2011年7月24日日曜日

道東疾走1300km-3;大洗港へ

 北海道へのフェリーを調べていて、自宅から一番近いのが大洗港だった。「何で大洗なんだ?あそこはもともと海水浴場で、大規模な港など作るようなところではないのに!」 これが第一印象である。茨城県は海に面していながら良港に恵まれない地形だ。無理して作った政治港に違いない(そう言えば茨城空港もそうだ)。しかし、その経緯はともかく、ここ以外は遠く不便で(新潟、仙台、八戸など)で選択の余地は無い。幸い、運航会社は大手老舗の商船三井、船も外洋を航行できるほどの大きさ(1万3千トン)で、船旅そのものは、当に大船に乗れるのでいささかの不安も無かった。
 NAVITIMEで自宅からのルートを調べると、ベイブリッジを通り首都高横羽線から箱崎を経て小菅に至り、そこから常磐道・北関東道を走り水戸大洗ICで降りると、約3時間の行程である。出港時間は午後6時半、乗船開始時間は4時半と言うことになっているので1時過ぎに家を出ればいい。しかし、昼食を摂ってから出かけるのは何かと慌しい。いっそのこと昼前に出発しどこかで少し遅い昼食にし、乗船までの間観光する案が無いかどうか検討したが、大洗周辺に適当なところは見つからなかった。
 乗船数日前船会社から確認のメールが入った。そこには乗船開始時間は5時となっており、更に30分余裕がある。そこで思いついたのが鹿島神宮詣である。ルートは湾岸から東関東道を通り成田を通過し潮来ICまで行き、あとは県道101号線でわずかな距離だ。時間はおよそ2時間半。神宮から大洗港は海岸沿いに走る国道51号線で1時間半。参拝・見学に1時間割くとして、トータル5時間みればよい。
 当日は好天、11時過ぎに出発。湾岸千葉まではよく走る道なのでリラックス出来るし、東関東道も成田まではリムジンバスで勝手が分かっている。それから先は極端に車が減り、やがて車線は対向一車線となる。神宮着は1時少し前。
 鹿島神宮は、一度鹿島工業地帯のお客さんを訪ねた帰りに寄ったことがあるのだが、対分の直後で風倒木があちこちにあったことくらいしか記憶に無い。あらためて来てみて、有名神社の割には素朴な佇まい、巨木に覆われた森閑な環境が神々しさを引き立たせている。この辺鄙な地に在りながら、奈良の春日大社より古い歴史があることを知った。鹿島はその名の通り鹿が神鹿となっており、奈良の鹿もここから出たとのことであった。これからの旅の安全を祈願したのは言うまでもない。当に“鹿島立ち”である。
 ここから北上する国道51号線は、太平洋岸に沿う幹線道路で交通量も多く特にトラックが目立つ。大部分が対向一車線なので皆連がっておとなしく走っている。しかし、大洗に近づくと本来片道2車線のところが現れるが、ここの海側2車線が使えない。先の大震災で路肩がかなり削られているのだ。
 大洗港は想像通り、かなり無理をして作った港湾であった。入り江のようなものは全く無く、二、三の長い防波堤で外洋と隔てられているだけ。その高さは5m程度で、あの大津波が襲っていたらひとたまりも無かったろう。どの程度の被害だったのかは分からぬが、フェリーも港湾修復のため6月始めまで就航できなかったほどである。港に停泊していた船はこれから乗る“さんふらわー・さっぽろ”一隻だけ、広いターミナルビルも閑散としていた。ただ、トレーラーの荷台部分が埠頭の隅にたくさん並べられ、この部分をフェリーに積み込む作業は大忙しだった。ここまでの牽引車はフェリーには積載されず、従って運転手は乗船しないシステムなのだ。大洗港と長距離フェリーの経営はこのトレーラー輸送で成り立っているに違いない。

(次回予定;フェリーの旅)

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