3.初年度1985年の経営
東燃グループの会計年度はカレンダー通り1月~12月である。会社(SPIN)の設立は7月だから、この年は丁度半年のオペレーションとなる。それぞれのグループ会社の予算は前年末までに決まるが、SPINはまだスタートしておらず、経営指標は一応付け替え制度(グループ各社への情報サービス費用)に基づく情報システム部としての下半期予算を踏襲した(厳密には2年前からTTEC(エンジニアリング会社)で行っているTCS(東燃コントロールシステム)の販売計画を含む)。“経営”と言っても実質的にはTCS関連ビジネスを除けば、外部の仕事を受注する余力はほとんど無かったし、それが無くても売上も利益も上がるようになっていた。
従って、発足後先ず取り組んだのは来年度以降の中長期経営方針である。Z計画メンバー(企業化検討チーム)で散々そのための準備作業を進めてきたものの、それはあくまでも計画実現に向けての作文であったし、一部の管理職に留まる検討内容であった。これを全社員が納得できるものにするには、改めて会社の存在意義から、経営理念、グループ内での役割、経営指標の設定、その具体的な達成策を明示するする必要があった。そこで8月半ばの日曜日、本郷の学士会館に社長以下役員部課長全員(20名弱)が集まり一日これら課題を徹底的に議論する場を持った。その結果は一部既述と重複するが以下のようなものであり、ほとんどの内容は会社が、横河グループ(1998年、東燃のグループ会社リストラクチャリングで横河電機に売却される)の情報システム会社整理統合により発展的に解消するまで変わらぬものである。
1. グループ内のミッション
1)グループ企業の競争力をITで支援
2)成長分野での新規事業展開
2. 中核事業
1)グループのシステム開発・運用・保守
2)技術系;プラント関連システムの開発・販売
3)事務系;会計を中心としたシステム開発・保守サービス
3. 数量計画
・2000年に2部上場基準達成
最終年度経常利益;4億円
売上;二桁成長
1990年度売上;30億円(外部受注50%以上)
4. 事業領域
・石油・石油化学;全職種
・その他のプロセス工業;主として生産部門職種
・その他の製造業(組立加工業);石油・石油化学ノウハウが活用できる分野
・非製造業;会計中心の受託開発に限る(これは事務系SEのバックグランドが財務・会計に著しく偏していたことによる)
私が退任するまでこだわったのは、顧客対象の業種である。何としても“化学プロセス工業”ではNo.1 の評価を得たいと思った。ここは意外と参入障壁が高いからである。これについては次回詳しく述べることにする。
(次回;初年度1985年の経営;つづく)
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