からやって来る人に出会う。挨拶をすると「この先に暗門への道はありますか?」と問われたので、通行禁止になっている旨答えたが、そのまま先へ進んでいった。
林の中には小さな滝や渓流があり、全体に水分の多い地質であるが、歩行に差しさわりがあるほどではなく、森林の清々しさが満ち溢れている。ほぼ折り返し地点を過ぎたと思われるところで先ほど「暗門ルート」を問いかけてきた人と再会する。やはり“通行禁止”で踏み入ることに躊躇したようだ。その人が「あそこの案内板には熊が引っ掻いた傷があったでしょう」と言う。山歩きの経験者らしく、そんなところをきちんと見ているのだ。そんな話を聞いた後で、注意していると黒い糞らしきものが道の近くに散見される。もう暖かくなってきているのでその辺を徘徊している可能性は十分考えられる。これはあとで聞いたことだが、この付近には親子の2匹連れが棲みついているのだと言う。しかし、人を襲うようなことはなく、かえって人の気配を感ずるとむこうの方で接触を避ける行動をとるとのこと。
戻りルートの最終段階で20~30人の中学生と行き交った。どうやら地元中学の授業のようで先生がしきりに植物の説明をしていた。世界遺産の中の勉強はきっと彼らの記憶に長く残るだろう。
東西20km、南北8㎞位ある山地の極々一部に過ぎない散策路を僅か1時間足らず駆け巡ったに過ぎないが、印象深い山歩きだった。
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(次回;鳥海へ)

2014年8月7日木曜日

みちのく山岳ドライブ-14


-八幡平・十和田・奥入瀬・八甲田・白神山地・鳥海を駆け抜ける-

9.白神山地
青森県を走ろうと決めたとき、当初は下北・津軽両半島を考えたが、海岸路ばかりで変化に乏しいのと、日数的にも一日余計に必要なこともあって方針変更し、我が国世界(自然)遺産登録第一号の白神山地を目指すことにした。広大なブナの原生林が世界遺産に登録された理由は、“人手が入っていない”ことが評価されたと言う。その自然の中へクルマで踏み込むことにためらいがなかったわけではないが、主要ルートとなる白神ライン(県道28号線)は、山岳ドライブ愛好者の間で代表的な“酷道・険道”の一つとしてよく知られているところだし、遺産指定地域外の北側を走るので「まあ良しとしよう」と詳細検討に入った。
弘前を起点にしたこの道(県道28号線)は日本海に向けて西南西に向かい、全ルートの半ばでクランク型に一度北に転じて津軽峠付近で再び西を目指し、陸奥岩崎で日本海に沿う国道101号線に交わる86kmの険わしい道である。特に西半分はほとんど未舗装の狭隘な状態で、天候の影響を受けやすく(実際今現在この部分は大雨の影響で通行止めになっている)、走れるのは連休明けから10月末位までの間である。自宅出発直前、今年の大雪の関係で全通は6月20日頃との情報は得ていたが、いくつかの変更プランを準備しつつ、「もしかして」の期待を持って、出来るだけ白神山地に接近することにした。
5月28日(水)朝起きるとホテルの部屋から岩木山が青空の中にくっきり美しい姿を見せている。出発は8時半、先ず予定したモービルのSSに向かう。東北道鶴巣SSからこの弘前SSまでの走行距離は丁度400km、給油量は38Lだったので燃費は10.5km/Lとなるが、昨日はほとんど山岳走行だから決して悪い数字ではない。
市内を抜けるとナビは白神山地に発し、弘前を経て五所川原で日本海にそそぐ岩木川と並走する県道28号を採る。岩木山をはじめ山並みが遥かにのぞめるものの沿道にはリンゴ畑が点在、道は平坦でクルマの往来も少なく走り易い。道の様子が変わってくるのは市内から15kmほど行った西目屋村役場辺りからである。先ず、道路の拡張とバイパス工事がしばらく続き埃だらけの片側交互の一方通行が現れる。どうやら観光用の目的らしい。それが終わるといよいよ山道に入る。右側に湖(美山湖)が現れ、上りがきつくなるとともに、舗装状態は悪く道幅は狭まり、避難所以外ではすれ違いもできない。しかし、村役場付近で先を譲った地元ナンバーのワゴン車は、女性ドライバーだがハンドルさばきは見事だ。とにかく遅れないように付いていく。目指しているのはアクアグリーンビレッジ暗門という総合観光施設(観光案内所・宿泊・温泉・売店・食堂)だ。山岳部を抜けるまでここ以外に人が常駐するところは無い、交通・観光の拠点である。
先行バンに続き一車線幅の橋を渡って、ビレッジ暗門到着は10時40分。施設も駐車場もなかなか立派なもので、村役場付近と結ぶシャトルバスの停留場があり、10数台のクルマが駐車していて、山歩きの装束に身を固めた観光客もそこここに見かける。
早速案内所に出かけ、道や観光情報を仕入れる。やはりここから先の道は依然通行止めの状態にあり、一旦弘前方面に戻り日本海側に出るしかないことがわかる。それどころか、山地散策も大雪や雨の影響(復旧工事)で1時間程度の回遊ルートしか歩けないとのこと。徒歩観光の目玉、暗門の滝(多くの観光客の目的はここだが片道1時間もかかるので、後の計画もあり最初から予定に組み込んでいなかった)にも近づけない。幸いビレッジは遺産登録地域に最も接近しており、散策路は地域内に在るのでその片鱗に触れることはできる、と言う。我々にはこれで充分だ。
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(次回;白神山地;つづく)

