道道53号線を走る車は少ないが、それでも時々前を行く車が現れる。ほとんどはこちらが近づくと、余裕のある所で少し脇に避けて道を譲ってくれる。直ぐ前に入るわけにも行かないので、右側の対向車線を一気に追い越す。こんな時の加速と高速安定性は、狭い一般道でも全く不安を感じさせないものがある。さすが本格的スポーツカーと悦に入る。今回のドライブで最も楽しい運転が出来たのがこの道であった。
道路標識や看板が湿原を告げるが(ビジターセンター、鶴見台など)、指し示す方向、左側は木立が連なりその姿をなかなか見せない。結局“釧路市湿原展望台(写真右)”と言う所まで走ってしまう。到着時刻は1時半だった。北海道がこんなに暑いとは思わぬほどの猛暑で、カンカン照りの駐車場から展望台建屋まで歩くだけで汗が噴き出す。この展望台は売店やトイレは無料で利用できるが、湿原が見渡せる展望場所は2階にありそこは有料である。1階とその周り(海抜84m)は立ち木で視界は塞がれ、走ってきた道路同様湿原は見えない。
今度のドライブ行を、この地に詳しい同じ年のまた従兄弟と話題にした時「あそこへ行くんなら、合羽か傘を持っていくこと」「毛虫が降ってくるんだよ」と忠告してくれたので、ナップザックから折り畳み傘を出しての出発である(結局、数匹はいたがそれほど酷くはなかった)。
遊歩道は、最初は木立の中を湿原に下りていく。小川が流れる低地に着くとそこには板を渡した歩道や丸太の階段が続く(写真右)。しかし、湿原と言うわりには土地は乾いており、植物も心なしか元気が無い。途中ひだまり広場と言うところで道を間違え、湿原の中に踏み固められた道に迷い込んでしまったが、そこは高い草が茂る草原のようだった(本格的に湿原の中を行く探勝路の一部)。暑さの中往復1.5kmのロスは堪える。
巡回路へ戻り、しばらくアップ・ダウンを繰り返して丹頂広場(72m)に至る。此処で初めて湿原の広がりが一望できるようになる。さらに進むとサテライト展望台(67m)に着く。いずれの展望台も誰も居ない。高みからの眺望を独り占めである。
この湿原は元々海だったところ。何本かの川はやがて釧路川に収斂していくのだが、この展望台からそれらは全く見えない。あまりの好天に湿気すら感じない。その点では、“湿原”をうかがう気配を欠いているのが、唯一残念な点であった。しかし、素晴らしい眺めだ。先ずその広さに圧倒される。果てしなく続く平地に、森と草原が織り成す緑の濃淡がいかにも自然の賜物との感を強くし、しばしその景観に引きずり込まれてしまう(写真右上)。雨がそぼ降る情景、一面雪に覆われたシーン、TVで観た場面を頭の中に仮想してみる。
スタートの展望台に戻ったのは、道を間違えたこともあり3時半。1時間余計にかかったが、来た甲斐があった。
(次回予定;釧路雑感)
(写真はクリックすると拡大します)
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