工場に20年勤務し、今回の大震災・原発事故とは比ぶべくも無いが、何度か大きなトラブルや火災に遭遇した。可燃物・危険物を扱うことが言わばその使命である工場なので、日常業務の裏側には非常時業務のための組織やその運用手順が定められており、唯一その時のための組織といえる消防保安課を除けば、役割は日常業務と深く関係していた。
例えば、消火班は装置の運転部門(当該装置担当以外の)、渉外・広報班は総務部門、救護班は福利厚生部門、私の組織(計測・制御・情報担当)は伝令班と言うような具合である。これらの非日常組織が、工場長を長とする防災組織として動くのだが、生産・出荷業務の緊急調整、装置の異常時特殊運転や設備の保守、資材の準備などは日常組織としての業務も多々あるので、班長(主として課長)は二つ(日常・非日常)の役割を担わなければならない。しかし、相互の役割が関係深いこともあって、仕事がダブルになる感覚は無く、割とスムーズに処理することが出来た。
今回の震災・津波・原発事故複合災害における政府の動きを見ているとき、首相、官房長官を始めとする何人かの大臣が前面に出てくるのに比べ、省庁の次官・局長級はほとんど顔を見せない。明らかに政治主導を演出しようとする態度が見え見えである。しかし、現場で奮闘している自衛隊・消防・警察(これらは非常時業務が通常業務ともいえるが)・自治体職員などを見ていると、それぞれの専門部門(つまり省庁)が実際の仕事に精通し、非常時にも対応できる組織になっていることがよくわかる。
危機管理の法体系さえ理解していない(と思える)大臣がしゃしゃり出るよりは、優秀な官僚・専門家の方が遥かにクールな対処ができるに違いないし(総理が東電に乗り込んで怒鳴り散らすなど、ほとんど狂乱状態に等しい)、国民の信頼も得られる。
政治家のやるべきことは、専門家に謙虚に学び、予算処置や仕事の優先度を決めたり、従来の省庁の縄張りを変えたり、(非常時の)法体系の解釈を臨機応変に扱うことに責任を持つことであろう(存在感だけPRして;蓮舫の節電担当、辻元のボランティア担当など、肝心の責任を自ら取ろうとする姿勢がまるで伝わってこない;海江田経産相、北沢防衛相)。
(本報をもって一先ず“大震災”関係は完といたします)
2011年3月25日金曜日
2011年3月22日火曜日
決断科学ノート-66(東北・関東大震災-5)
この度の震災を“国難”と捉えるリーダーは多い。その自然災害の規模の大きさだけでなく、国の政治、財政・経済、社会(高齢少子化)環境や安全保障などが大きな転換点にあるときに起こったことが、その感を一層強めている。
そこで菅首相が打ち出したのが“挙国一致内閣”提言である。しかし、自民党・公明党に歯牙にもかけられず、構想は挫折した。
このノートの通奏低音ともいえる下地には、第二次世界大戦時の英国における、政治および軍事OR適用によるリーダー達の決断がある。そして当時のチャーチル政権は当に挙国一致内閣であった。また、これに先立ち1931年のラムゼイ・マクドナルド内閣も挙国一致内閣で世界経済恐慌に立ち向かっている。しかし、いずれの場合も決してすんなりそれが実現したわけではない。
後者は英国初の労働党内閣が経済政策で閣内不一致となり、党首であるマクドナルドが離党して、保守党・自由党と作り上げたものである。前者はナチスドイツが西方戦線で電撃戦を展開する中、チェンバレン首相が労働党に挙国一致内閣を持ちかけたものの、拒否され下野、チャーチルによってそれを実現している。同じ保守党出身の首相ながら、チェンバレンが宥和政策をとっていたのに対し、チャーチルがそれに早くから反対だったことが労働党の協力を取り付ける鍵となったのである。
一党独裁の国家(ソ連、ナチスドイツ、中国など)でもない限り、簡単には挙国一致内閣など成立しないのが歴史である。わが国における初の挙国一致内閣は斉藤実内閣(1932年)であるが、これは政党政治が政局に終始し国民から愛想をつかされ、陸軍が政党内閣を拒否して作った内閣である。今の民主党・自民党の姿と全く変わらない。このことを菅首相周辺は知っていたのであろうか?
