-八幡平・十和田・奥入瀬・八甲田・白神山地・鳥海を駆け抜ける-
6.十和田・奥入瀬
鹿角は秋田県北東の角に位置する、周辺に田畑の広がる花輪盆地の中心地。八幡平と十和田は国立公園だが、この間に在る鹿角は街道筋の商業地帯の趣である。鹿角から十和田湖に至る道は国道103号線(十和田道)とその北側を並走する県道2号線(十和田大舘樹海ライン)がある。道としては“樹海ライン”に惹かれるものの、あまり面白味のない国道282号線(津軽街道)から早く離れるために、十和田道を採ることにした。登りの道は空いておりときたま(2回)トラックに追いついたが、道幅のあるところで譲ってくれたので、快適なドライブを続けることが出来た。
十和田湖を見下ろす発荷峠(はっか)の展望台に着いたのは11時半頃、展望台の駐車場には乗用車が2台止まっているだけで人影は見えず、一軒だけある土産物屋も店は開いているものの閑散としている。展望台は駐車場の北側、小高い丘の上に在り、一階はガラス越しに、屋上からは直に湖が見晴らせるようになっている。一階と屋上に一組ずつ中高年カップルの観光客がいた。空は曇りで湖面が鈍色なのが残念だが、靄や霧はなく遥か北の対岸まで見通せたのでまずまずの景観を楽しむ。
今日は見所が多いので、直ぐに出発。峠を下って湖岸に至り東へ道を採って「乙女の像」の在る休屋乗船場に向かう。湖畔の道は左すぐ下に水があり海や川では考えられぬくらい水辺が近い。開けた乗船場近辺にはほとんど人が居ない。昼食は奥入瀬と予定しているので、ここでは短い時間駐車して中心部分だけ観光する予定だったので、時間貸しの駐車場を探したがなかなか見当たらない。道路脇は全て駐車禁止。大きな市営駐車場が在ったのでそこで時間貸しの有無を尋ねてみたが「ない」との返事。一日駐車でも料金は400円だから、そんなものは商売にならないのだろうが、なんとなく不本意な気になった。家内も私もそれぞれ別の機会に「乙女の像」は観ているので、この地の観光はパス、観光案内所を兼ねたバスセンターの駐車場に車を止め、昼食時の飲み物や3時のおやつ用の胡桃ゆべしなどを求め、奥入瀬の駐車情報などを仕入れて、早々にここを去ることにする。
湖東岸の子の口と呼ばれる、遊覧船も立ち寄る所から、湖水は奥入瀬に流れ込む。今まで走ってきた103号線はここで102号線と合流、あとは出口の拠点石ヶ戸まで一緒だ。観光案内所で聞いたところでは、正規の駐車場は入口の子の口と出口の石ヶ戸にしかないが、今日は混んでいないから途中の退避車線が広くなっているところでしばらく止めて、散策しても大丈夫とのこと。見え隠れする流れを左に見ながら、樹林の中を銚子大滝まで下ったところに小型観光バスと自家用車が数台止めてあったので、ここから歩き始めることにする。
幸い陽が差し始め水や若葉をキラキラとさせる陽気。チョッとぬかるんだ遊歩道を下っていくと先ず大滝が現れ、戻ってくるバスの観光客がしきりに写真撮影している。彼らと行き違った後さらに下流に向かうと、ほとんど人は居らず、渓流の音とカエルの鳴き声、それに鳥(鶯など)のさえずりが木漏れ日と新緑の中に満ちた空間にとっぷりと浸かることになる。
昼食をここで摂る予定にしていたが、なかなかそれに相応しい場所が現れない。道は流れに沿ってひたすら下っていく。やむを得ずいったん車に戻り、奥入瀬出口の石ヶ戸の駐車場とそれに隣接した休憩所に至り、昨晩の釜めしで作ったおにぎりを食した。
結論を言えば、今回ドライブ以外で最も素晴らしかったのは、この渓流散策であった。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;八甲田山)
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