5.渋峠を越えて
翌日4月28日(火)の朝も好天だった。宿を出たのは9時過ぎ、玄関前は何とかクルマ一台は停められるスペースはあるものの、それは宿泊客のチェックインの一時駐車のみ。それが済むとどこか別の場所に回送されてしまう。こんなことは湯の峰温泉、銀山温泉、城崎温泉など古い温泉地で何度か経験している。草津の場合はかなり宿からは離れた西(サイ)の河原公園の一画に在る町営駐車場だった。そこまでは狭い路地を宿のマイクロバスで送ってくれる。
駐車場を出て直ぐ町北側の外周道路ベルツ通りを経て草津から志賀高原に抜ける国道292号線にでる。この道を走るのは45年ぶり。その時は軽井沢から志賀高原の横手山まで行って、浅間山方面へ戻っているからそこから先は、何度かスキーでは滑っているもののクルマでは初めての道である。
連休前の平日、適度に曲折しながら上る道は空いており行き交うクルマはほとんどない。高度を上げるにつれ開け放した窓から吹き込むが冷たく、爽快な気分で運転できる。やがてちらほらと雪だまりが見えるようになり、国道最高地点(2,172m)を目指すルートが実感できる。雪原は少しずつ広がり、駐車スペースにはSUVが停まっていたりする。多分近くで春スキーを楽しんでいる人が居るのだろう。やがて眼前に白根山が現れる。又従兄弟の情報も、宿での話でも火山活動が活発化しており、山頂付近は駐車禁止とのこと。かつて志賀高原からスキーで万座へ行く途中見た、緑の水をたたえたお釜を見学することはできない。確かに硫黄の匂いが一面に漂い、山の斜面や道路の両側も瓦礫で荒々しく、長居をする所ではないので下車することもなく、素早く通り過ぎる。最高地点に近づくと、24日に通行可能になったにしては、それほど高くはない雪の壁が残っている。もう少し高くて長い雪廊を期待していたのだが・・・。
峠を越えた最初の休憩場所は志賀高原スキー場の頂点である横手山ヒュッテ、駐車場も広く諸設備も整っている。残念ながら真冬ほど空気は澄んでおらず、周辺の山々は春霞の中にぼんやりとしか見えない。ここからは下りになり、熊の湯、丸池など有名スキー場への案内表示版が現れては消えていく。この辺りで滑ったのは40年位前のこと、それも冬だったから景観に全く異なる。新緑にはまだ早く、山岳ドライブ時期設定の難しさ(雪・桜・新緑を同時に味わいたい)を実感させられる。
この日の予定は山岳道路の走行次第で二つのオプションを用意していた。いずれもこの後小布施に寄るのだが、山岳地帯で時間を費やし、そこから松本郊外の浅間温泉に直行する案、山で過ごすのが適当でなければ“御開帳”が行われている善光寺に寄りそれから最終目的地の浅間温泉に向かう案である。横手山ロープウェイ、猿の湯あみで有名な地獄谷温泉など見所もあるのだが、山歩きは少々早いと断じ、善光寺参り案を採ることにした。
スキーシーズンには鉄道からバス乗り換える基地、湯田中を過ぎると道は平坦になり、道も観光道路から生活道路に変じ軽自動車やトラックが増えてくる。この辺りの平野部は北陸新幹線と上信越道の影響で新旧の道が錯綜する。旧道(谷街道)を走って、そのまま小布施の街中に達したいのだが、ナビが新道を選ぶので、これにちょっと苦労した。11時小布施の町営駐車場着。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;小布施)
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