2014年8月3日日曜日

みちのく山岳ドライブ-13


-八幡平・十和田・奥入瀬・八甲田・白神山地・鳥海を駆け抜ける-

8.弘前-2
前回弘前城を訪れたのは20年近く前、桜のシーズンでものすごい人出、時間的な制約もあり通り抜けに近い見物であったから、城の全容はまるで記憶にない。今回は6時過ぎ、有料エリアも解放され、夕闇が迫りくる中、見かける人はちらほら、ジョギングで駆け抜ける人などと行き交う程度である。外堀に面した東門から入り広い道を折れ曲がりながら西へ進むとさらに内堀が在り、朱塗りの橋を渡る。そこから先が有料エリアだが既にチケット売り場は閉じられ出入りは自由。北へ向かう坂を登ると天守閣に至る。建城時(1611年)は5層であったようだが今は3層、国の重要文化財である。そこから再び西に曲り緩やかな上りの道を進むと、南北に広がる崖になり、下には内堀・外堀、その先に城下の街並、遥か彼方に夕日をバックに津軽富士と称される美しい岩木山のシルエットが遠望できる。
弘前藩は5万石に満たない小藩だが、南北約1km、東西600Mの敷地の広さは相当なもので、しばらく住んだ御三家の和歌山城より広いような感じがする。それに西に開ける展望は、司馬遼太郎が日本7名城の一つと言ったと伝えられることに納得できるものだ(ただし他の6城がどこなのかWikipediaで調べたが、ここばかりが出てきて、不明。現在江戸時代以前の天守閣が残る城は12か所しか無いようなので、その中から選んだのではなかろうか)。
7時の夕食予約時間が迫ってきたので、今度は繁華街に近い追手門を目指して薄暗くなってきた城郭内を歩く。外敵を防ぐのだろう、道は何度も折れ曲がり植物園に沿った人影の全くない道を南へ進む。やっとのことで門を出ると、その辺一帯は弘前の官庁街、目の前は市役所。明治期の洋館の面影を残す、青森銀行記念館なども近くに在るが、もう写真は無理だ。
お城に沿う道を東に向かい繁華街中心部にある郷土料理店「杏」に着いたのは丁度7時、何の変哲もない雑居ビルの一階、下足の一角以外は板敷で真ん中に囲炉裏(さすがこの季節、火の気はないが)、左右の壁に沿う形で座卓と座布団がならべてある。明らかに観光客と見える数組のグループが食事を始めている。一人客は囲炉裏を囲むカウンター席があてがわれ、全席埋まると4,50人は入りそうだ。一品料理もあるが面倒なのでセットメニューで頼む。無論生ビールは欠かせない(日本酒の好きな人は地酒だろうが)。料理では大きなホタテの貝柱(刺身)、のど黒(焼物)、比内鶏の串焼きなどそれなりに郷土色を感じるものもあったが、調理・味付けに素朴と言うか今一つ工夫がない。総じて平凡な内容でチョッと期待外れ。食事の間にも何人か客が入って総勢15~6人。
7時半頃和服の若い男性が一人外からやってきて下足と囲炉裏の前に座り、簡単な口上(演題の説明)を述べて演奏に入る。グループか少なくとも二人の合奏・掛け合いを予想していたので、何となく寂しい気分になる。壁に貼られたポスターによれば、この地方の大会で優勝した有望若手と書かれているが、一人での演奏に、TVなどで観た津軽三味線の迫力はなく、あとは上手いかどうかだが、これは聴きなれないものに判断は難しい。それでも何人かの女性客(中高年)は演奏の合間に傍へ行って褒めちぎっている。30分ほどの演奏が終わりしばらくすると、総ての客が席を発ちアッと言う間に我々だけが取り残された。帰り際に「桜やねぷたのシーズン(今はねぷた)はどうなの?」と聞いてみたら「入れ替え制です」の答え。完全に観光客向けの店で、値段も一見さん価格と言っていい。帰りのタクシーで琴三弦を嗜んだことがある家内に「今日の三味線はどうだい?」と質したところ「ほとんど素人!」との厳しい評価。ガイドブックでは持て囃されているが、人に薦めるところではなさそうだ。
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(次回;白神山地)