2015年9月6日日曜日

魅惑のスペイン-14


9.スペイン新幹線AVE
610日(水)今日も良い天気だ。朝食は8時から、ロビー東側のテラスから見渡す平原(実際は畑)の緑が輝いて見える。チェックアウトは910分。早朝続きの異常スケジュールがやっと平常にもどる。パラドールの門前から、来た時同様荷物運搬用トレーラーを牽引するマイクロバスに乗り込んで、大型バスへの乗り換え場所へ移動。往路と違い朝の通勤通学で狭い道は混雑がひどい。特に小学生を学校まで送るクルマが多いとのこと(送迎は親保護者の義務)。40分ほどでセビーリャ駅に到着。パラドール宿泊に次ぐ第2の旅行必要条件スペイン新幹線AVEAlta Velocidad Espanola)乗車だ。駅舎は想像していたよりモダン、1992年の開業に合わせて新幹線専用に作られた新駅なのだ(本ブログ<今月の本棚-82>で紹介した「カディスの赤い星」では主人公がここでカディス行列車に乗換える場面があり、それを想像していた)。
スペインの鉄道は独特の発達をしてきた。広軌であることとタルゴ(TALGO)と呼ばれる特殊な車軸構造の列車の存在である。広軌についてはロシア同様フランスからの鉄道を利用した侵攻(ロシアの場合はドイツ)を許さぬためである。この国の鉄道を最も特徴付けるのはタルゴ、客車の車輪はおのおの一軸で独立懸架なのである。これにより低重心化が実現、曲線通過の高速化が図られるのだ。戦後は周辺国と戦争の恐れが無くなったため、この構造を生かすため国境駅に軸間可変装置を設置して直通の国際列車が走るようになっている。その観点からは在来線の特急・急行に乗りたかったのだが、ツアーに組み込まれているのはAVEだけであった。
AVEは標準軌、従って日本同様専用線。これはヨーロッパ各国と接続することを考慮してのことで、他のヨーロッパ新幹線(仏・独・伊)のように在来線への乗り入れはしていない。営業開始は今回乗るセビーリャ・マドリッド間が最初で、現在マドリッドとマラガ、ヴァレンシア、バルセロナなどを結ぶ線が営業している。
セビーリャ駅は先にも書いたようにAVE専用の新駅。駅の構造はヨーロッパ大都会のターミナル駅によく見られる頭端式(行き止まり)、大きな天蓋でホーム全体がおおわれており、単なる移動ではなく“旅”の雰囲気に包まれている。
ヨーロッパの新幹線では既にイタリア(ヴェニス-フィレンツェ-ローマ)、フランス(アヴィニョン-パリ)を利用しているが、セキュリティ・チェックはいずれもなかった。しかしここではスーツケースを始め持ち物のX線検査が、ホーム入口で確り行われる。そのあと団体客のスーツケースは車内持ち込み禁止(個人客はOK;各車両に専用荷物置き場)で、先頭車両に在る専用貨物室に収められる。我々はツーリスト(エコノミー)クラス(10号車)だが、座席配置は総て進行方向向きでリクライニング可(座面を前へずらす方式なので後ろの人に迷惑をかけない)、通路を挟んで2席ずつ。テーブルだけでなく足置きもある。これが一列4席で10列、一車両40人は日本の新幹線と比べゆとりが感じられる。幸い新幹線の中でも最新タイプ(写真左)の列車編成で、トイレも含めて車両は清潔。2階建ての古い車両(その1階部分に乗車)で幻滅させられた(特に窓の汚れ)フランス新幹線とは大違いだった。
出発は定時(1045分)きっかり!走り出すとイヤフォーンが配られ、ひじ掛けのチャンネル選択でポップからクラシックまで好きな音楽を聴きながら車窓の景観を楽しめる。

写真はクリックすると拡大します

(次回;AVE;つづく)


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