-八幡平・十和田・奥入瀬・八甲田・白神山地・鳥海を駆け抜ける-
9.白神山地
青森県を走ろうと決めたとき、当初は下北・津軽両半島を考えたが、海岸路ばかりで変化に乏しいのと、日数的にも一日余計に必要なこともあって方針変更し、我が国世界(自然)遺産登録第一号の白神山地を目指すことにした。広大なブナの原生林が世界遺産に登録された理由は、“人手が入っていない”ことが評価されたと言う。その自然の中へクルマで踏み込むことにためらいがなかったわけではないが、主要ルートとなる白神ライン(県道28号線)は、山岳ドライブ愛好者の間で代表的な“酷道・険道”の一つとしてよく知られているところだし、遺産指定地域外の北側を走るので「まあ良しとしよう」と詳細検討に入った。
弘前を起点にしたこの道(県道28号線)は日本海に向けて西南西に向かい、全ルートの半ばでクランク型に一度北に転じて津軽峠付近で再び西を目指し、陸奥岩崎で日本海に沿う国道101号線に交わる86kmの険わしい道である。特に西半分はほとんど未舗装の狭隘な状態で、天候の影響を受けやすく(実際今現在この部分は大雨の影響で通行止めになっている)、走れるのは連休明けから10月末位までの間である。自宅出発直前、今年の大雪の関係で全通は6月20日頃との情報は得ていたが、いくつかの変更プランを準備しつつ、「もしかして」の期待を持って、出来るだけ白神山地に接近することにした。
5月28日(水)朝起きるとホテルの部屋から岩木山が青空の中にくっきり美しい姿を見せている。出発は8時半、先ず予定したモービルのSSに向かう。東北道鶴巣SSからこの弘前SSまでの走行距離は丁度400km、給油量は38Lだったので燃費は10.5km/Lとなるが、昨日はほとんど山岳走行だから決して悪い数字ではない。
市内を抜けるとナビは白神山地に発し、弘前を経て五所川原で日本海にそそぐ岩木川と並走する県道28号を採る。岩木山をはじめ山並みが遥かにのぞめるものの沿道にはリンゴ畑が点在、道は平坦でクルマの往来も少なく走り易い。道の様子が変わってくるのは市内から15kmほど行った西目屋村役場辺りからである。先ず、道路の拡張とバイパス工事がしばらく続き埃だらけの片側交互の一方通行が現れる。どうやら観光用の目的らしい。それが終わるといよいよ山道に入る。右側に湖(美山湖)が現れ、上りがきつくなるとともに、舗装状態は悪く道幅は狭まり、避難所以外ではすれ違いもできない。しかし、村役場付近で先を譲った地元ナンバーのワゴン車は、女性ドライバーだがハンドルさばきは見事だ。とにかく遅れないように付いていく。目指しているのはアクアグリーンビレッジ暗門という総合観光施設(観光案内所・宿泊・温泉・売店・食堂)だ。山岳部を抜けるまでここ以外に人が常駐するところは無い、交通・観光の拠点である。
先行バンに続き一車線幅の橋を渡って、ビレッジ暗門到着は10時40分。施設も駐車場もなかなか立派なもので、村役場付近と結ぶシャトルバスの停留場があり、10数台のクルマが駐車していて、山歩きの装束に身を固めた観光客もそこここに見かける。
早速案内所に出かけ、道や観光情報を仕入れる。やはりここから先の道は依然通行止めの状態にあり、一旦弘前方面に戻り日本海側に出るしかないことがわかる。それどころか、山地散策も大雪や雨の影響(復旧工事)で1時間程度の回遊ルートしか歩けないとのこと。徒歩観光の目玉、暗門の滝(多くの観光客の目的はここだが片道1時間もかかるので、後の計画もあり最初から予定に組み込んでいなかった)にも近づけない。幸いビレッジは遺産登録地域に最も接近しており、散策路は地域内に在るのでその片鱗に触れることはできる、と言う。我々にはこれで充分だ。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;白神山地;つづく)
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