尖閣諸島問題で味噌をつけ(逃げ回った)、参議院選挙に破れ、完全に詰んだ状態で起こった“国難”。このドサクサを延命に使う好機と捉えて“挙国一致”などといっても、誰もついてこない。
マクドナルド、チャーチルともに政治家としての実績が充分あり、反対党・政敵に一目置かれていた人物である。マクドナルドのように党を割ってでも自らを中心とする連合が可能かどうか試すか、チェンバレンのように潔く去るかしか“挙国一致”の選択肢は無い。彼にはそれだけの人望もないし度胸も無いだろうが。
そこで菅首相が打ち出したのが“挙国一致内閣”提言である。しかし、自民党・公明党に歯牙にもかけられず、構想は挫折した。
このノートの通奏低音ともいえる下地には、第二次世界大戦時の英国における、政治および軍事OR適用によるリーダー達の決断がある。そして当時のチャーチル政権は当に挙国一致内閣であった。また、これに先立ち1931年のラムゼイ・マクドナルド内閣も挙国一致内閣で世界経済恐慌に立ち向かっている。しかし、いずれの場合も決してすんなりそれが実現したわけではない。
後者は英国初の労働党内閣が経済政策で閣内不一致となり、党首であるマクドナルドが離党して、保守党・自由党と作り上げたものである。前者はナチスドイツが西方戦線で電撃戦を展開する中、チェンバレン首相が労働党に挙国一致内閣を持ちかけたものの、拒否され下野、チャーチルによってそれを実現している。同じ保守党出身の首相ながら、チェンバレンが宥和政策をとっていたのに対し、チャーチルがそれに早くから反対だったことが労働党の協力を取り付ける鍵となったのである。
一党独裁の国家(ソ連、ナチスドイツ、中国など)でもない限り、簡単には挙国一致内閣など成立しないのが歴史である。わが国における初の挙国一致内閣は斉藤実内閣(1932年)であるが、これは政党政治が政局に終始し国民から愛想をつかされ、陸軍が政党内閣を拒否して作った内閣である。今の民主党・自民党の姿と全く変わらない。このことを菅首相周辺は知っていたのであろうか?
尖閣諸島問題で味噌をつけ(逃げ回った)、参議院選挙に破れ、完全に詰んだ状態で起こった“国難”。このドサクサを延命に使う好機と捉えて“挙国一致”などといっても、誰もついてこない。
マクドナルド、チャーチルともに政治家としての実績が充分あり、反対党・政敵に一目置かれていた人物である。マクドナルドのように党を割ってでも自らを中心とする連合が可能かどうか試すか、チェンバレンのように潔く去るかしか“挙国一致”の選択肢は無い。彼にはそれだけの人望もないし度胸も無いだろうが。
2011年3月20日日曜日
決断科学ノート-64-1(訂正)(東北関東大震災-3-1)
先の「阪神淡路大震災における自衛隊出動」記事に関し、不正確な点・誤りがありました。これらに関し、当時勉強会を主宰されていたFKDさんから補足、訂正の情報をいただきました。ここに追加・訂正を行い、誤りを記載したことを深くお詫びいたします。
なお、FKDさんはランチェスター競争戦略に詳しい経営コンサルタントであるとともに長年立教大学大学院で危機管理を講じており、今回の震災に関してもこの立場から興味深い記事を、ご自身のブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/hfukuda24)に掲載されています。是非アクセスしてみてください。
1)世論・マスコミ叩かれ政府もやっと出動命令を出す。その後の第三師団は福知山や姫路の部隊、八尾の航空隊などが3ヶ月以上にわたり救難活動に当たることになった。
(訂正)
