2016年7月6日水曜日

九州遠征超長距離ドライブ(29)


20.大分-神戸フェリー
今まで実行する機会は無かったが、九州へのドライブを考える時にはいつもフェリー案があった。70年代~80年代にかけて川崎や久里浜から九州へ直行する大型フェリーが出ていた。その時代勤務地が川崎工場だったし、自宅は久里浜だったからよく覚えている。今回の九州行に当って久し振りにその可能性を調べてみて、分かったことは、首都圏と九州を結ぶ直行便はなく、唯一徳島経由で東京有明港と新門司港を二晩かけて結ぶ航路だけである。これまでに東名・名神・山陽(中国)自動車道は全線にわたって走り切ってはいないものの、新東名や新名神を除けば概ね退屈なドライブである。今のクルマで(沖縄県を除く)全国都道府県走破を目指しているので片道は陸路で鳥取・島根・山口を制覇、往復どちらかはフェリーを利用したいと考え、この有明港-新門司港便を詳しく調べてみたが、魅力的な旅にはなりそうになかった。
先ず航路である。東京湾を出ると伊豆半島沖、紀伊半島沖を航行、ここから紀伊水道を上り徳島港へ入る。ここまではこのルートしかない。しかしこの後がいけない。なんと最短距離で景観にも優れた瀬戸内海を行かず、再び紀伊水道を下って太平洋に出たのち、室戸岬、足摺岬の遥か南を走り、豊後水道を北上して新門司港に至るのである。この後半が気に入らない。なぜこんな遠回りをするんだろう?(鳴門海峡は大型船航行不可か?)次に問題なのは、ツインの個室が無いことである。個室は3人または4人部屋で、二人利用も可能なようだが(二人料金で)、部屋は2段ベッド構造になっている。二晩そんな所で過ごしたくない。こんな理由でこの案は没にした。
国内の船旅は何と言っても瀬戸内海だろう。南北に結ぶ四国-中国間は何度も利用しているが、東西を結ぶ航路には乗ったことが無い。次のフェリー利用検討はここに絞られた。となると阪神の港と九州をつなぐ線である。それらの内宮崎・鹿児島ルートは東九フェリー同様紀淡海峡・紀伊水道を通って太平洋に出てしまう。残るは大分・別府便である。幸い専用サンデッキ付き個室ツインもある。クルマを含めて二人で5万円以下、価格も納得できる。こうして大分港-神戸港フェリー利用が決した。

割引の効く予約をしてあったので、受付窓口のチェックインはスムーズ進んだのだが、最後に「低床車ではありませんか?」と質問された。「ウゥン?どう言うことですか?」「地面とクルマ腹部の隙間です」 今まで大洗-室蘭航路を含めあちこちでフェリーを利用しているがこんなことを問われたのは初めてである。確かに今のクルマはその間隔が狭く一寸した段差や傾斜に注意が必要だ。正直にそう告げると“誓約書”をとられことになってしまった。そこには「低床乗用車は気象状況・潮高・施設状況により、安全に下船できないことがあることを了承します」とある。そしてそれは下船ばかりではなかった。乗船順位は20番目くらいだったが、事前に別の場所で待つよう誘導され、大方のクルマ(特に大型トラック)がほぼ乗り終わり、船体が沈み込み搭乗路が水平近くになった7時頃やっと乗り込み可、誘導員が細かい指示を出しながら最後の停車位置まで案内してくれた。
目の前は船室フロアーにつながるエレベータ。我々の部屋は7階、最上階にあり、進行方向右側(四国側)、造りはバス・トイレ・サンデッキが付き、都市型ホテルのツインルームとそれほど差がないものであった。
船の名は“さんふらわあ ぱーる”:総トン数;11千トン、全長;165m、全幅;23m、旅客定員;716名、速度;23ノットの大型高速船である。

(写真はクリックすると拡大します)


(次回;大分-神戸フェリー;つづく)

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