19.阿蘇を走る-2
この日のゴールは大分フェリー港、出発は19時15分だから1時間前に到着としても時間はたっぷりある。このことは計画立案段階から分かっていたので、湯布院や別府あるいは大分市街で過ごす案など考えていたが、“べべんこ”で食事をしていたら、“九重夢大吊橋”という名所が近くに在ることが分かった。精算の際確認すると“やまなみ”を少し戻って西へ向かえばいいことが分かる。「それほど回り道ではなさそうだ」とナビにセットして走り出すと15分程度でそこについた。時刻は2時15分、朝からの晴天は阿蘇山中を走るうち曇りに変じべべんこを発つ時には外気も少し冷えてきていた。吊橋の大駐車場には何台かの観光バスと自家用車が止まっていたが、何か寒々しい感じがする。駐車場の先に橋を吊る高い柱が遠望できる。
案内所・みやげ物店・トイレなどが一まとめになっているところがどうやら橋への入口らしい。往復500円の渡橋料を払って橋に向かう。標高777m、全長390m、高さ173mは歩行者専用としては長さも高さも日本一、幅は二人分だから一列になって歩く。谷は深く結構風も強いので緊張感が曇天の下で募る。東側の断崖にはいく筋かの滝が落ちておりもう少し緑が深まるか紅葉の季節には絶景だろうが、岩面と枯れ木では今ひとつ風情に欠ける。寒風に震えながら対岸まで辿り着くとそちらにも料金所があり、農産物販売所が併設されているが客の姿は見えないのでそのまま戻ることにする。往復し終わって思ったことは「確かに季節に依っては観光スポットとして魅力ある所だが、一体全体この橋は何のためにあるのだろうか」ということであった。少なくとも生活道路の一部でないのは確かだからだ。「これだけで経済的に成り立つのだろうか?」との疑問である。まあ深刻に考えず、“日本一”を体験したことで良しとしよう。
ここへ寄る寄らずに関わらず、あとのコースはやまなみを湯布院ICまで行き、そこから大分道を東に向かって日の出JCTで南へ下って大分ICへ出る予定だった。当然そうなると思ってナビに大分市内で港に至る道筋にSSをセットしたところ意外なルートが示された。やまなみには戻らず、県40号線を北上して湯布院の一つ西隣、九重ICから大分道に乗る案である。どうやらつり橋から遥か下に見下ろした道のようだ。2時45分吊橋駐車場を出発。この道がなかなか面白い道だった。基本的には下りの山岳道路、上りに数倍するスリリングな運転を強いられたが、道は空いており、思わぬところで今回ドライブ最後の楽しみを味わえた。
九重ICから日の出JCTまでのルートは熊本地震で大分側最大の被害が出たところだが、人口密集地はほとんど目にすることなく、当日は山合いの道を淡々と走り続け、18日雨の中単独行で一休みした別府湾SAに3時半到着。時間も充分あるので大休止、お土産の調達など行い4時出発。市内のエッソSSで給油する。この時点で燃料はまだ充分あるのだが、翌日神戸に上陸後直ぐ自動車道に入るので、途中の他社SSでの給油量を最小限に抑えるためである。佐世保大塔SSからの走行距離325km、給油量29.3ℓ、燃費11.1km/ℓはまずまずだ。ここからフェリー港までは指呼の間、フェリーターミナル到着4時50分。阿蘇の後半は曇天だったが大分道を走るうちに回復、すでに接岸している<さんふらわあ・ぱーる>は西日に輝いている。いい航海が期待出来そうだ。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;大分-神戸フェリー)
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