兵庫県庁は防衛出動要請をまったく考慮しておらず、防衛出動要請担当部門を交通安全部(だったと思う)にしており、誰も、それを知らなかった。第三師団が、それを知り、同部にデンワする(デンワは通じた)、いたのは同部の係長。そこで、デンワで、災害出動要請を係長に要求し(怒鳴りつけ?)、係長が「ハー」とか「ヒー」とか答えたのを、「災害出動要請」と認識し、出動・・・・(だったと思う) なお、伊勢湾台風で愛知県の県庁が機能せず、災害出動が遅れたことを教訓に、大災害時には独自の判断で出動できるきていがあったはずだが、それは忘却の彼方・・・(だったと思う)。阪神大震災以降は、もっとしっかりとした独断で出動できる規定がつくられたハズ。
2)自衛隊は後方も含めて総数(空・海を含む)40万弱である。
(訂正)
自衛隊定員(実数はこれより少ない)陸上15万2000、海上4万5000、航空4万7000、以上合計25万4000
なお、FKDさんはランチェスター競争戦略に詳しい経営コンサルタントであるとともに長年立教大学大学院で危機管理を講じており、今回の震災に関してもこの立場から興味深い記事を、ご自身のブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/hfukuda24)に掲載されています。是非アクセスしてみてください。
1)世論・マスコミ叩かれ政府もやっと出動命令を出す。その後の第三師団は福知山や姫路の部隊、八尾の航空隊などが3ヶ月以上にわたり救難活動に当たることになった。
(訂正)
兵庫県庁は防衛出動要請をまったく考慮しておらず、防衛出動要請担当部門を交通安全部(だったと思う)にしており、誰も、それを知らなかった。第三師団が、それを知り、同部にデンワする(デンワは通じた)、いたのは同部の係長。そこで、デンワで、災害出動要請を係長に要求し(怒鳴りつけ?)、係長が「ハー」とか「ヒー」とか答えたのを、「災害出動要請」と認識し、出動・・・・(だったと思う) なお、伊勢湾台風で愛知県の県庁が機能せず、災害出動が遅れたことを教訓に、大災害時には独自の判断で出動できるきていがあったはずだが、それは忘却の彼方・・・(だったと思う)。阪神大震災以降は、もっとしっかりとした独断で出動できる規定がつくられたハズ。
2)自衛隊は後方も含めて総数(空・海を含む)40万弱である。
(訂正)
自衛隊定員(実数はこれより少ない)陸上15万2000、海上4万5000、航空4万7000、以上合計25万4000
2011年3月19日土曜日
決断科学ノート-65(東北・関東大震災-4)
震災後の問題として、被災者の救援、原発事故に次いで、物資不足がある。直接的被害がほとんど無かった地域(特に首都圏)での衝動買いが需給のバランスを著しく乱しているようだ。基本的に石油製品を含めて、通常の需要ならこんなパニック状態には陥らないのだが、大都会とその周辺の人は社会的な衝撃に極めて弱い。別の見方をすれば、昔から体制批判ポピュリズムの支持基盤であり、政府を信用しない傾向が強い所である。地縁・血縁が薄い近郊在住者(新興住宅地や大団地などの住民)は何事も自分の周辺だけしか(それとマスメディア報道;関心を呼びそうなテーマを針小棒大にしがち)情報が無いので、風評に影響されやすい。したがって政府やマスメディアが“冷静に”と訴えてもなかなか事態は収まらない。
個人的に身近な石油製品に関する現状など、信じられない状態である。確かに、関東地区でもコスモ石油千葉製油所の火災はLPG球形タンクの爆発があり、決して軽微ではないが、その他の製油所(新日石根岸、出光千葉、東燃ゼネラル川崎など)は安全に緊急異常停止しただけで事故を起こしたわけではない。点検後は直ぐに(一週間以内に)稼動するし、製油所には充分製品在庫もある。
加えて、最近の石油業界は需要低下もあり精製能力は過剰で、どこを止めるかが切実な問題点になっているのである。また、原油は中東の政情不安があるものの、直近の問題として1973年の石油危機のように、供給が絞られたり価格が高騰しているわけでもない。
