9.金沢のホテルとディナー
宿泊先探しの基本として、地方行楽地(特に温泉)は旅館、都道府県庁所在地などの大都会はシティホテル、地方都市はビジネスホテルを原則にしている。ただ地方行楽地(リゾート地)では、ペンションやオーベルジュ(レストランを売り物にする小ホテル)なども検討対象に含める。過去の金沢訪問では主にシティホテルに泊まっていたが、JR駅周辺が多く、中心地の香林坊に泊まったことはない。今回はまず場所をそこに設定して、探していった。真っ先に出てきたのは東急ホテル、しかしここは希望の部屋が当日はすべて塞がっていた。あとは東横インのようなビジネスホテルしかないように見えたが、そのクラスを調べていると、たまたま“ホテルトラスティ金沢香林坊”に行き当たった。宿泊プランや詳細情報を子細にチェックすると、ほぼこちらの希望(ツインベッド、禁煙、駐車場、(まともな)朝食、交通の便そして価格)を満たすものである。残り少ないようだったので即予約した。それから、“トラスティ”でこのホテルの関係情報を集めると、関西を中心に広く展開しているチェーンであり、口コミの評価も高いのでホッとした。
東茶屋町を観光して、ホテルに戻りチェックイン。部屋は7階でメインストリートを見下ろせる。部屋もバスルームも十分な広さがあるしインテリアに“安普請”を感じさせないのも良い。これで朝食付き一人税込み1万1千円はリーズナブルだ。一休みして4時頃武家屋敷跡の観光に出る際、欧州人の団体客が到着した。「なるほど。こういう人たちが利用するのか」ロビーなどはチョッ狭い感じもするが、建物も部屋も清潔な感じで、欧州なら四つ星ホテルと言っても通用するほどだ。翌朝の朝食ビュッフェの内容も満足すべきレベルにあった。
さて夕食である。金沢のガイドブックは事前に用意したものも、現地でもらったものも海鮮料理(寿司を含む)に満ち溢れている。富山から兵庫辺りまでほとんど同じ調子。前日は山の幸だったから今日は海の幸といってもいいのだが、和食続きになる。私は寿司を除くと生魚はどちらかと言うと好みでない。特に刺身の船盛は、グロテスクな感じがして苦手である。しかし、ガイドブックに載っているのはこの手の店が圧倒的に多い。翌日のディナーはフルコースのフレンチだから、重い洋食も避けたい。結局カジュアルなイタリアン(私にとって一人外食は概ねイタリアン)と決めて、フロントに相談したところ武家屋敷跡とホテルの中間点にある“ビストロオリーブ”と言う店を薦めてくれた。
ビルの1Fにある店の前にはせせらぎが流れ、小さな橋を跨いで入口に至る。このアプローチ、悪くない。6時開店のせいか店内にほとんど客はいない。入口で対応してくれた女性に「予約はしていないが、食事はできますか?」と問うと、キッチンに居る男性(シェフ)に聞きに戻る。「テブール席はすべて予約で埋まっています。カウンター席なら二人ご用意できますが・・・」との返事。OKして席に着く。客は少ないのにシェフは忙しそうだ。予約の下ごしらえなのだろう。サラダや前菜(金目鯛のカルパッチョ)を頼み、ビールを飲んでいると、勤めが終わったところなのだろう、女性の少人数グループが三々五々やってきて、席が塞がっていく。カウンター席にも二人座ってほぼ満杯。外国人の二人連れがやってきたが断られてしまう。地元の女性が好む店、これがベストセレクションとはよく聞くが、当にそんなビストロなのだ。
“白身魚(真鯛)とアワビのグリル・バーニャガウダーソース”“ベーコン・きのこのトマトソースパスタ”“クリームチーズリゾット”それに白ワインで、一級の美味しい“海鮮料理”を堪能した。これで9千3百円。店は全席で20程度だが、これをシェフと女性の二人で切り盛りするのは大変なことだ。カウンター席に座ったおかげでシェフの手さばきの見事さを間近に見聞した。金沢で洋食をと考えるなら、是非お薦めしたい店である。
コストパフォーマンスの点で、ホテルもディナーも今回のベストスポットは金沢であった。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;東尋坊)
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