2016年1月26日火曜日

四国山越え海越えドライブ-15

14.旅を終えて(最終回)
今のクルマを持って、2008年来始めた長距離ドライブで一日の走行距離が600kmを超えたのは3回、今回の往復と2013年の美濃・若狭・丹後ドライブで城崎から自宅への帰路だけである。城崎からの道は自動車専用道路に取りつくまでにかなり一般道を走ったが、今度は往復ともそれは長くて10km程度。この違いは大きく、運転の面白味は減ずるものの、それほど疲れは感じられなかった。残る山陰地方・九州遠征も観光地へたどり着くまで専用道を行けば(途中岡山県中央部辺りで1泊して)、「何とかこなせそうだ」そんな自信さえ生まれてきた。
四国内での走行距離は900km程度、これに3日使ったから一日平均300kmと言うことになる。距離的にはたいした長さではないし、道も半世紀前に比べれば比較にならぬほどよく整備されているので、四国カルストへの山岳ドライブを除けば、移動に難渋することはなかったが、時間的な制約で観光がミニマムに抑えられてしまったことは否めない。道後温泉と一体化した松山はともかく、高知・高松など地方の都会を知るには、最低もう一泊島内でしたかった。
今回最大の問題は天候であった。三日目(足摺岬→竜串・見残し→四国カルスト→道後)、四日目(道後→しまなみ海道→金毘羅宮)が雨に祟られ、全く期待に反した結果に終わってしまったことである。中でもアプローチに時間のかかる四国カルストは雨と霧にゴール(天狗高原)接近を阻まれ、途中で断念しなければならなくなったのは残念でならない。しまなみ海道の方は空路とレンタカーで楽しむ可能性無きにしも非ずだが、カルスト地帯に再チャレンジする機会は無いだろう。
自家用車での遠距離旅行は、自由度が大きいことの他、高速代・ガソリン代はかかるものの、二人分の航空運賃や観光バス・タクシー代と比べれば相当経済的だ。それもあって今回宿泊先は少し贅沢することにした。四万十の宿は並クラスであったが、それ以外の3ヵ所はどれも特色があり、期待以上のサービスや景観を楽しむことが出来た。
最初に泊まった鳴門の“ホテルリッジ”は付近全体を大塚グループがリゾートとして整備しているので、隣接する他の観光施設は全くない。また各室がロッジのように独立しているので朝晩とも静けさの中で過ごすことが出来た。料理は極力地場の食材を使った創作和風料理、これが凝った戦前の昭和を残す別棟の食堂で静かに供される。非日常の極みがそこにあった。三日目は道後温泉の“朧月夜”。鳴門と異なり温泉地のど真ん中に在る。建物は和洋折衷だがよくバランスがとれているのが上品だ。それに周辺の高層ホテルに囲まれているにも関わらず地形を活かして上手く隔離されたように出来ているのもよく考えられた設計だ。これは外観ばかりではなく、各客室にも言えることで、この旅館の最大の評価ポイントである。夕食は典型的な懐石料理だが、質・量ともに満足した。極めつけは部屋に備わった露天風呂、広さも充分で温泉を堪能した。チョッと残念だったのは時間的なゆとりがなく、由緒ある“道後温泉本館”で湯に浸かることが出来なかったことである。最終日は“オーベルジュ・ドゥ・オオイシ”、予約段階では若いカップルや女性が好む“小洒落た”プチホテルを予想して「場違いかな?」との不安を持たないわけではなかった。しかし、うれしいことに懸念は外れ、完全に大人の休息の場であった。ここも建物、特に部屋が良い。天井の高い広々とした空間と前に広がる海と島は、これも非日常を求める旅にピッタリである。レストラン先行で始まった歴史が示すように、ここでのディナーは雰囲気満点だったが、珍しさが先立って選んだ鹿肉のステーキはそれなりの味わいではあったものの、牛か魚の方が無難だったような気もする。
今回のドライブで宿泊先選択は大正解、3館いずれとももう一度この地を訪れる機会を持てたらまた泊まりたい所ばかりであった。ポイントは“部屋の少なさ”にある。結果として単価は高くなるが“非日常こそ旅の真髄”とすれば、対価としてリーズナブルと思えた(人によって様々な“非日常観”があるが・・・)。

総走行距離;2,225km、ガソリン消費量;207.93ℓ、燃費;10.7km/ℓ。帰路東名の集中工事による渋滞を考慮すれば、愛車のエンジン性能は些かも低下していない。

たった45日の旅を2ヶ月もかけて書くことになりました。長いこと閲覧いただき感謝いたします。いまだ計画段階ですが、なかば単独行の超長距離ドライブ決行を考えています。ご期待ください。


-完-

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