このような事情は新聞にも書かれているのだが、政府・マスメディアの説明の仕方に問題があるように思う。先ず、現在の政府は残念ながら仮免許運転者(素人)と見られており、誰からも信用されていない。首相や経産大臣が語るよりエネルギー庁長官にでもしゃべってもらった方が説得力がありそうだ。また、マスコミは石油不足が、真に憂慮されるのは東北地方であること(この地方唯一の新日石仙台製油所の火災;精製能力は17万バーレル/日;全日本の5%以下)をはっきりさせ、あたかもそれが全国に及ぶような混乱を生じさせぬよう報じ方を考えるべきである。
東北地方への製品輸送には問題が山積みである。鉄道・道路の問題の他に港湾が相当被害を受けていること、特に油槽所のタンクがかなりやられているので、船舶による大量輸送はその受け入れ先が限られる。またガソリンスタンドも被害を受けているので、ローリーで運んでもどこでどのように荷降ろしするのか問題だ。
東燃和歌山工場は、しばらく使っていなかったドラム缶出荷設備(今では希少価値)を動かし、トラック輸送もするようだ。これなら被災地にそのまま置いてくることが可能になる。
トラック物流に関しては、自車の燃料の問題も出てくる。中間点に給油基地を設けたり、場合によってコンボイを組ませ、それにローリーを随伴させるような策も考えるべきだろう(電撃作戦から学ぶことが多い)。
どんな問題解決策も、従来の法規や所轄官庁の枠を超える柔軟な対応が求められる。そこにこそ政治家の力を傾注すべきである。
個人的に身近な石油製品に関する現状など、信じられない状態である。確かに、関東地区でもコスモ石油千葉製油所の火災はLPG球形タンクの爆発があり、決して軽微ではないが、その他の製油所(新日石根岸、出光千葉、東燃ゼネラル川崎など)は安全に緊急異常停止しただけで事故を起こしたわけではない。点検後は直ぐに(一週間以内に)稼動するし、製油所には充分製品在庫もある。
加えて、最近の石油業界は需要低下もあり精製能力は過剰で、どこを止めるかが切実な問題点になっているのである。また、原油は中東の政情不安があるものの、直近の問題として1973年の石油危機のように、供給が絞られたり価格が高騰しているわけでもない。
このような事情は新聞にも書かれているのだが、政府・マスメディアの説明の仕方に問題があるように思う。先ず、現在の政府は残念ながら仮免許運転者(素人)と見られており、誰からも信用されていない。首相や経産大臣が語るよりエネルギー庁長官にでもしゃべってもらった方が説得力がありそうだ。また、マスコミは石油不足が、真に憂慮されるのは東北地方であること(この地方唯一の新日石仙台製油所の火災;精製能力は17万バーレル/日;全日本の5%以下)をはっきりさせ、あたかもそれが全国に及ぶような混乱を生じさせぬよう報じ方を考えるべきである。
東北地方への製品輸送には問題が山積みである。鉄道・道路の問題の他に港湾が相当被害を受けていること、特に油槽所のタンクがかなりやられているので、船舶による大量輸送はその受け入れ先が限られる。またガソリンスタンドも被害を受けているので、ローリーで運んでもどこでどのように荷降ろしするのか問題だ。
東燃和歌山工場は、しばらく使っていなかったドラム缶出荷設備(今では希少価値)を動かし、トラック輸送もするようだ。これなら被災地にそのまま置いてくることが可能になる。
トラック物流に関しては、自車の燃料の問題も出てくる。中間点に給油基地を設けたり、場合によってコンボイを組ませ、それにローリーを随伴させるような策も考えるべきだろう(電撃作戦から学ぶことが多い)。
どんな問題解決策も、従来の法規や所轄官庁の枠を超える柔軟な対応が求められる。そこにこそ政治家の力を傾注すべきである。
2011年3月17日木曜日
決断科学ノート-64(東北・関東大震災-3)
阪神淡路震災の2ヵ月後、当該地区担当の陸上自衛隊第三師団(司令部伊丹)師団長の話を、こじんまりした勉強会で聞く機会があった。3月末停年退官することもあり、当時の状況を近しくうかがうことが出来た。
