3.バルセロナ-3
東京の緯度はスペインでいえばアフリカに接するジブラルタルに近い。それでも東京を気温・気候面から見ればパリなどとそう違わない。つまり気候的にスペインはかなり南にあると考え、旅の備えをすべきなのだ。このことは充分分かっていたのだが、それでもズボンまで夏物を用意しなかった。サグラダファミリアを見学した後の昼下がり、冷房を効かせたバス内はともかく、外の暑さは完全に夏。新婚旅行組男性のショーツが涼しげだ。
昼食場所はグラシア通りを海岸まで南に下り、少し東へ向かった海岸遊歩道から張り出したシーフードレストラン「バルカ・デル・サマランカ(サマランカ(地方)の小舟)」 そこでのスペイン初のきちんとした食事は、“サルスエラ”というバルセロナ風ブイヤベースだった。フランスのそれとの違いはスープの味付けに工夫が凝らされ、それが料理そして店の勝負どころらしい。結論から言えば今回の旅で1、2と評価できるものだった。本来は冷えたスペイン白ワインが合うのだろうが、あまりの暑さに生ビールで食した。海岸には驚くほどの海水浴客。
1時間半の食事の後は旧市街(ゴシック地区)を通り抜けてホテルへ戻る。このルートで自由時間での土地勘がある程度つかめる。
ホテルで30分ほど休憩した後、そこから徒歩で10分程度のカサ・バトリョ(バトリョ邸)に向かう。昨晩遅いチェックイン後外からライトアップを眺めた邸をこんどは中に入って見学するのだ。階段・明り取りの窓・照明・建物の中空空間・部屋・廊下・ガラスに施された装飾・家具、解説されて初めて気づかされるガウディの数々の創意工夫に、ただただ驚嘆する。まるで水中に住んでいるような感じが、冷房もないのに冷感をもたらしてくれる。難点は少し込み合っていることである。3時半頃屋上に達し、ここで解散。あとは夕食まで自由行動である。
通りの北にあるカサ・ミラ、カサ・グエルなど一連のガウディ作品も観てみたかったが、我々は南に下り旧市街に向かうことにする。当初は地下鉄利用を考えていたのだがガイドは「直ぐに観光客と分かるのでお薦めしません」とのこと、昼食後の帰り道、ルートも分かっているし大した距離でもないので歩くことにする。
しかし、歩きっぱなしの1時間強の観光のあと、先ず涼しいところで冷たい飲み物でも飲んで一休みしたい。一筋南へ下ったところにTapaTapaという比較的入りやすいバルがあったので、室内のテーブル席で清涼飲料を摂ることにする(ビールか冷たいワインが欲しかったが、あとに歩きがあるので我慢)。若い従業員は英語で全く問題ない。
今や勝手知ったグラシア通り、今朝散歩したカタルーニャ広場を過ぎると、道幅が少し狭くなるとともに分岐する。そこを東南の方向に向かうと通りはさらに狭くなり、大聖堂(カテドラル;一部はローマ時代の遺跡を利用)に向かう歩道だけになる。大聖堂横の広場からそれを眺めると、何と尖塔はサグラダファミリアによく似ている。13世紀から建設が始まったものが19世紀と同じとは!知らない人が「これもガウディの作品ですか?」と質したことがよくわかる。どうも尖塔部分はかなり時代を経てから完成したので、“ゴシック様式”として、両者に共通性があるということらしい。
ここからさらに“旧市街”に踏み込む。次に目指すはピカソ美術館、今日は無料と聞いていたからだ。しかし、有名なわりに場所がなかなか見つからない。何度か付近の商店で地図を見せながら「ムセオ・ピカソ」と問いかけ、やっと辿り着いたのは「こんな路地に?!」と驚くような場所だった。加えて延々長蛇の列。スタッフに問うと「5時頃には入れるでしょう」とのこと。5時に入って1時間くらいザーッと見れば、夕食集合時間までにはホテルに戻れると読んで列に並ぶ。しかし、やっと発券受付に辿り着くと「あなたが館内に入れるのは6時です」と告げられギブアップ、ホテルへ戻ることにする。
1時間ほど休憩し、19時からホテルに近いタパス料理(日本ではスペイン小皿などと言われる)のレストランで食事。この時刻はスペイン人には夕食には早すぎる時間帯、他に客がいないところで食したあれこれは、ほとんどが冷たい料理で味もいまいち、評価は今回最低であった。1時間半ほどで解散し、表へ出ると人々が通りを埋めている。バルセロナFC三冠達成のパレードが行われていたのだ。
暑い一日はこうして終わった。そしてバルセロナ観光も。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;マラガへ)
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