7月初め長く勤務した川崎工場のOB会があった。その会場でかつての同僚で本ブログの閲覧者の一人から「一言伝えておきたいことがある」と切り出された。聞けば私がこのブログで連載している「今月の本棚」に関することである。“いつかドイツを鉄道で旅してみたい”そんな思いもあり今年に入って「ペーターのドイツ鉄道案内」「ドイツものしり旅行」「ドイツ町から町へ」などを取り上げ、鉄道旅行の素晴らしさを紹介してきた。いずれの本もドイツの鉄道は正確で、快適であるように強く印象付けられた。ドイツ旅行なら鉄道が一番!が文意である。
しかし友人の語ったことはそれとは真逆であった。「イヤー、酷い目にあったよ!スケジュールは滅茶苦茶、情報も全く得られず、右往左往させられた」と言うのだ。特に特急は他国と跨るのでそちらの方の影響もあったらしいが、代替輸送などの手立てが打たれる気配も無かったと言うのだ。メンバーは皆昔の同僚、海外滞在や出張も多く、英語のコミュニケーションには困らない連中にしてである。その場で書物からだけの知識で、ドイツ鉄道事情を礼賛したことを詫びたことは言うまでも無い。
原因の一つは、「ものしり旅行」と「町から町へ」の内容が、EU成立以前の情報がもとになっていることにあったようだが、「ペーター」は昨年の出版、しかも著者はドイツ人である。確かに“あとがき”に「状況は刻々変わるので、出かける前に確認を」とあるが、「マア、結びとしての常套句」ととっていた。
ところが、9月初め(8月終わり?)の日経新聞夕刊に“ドイツの交通サービス混乱”と言うような記事の中に鉄道が出た。それによると、経営者側の合理化策が厳しすぎで、運行や駅管理の人員、保守要員などがタイトになり、頻繁に遅延や運休が起こっているのだと言う(経営側は労働組合側に問題ありと反論しているが)。
そしてこれは今月(9月分)の「本棚」で紹介する予定の「住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち」に“サービスが皆無のドイツの鉄道で”と言う項があり、鉄道の混乱は日常茶飯事、トラブルの原因や代替処置説明など全く無く、この不便をじっと耐えるドイツ人の姿が活写されている。どうも鉄道に限らず、社会活動全般にドイツには日本のような“サービス精神”は無いようだ。何か“ドイツの本質”を見た思いがする。
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