当日師団長は朝食も終わり官舎から出勤直前であった。直ちに電話連絡で出動準備態勢を整えるように指示。司令部に到着したときにはほぼ各駐屯地とも準備を完了していた。しかし、いくら待っても県知事からも政府からも出動要請・命令は来なかった。
マスコミはこの出動の遅れを責めることになるのだが、事実は以上のような経緯なのだ。当時の総理大臣は社会党の村山富一氏である。自衛隊を「暴力装置」と断じた前官房長官と同類である。県知事もそれを慮ってか、出動要請に躊躇したようである。世論・マスコミ叩かれ政府もやっと出動命令を出す。その後の第三師団は福知山や姫路の部隊、八尾の航空隊などが3ヶ月以上にわたり救難活動に当たることになった。
今回の震災では県知事・政府の出動要請・命令も早く、あのときに比べればかなりましだが、5万、10万を軽々しく口にする首相は、長期的な作戦を考えたのであろうか?自衛隊は後方も含めて総数(空・海を含む)40万弱である。拙速は良いのだが、これでは第一線が崩れたら後に予備は無い(初めて召集のかかった予備役は数が知れている)。ここにも戦略を考えるスタッフ(知恵袋)の無きに等しいことを痛感させられる。
当日師団長は朝食も終わり官舎から出勤直前であった。直ちに電話連絡で出動準備態勢を整えるように指示。司令部に到着したときにはほぼ各駐屯地とも準備を完了していた。しかし、いくら待っても県知事からも政府からも出動要請・命令は来なかった。
マスコミはこの出動の遅れを責めることになるのだが、事実は以上のような経緯なのだ。当時の総理大臣は社会党の村山富一氏である。自衛隊を「暴力装置」と断じた前官房長官と同類である。県知事もそれを慮ってか、出動要請に躊躇したようである。世論・マスコミ叩かれ政府もやっと出動命令を出す。その後の第三師団は福知山や姫路の部隊、八尾の航空隊などが3ヶ月以上にわたり救難活動に当たることになった。
今回の震災では県知事・政府の出動要請・命令も早く、あのときに比べればかなりましだが、5万、10万を軽々しく口にする首相は、長期的な作戦を考えたのであろうか?自衛隊は後方も含めて総数(空・海を含む)40万弱である。拙速は良いのだが、これでは第一線が崩れたら後に予備は無い(初めて召集のかかった予備役は数が知れている)。ここにも戦略を考えるスタッフ(知恵袋)の無きに等しいことを痛感させられる。
2011年3月16日水曜日
決断科学ノート-63(東北・関東大震災-2)
昨日原発緊急事態に関する政府の発表が、“小出し”であることを危惧する意見を書いたが、ますますその感を深めている。現実に生命の危険がないとしても、最悪のケースを想定した防止・避難対策を早目に準備する必要があるのではないか?
ドイツではメルケル首相が「日本政府は事態を隠蔽している」と批判しているし、ワシントンポストの電子版は「防止策をあきらめたようだ」と報じている。
政府の説明は、いわば前大戦における大本営発表と同じであるが、前回はミッドウェイ敗戦を隠し、今回は過少評価で、マスコミも確り報道管制を布かれているような気がしてならない。と言うよりも当事者の東電と設備を建設した業者以外、保安院や学者も含めて“ほとんど現場の実態を理解できていない”状態なのではなかろうか?官房長官の報告を聞いているとそんな気がしてならなし、初めてメディアの前に現れたとき冒頭「想定外」を口にした東電社長を信ずるわけには行かない。
外国の震災救援隊員にも被爆者(軽微なようだが)が出ている現在、国のプライドもあろうが、IAEAをはじめとする、海外の専門家を現状説明の場に入れて、実態を明らかにして、適切な対策を講じてもらうことが切に望まれる。
ドイツではメルケル首相が「日本政府は事態を隠蔽している」と批判しているし、ワシントンポストの電子版は「防止策をあきらめたようだ」と報じている。
