11.永平寺
永平寺は今回のツーリングの目玉の一つ。私は約半世紀前、和歌山工場時代に課のレクリエーションで一度来たことがあるが、家内にとっては初めての場所である。「毎年大晦日の“ゆく年くる年”で放映される有名な所だから一度見ておきたい」これが動機である。私の場合も前回は大阪から北陸本線の特急に乗り福井で京福電鉄(現えちぜん鉄道)・永平寺線に乗り換えたことくらいしか記憶に無いので、あらためて訪問し、当時を思い起こしてみたいと言う気持ちは充分あった。その点では全く宗教心を欠く参拝者である。ただ、LP(線形計画法)利用の先駆者で、エッソ石油の役員を務めた後、ここに篭もり得度されたMさんのことが思い浮かんだことは「あの怜悧な数理の使い手が何故?」との疑念があったからで、多少精神的な誘引が無かったわけではない。
中部縦貫道の上志比で降りてからの道は、IC周辺でやや注意が要るものの、SSでの助言と道路案内板に従えば、難なくその方向へ向かえた。当初の予想通り、道の両側にはポツリポツリと広い駐車場を備えた蕎麦屋が現れる。家屋の密集する所が無いのは新道なのであろう。門前に至る旧道に入ると土産物屋や飲食店が続き、駐車場への誘導員が盛んに勧誘するが、平日の午後なので思い切って参道前まで行ってみた。他より100円高かったが駐車することが出来た。到着時刻は1時50分、ここで1時間強使っても、三方五湖観光は日の高いうちに出来そうだ。
永平寺は道元禅師が13世紀に開いた曹洞宗の大本山であり、坐禅修行で有名な所である。元々は京都に在ったものを支援者の要請でこの地に移したと案内書にある。当時を想像すると遥か都を離れた深山幽谷の中にあり、厳しい自然環境が僧侶の育成には向いていたのであろう。現在境内には大小70余の建物がある。
鬱蒼と杉巨木が林立する参道をしばらく行くと通用門がある。ここで参観料を払い吉祥閣という、ここで一番大きな建物に向かう。寺務所と参拝者ホールが一つになったもので、10~15分毎に若い僧侶による永平寺の歴史、境内全体、参拝順路、見所、注意事項の説明があり、あとはそれに従って、各人適宜見て歩く。回廊でつながる、僧堂(修行道場、食事、就寝)、大庫院(台所)、山門(最古の建物)、仏殿(ご本尊)、法堂(ほっとう;説法、法要;ここが一番奥)などを巡るのだが、傾斜地を上に向かって見ていくので、磨き込まれた階段の登りがきつい。一巡するには小一時間かかる。
チョッとユニークだったのは比較的新しい(とは言っても昭和5年建設;平成6年改築)、傘松閣(さんしょうかく)という152畳の大広間である。そこの天井には建設時の日本を代表する著名画家144人による230枚の花鳥風月の絵がある。この絵の中から、りす・唐獅子(2)・鯉(2)の5枚を見つけることが出来れば幸福になれるというのだが・・・。
昨春訪れた高野山とは異なり、寺はここ一ヶ所、他に見所は無い。門前の土産物屋を少し冷やかしてみたが、これといったものは無かった。冷たいお茶のボトルを買って駐車場に戻る。出発は3時丁度。とにかく暑い!クーラーを効かせてきた道をしばらく戻ると、断続的に開通している中部縦貫道が、永平寺口から北陸道の福井北ICにつながっている。あとはこれを一気に敦賀ICまで走るだけだ。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回:三方五湖)
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