2012年11月20日火曜日

逆賊三藩山岳ドライブ (12)



-磐梯・吾妻・奥只見を走る-

10.銀山平
銀山平はその名前から想像がつくように、江戸時代銀山が在った所である。“平”はこの地が2000m級の山々に囲まれながら盆地だったところから来ている。銀山は江戸末期に閉山されたし、盆地も奥只見湖(人工湖)の下に沈んだが、その名は今に残されている。ただ、良くしたもので、現在ロッジ村の在るところは、V字型に切れ込んだ谷間の中段(海抜800m)に在りながら、かなり広々した平地で、“平”に相応しい場所であった。
ここを宿泊場所に決めたのは、メインエヴェントの252号線を走ったあとどこに泊まるかを考えていた時、“奥只見”“樹海ライン”“尾瀬”などが目に入り、秘境イメージがいや増し、さらに湯之谷温泉郷と呼ばれる一帯があることを見つけたことに始まる。温泉場はどこでもよかったのだが、小出から一番奥に位置する銀山平から調べると、いきなりこのロッジ村が出てきた。前日宿泊予定の白布温泉が伝統的な温泉旅館だったこともあり「これはチョッと趣向が変わり、面白そうだな」と思い、最初に出てきた“奥只見山荘”から詳しくチェックすると、何と“素泊まりも可能”である。「山小屋か?」すると「雑魚寝かな?それなら止めよう」などと想像しながら施設やサービス内容を見ていくと、どうやら普通の旅館と大差ないことが分ってきた。他の宿泊施設も大同小異なので、ここを第一候補としてノミネートしておく。
直ぐに予約しなかった理由は、352号線を調べてみると、9月初めの時点では、ここ銀山平から県境にかけて昨年の集中豪雨で252号線同様、崩壊した道路の復旧工事が完了しておらず、10月開通予定だが日にちまで明示されていなかったからである。9月中旬山荘に電話すると「紅葉の頃には開通すると言っているんですが、正確な日にちはこちらでも分りません。9月下旬にもう一度お問い合わせください」との返事。101日に確認の電話を入れると「今日開通式やりました」で決まった。
夕暮れ草原の中の山荘に近づくと、周辺にログハウスが数棟あるが、本館は代わり映えしない大きな2階建て。「山荘の雰囲気じゃないなー」これが第一印象である。しかし中へ入ると玄関広間(ロビー)は吹き抜けで、左側には囲炉裏もあってそれなりの趣きだ。清潔な感じは“山小屋”とは程遠く、好ましい。客室は全て二階にあり、部屋は新建材多用が些か気になるものの、完全に旅館と同じ造りで落ち着くことが出来る。
泊り客は年配者や女性の小グループが多いようだが、これは本館宿泊者。若い人はログハウスに素泊まりして自炊、風呂だけ利用する人もいるようだ。
これは後で知ることになるのだが、この地は渓流釣りや付近に散在する小さな湖で養殖された鱒や岩魚の釣りの名所らしい。大きな岩魚の魚拓が沢山あったが、これらは人工孵化による大物らしい。客は登山やキャンプもあるが、意外と釣り客が多いのだ。
一風呂浴びて一階の大広間で食事が始まる。この料理が大変よかった。食材は、山菜・淡水魚とその燻製・豚(翌朝食の生ハムなど)などだが基本的に地元・自家製がほとんど。生ビールの後、滅多に飲まない日本酒はこの地酒(八海山も近いし、それもあったが別のもの)を注文してしまう。最後のご飯は無論魚沼産のコシヒカリである。給仕してくれるのはおばあさんと若奥さん、おじいちゃんは子守で、若主人と専門の板前が調理をやっているようだ。この家族によるサービスも心が篭もっており、大いに満足した。
翌朝は雲が早く走り、青空も垣間見える天気。出発前に草原を散策したが、何軒かの山荘がある割には人を見かけることがなかった。どこから来て、どこへ行ってしまったのだろ?早朝から秋の静けさを感じさせる所だった。
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(次回;酷道352号線)

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