政府の説明は、いわば前大戦における大本営発表と同じであるが、前回はミッドウェイ敗戦を隠し、今回は過少評価で、マスコミも確り報道管制を布かれているような気がしてならない。と言うよりも当事者の東電と設備を建設した業者以外、保安院や学者も含めて“ほとんど現場の実態を理解できていない”状態なのではなかろうか?官房長官の報告を聞いているとそんな気がしてならなし、初めてメディアの前に現れたとき冒頭「想定外」を口にした東電社長を信ずるわけには行かない。
外国の震災救援隊員にも被爆者(軽微なようだが)が出ている現在、国のプライドもあろうが、IAEAをはじめとする、海外の専門家を現状説明の場に入れて、実態を明らかにして、適切な対策を講じてもらうことが切に望まれる。
2011年3月15日火曜日
決断科学ノート-62(東北・関東大震災-1)
TCS-プロジェクトに関する連載を中断し、3月11日2時46分発生した東北・関東大震災に関する、リーダーの行動について、しばらく記してみたい。
日本は地震国である。その為の備えは国家安全保障の重要な一要素であるが、地震予測・判定に科学者が関わる組織は出来ているもの、政治的判断を含めてトップの知恵袋になるような科学者は官邸にいたのだろうか?それとも(一応)理系出身ゆえにそのような存在は不要と考えているのであろうか?報道で見る首相や官房長官の言動を見ると、どうもそのようなブレーンが居るとは感じられない。それは引き続いて起こった原子力事故においても同じである(確かに保安院と言う組織はあるが、これは一行政機関に過ぎない)。明らかに両人は、専門家(科学者・技術者)のまとめたものを読んでいるに過ぎず、科学と政治が一体となった大胆な発想に乏しい。
例えば緊急事態を宣言した後の退避指示の範囲が、3km→10km→20kmと如何にも小出しで、戦争における悪しき戦術、逐次投入を思い起こさせる。
早い段階で原子炉事故の経験豊富なロシア(チェルノブイリ)、米国(スリーマイル)の経験者を呼ぶことなども、国内の単なるその分野の専門科学者とは異なる判断材料を得られたのではなかろうか?
地震の事後対策にも種々の科学的知識(医療・輸送・ユーティリティなど)が必要である。それぞれに所轄の役所はあるが、その上に立って素早い決断・指示できる体制を作り上げためにも、政治に強い(ごく少数;数名の)科学スタッフを身辺に保持することを期待したい。科学戦であった第二次世界大戦に際し、チャーチルにはリンデマン(オックスフォード大)が、ルーズヴェルトにはバンネバー・ブッシュ(MIT)が居たように。
日本は地震国である。その為の備えは国家安全保障の重要な一要素であるが、地震予測・判定に科学者が関わる組織は出来ているもの、政治的判断を含めてトップの知恵袋になるような科学者は官邸にいたのだろうか?それとも(一応)理系出身ゆえにそのような存在は不要と考えているのであろうか?報道で見る首相や官房長官の言動を見ると、どうもそのようなブレーンが居るとは感じられない。それは引き続いて起こった原子力事故においても同じである(確かに保安院と言う組織はあるが、これは一行政機関に過ぎない)。明らかに両人は、専門家(科学者・技術者)のまとめたものを読んでいるに過ぎず、科学と政治が一体となった大胆な発想に乏しい。
例えば緊急事態を宣言した後の退避指示の範囲が、3km→10km→20kmと如何にも小出しで、戦争における悪しき戦術、逐次投入を思い起こさせる。
早い段階で原子炉事故の経験豊富なロシア(チェルノブイリ)、米国(スリーマイル)の経験者を呼ぶことなども、国内の単なるその分野の専門科学者とは異なる判断材料を得られたのではなかろうか?
地震の事後対策にも種々の科学的知識(医療・輸送・ユーティリティなど)が必要である。それぞれに所轄の役所はあるが、その上に立って素早い決断・指示できる体制を作り上げためにも、政治に強い(ごく少数;数名の)科学スタッフを身辺に保持することを期待したい。科学戦であった第二次世界大戦に際し、チャーチルにはリンデマン(オックスフォード大)が、ルーズヴェルトにはバンネバー・ブッシュ(MIT)が居たように。
登録:
投稿 (Atom)