17.西海路を走る
原爆で壊滅したにもかかわらず、伝統のある歴史を残す町、中学生以来念願だった長崎市観光は期待以上だった。国内旅行では滅多にない連泊にして歩いて廻ったことが成功の主因だが、たまたま泊まったホテルの情報提供とアドヴァイスもそれに与っている。幸運であった。
この旅の最終宿泊地として選んだのはテーマパークのハウステンボス(Huis Ten Bosch;森の家)だ。日本のテーマパークはどこにも行ったことがないが、ディズニーランドもユニヴァーサルスタジオも米国では行っているので特に興味は無い。しかしオランダの町を巨額投資で再現したというユニークな構想に以前から惹かれるものがあった。バブルが弾けた1992年に開業、以来経営に苦心していることはANAの知人に聞いていたが数年前HISが乗り出して再建に成功していると伝えられていた。オランダには仕事で地方都市に2泊したことがあるが全く観光はしていない。欧州はテロや難民問題で出かける気がしない。「よし!これで行ったことにするか」という按配で決まった。ここならば翌日夕刻発つ大分港までの時間・ルートとも柔軟に調整できる。
場所が決まった後はコース設定である。同じ長崎県の西部、距離も100km以内なのでさして時間は要しない。ここは是非西海路(国道202号;別名ながさきサンセットロード)を走りたい。ニックネームのように本来は夕日の美しい時間帯が望ましいが、ハウステンボス内の観光は今日一日しか出来ない。明日は朝食を摂ったら直ぐチェックアウトだからだ。
3月23日(水)薄曇。8時半にホテルをチェックアウトして一路海岸伝いに北を目指すことにする。この時ナビにセットしたのはドライブガイドにあったカトリック黒崎教会、大正時代に出来たレンガ造りの建物とある。
丁度通勤時間帯、路面電車やクルマの往来が激しい。国道202号を行くことから、昨日通った電車道を進むものと思っていたが、ナビの案内はそこを突っ切り、さらに海岸に近づいて自動車専用道路(県112号線、無料)に導いていく。道は空いているし長崎駅や浦上駅をバイパスするのでよく流れているのは良いのだが、直ぐには海岸沿いの道(国道202号)には出ず、長崎の町を西側から見渡す機会を失してしまった。海へ出たのはこの道から国道206号に入り、北上を続けた後西へ向かう県道28号をしばらく走ってからである。左側には小湾が入り組んで現れ道もそれに沿って上り下りを繰り返す。やがてナビは黒崎教会が近いことを知らせるのだが、そこはパスして直ぐ先の道の駅“夕陽が丘そとめ”で一休み。ここまではコート・ダ・ジュール(紺碧海岸、天気がよければだが)長崎版。
次のナビ設定地点は西海市役所。西側に開けた海岸に並行する道は交通量が少なく、ワインディングとアップ・ダウンを楽しめる道。みかん園など現れるので、この辺りはコスタ・デル・ソル(太陽海岸)といったところだが、曇天なのが惜しまれる。西海市役所の駐車場で最後のナビセット、ハウステンボスを入力し新西海橋を渡ることを確認、少し北に上ってから直進する国道202号を離れ北東に向かう県43号線に入り大村湾が見えるところまで進む。この辺りの風景はチョッと志摩の海岸線に似ており素晴らしい景観だ。本来は一般道(この少し手前で再び国道202号になっている;西海パールライン)を採った方が景色は良さそうだが、自動車専用道の高い新西海橋で湾口を渡ってハウステンボスへの出口、江上で下りると、もうそこはテーマパークへの誘導路になっている。10時半専用駐車場に到着、走行距離は僅か75km、一日としては時間も距離も最も短い運転だったが、鹿児島来ほとんど変化の少ない自動車道ばかりだったから、印象深いドライブになった。夕日の中を半日くらいかけて走ったら、着いたのはオランダだが、地中海気分にたっぷり浸れそうだ。
(写真はクリックする拡大します)
(次回;ハウステンボス)
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