20.大分-神戸フェリー-2
低床車のため乗船は最後になり、出航まで20分くらいしかない。部屋に入り荷解きを終えると直ぐにひとつ下の階(6階)にあるレストランへ向かった。既に7時前から開店しているのだ。この階はユーティリティーゾーン、途中大浴場を覗いてみると、大洗-苫小牧航路のものより狭い感じがした。今回は部屋にもバスがあるので、そちらを利用しよう。
レストランは船体後方左右と後方に窓がある。食事はビュッフェスタイルで、入口の自動販売機で食券を購入、あとは並べられた和洋中華かから適宜好きなものを盛り付けるセルフサービス。生ビールは別途食堂内に置かれた現金自動販売機で求める。後方の窓際に何とか席を確保して食事をはじめると間もなく時間通り(7時15分)船は離岸した。港湾施設の明かりが水に映りたゆたうの見ていると、船旅の実感がわいてくる。
小1時間ほどレストランで過ごし、部屋へ戻るともう外は真っ暗、遠くに光るものがちらほら見える程度である。瀬戸内海を行くと言っても夜行便なので前半はほとんど景色を愛でることは出来ない。シャワーを浴びて部屋で寛いでいると突然船内放送が始まった。「本船は出航の際、岸壁に船体を強打し、現在異常はないものの、今後の航海状況によっては浸水のおそれもあるので、大分港に戻り被害状況をチェックします」とのこと。長い旅も最後にきて何たることか!船はここからUターン、帰路の放送では「(点検・修理に)時間がかかることも予想されるので、(クルマを持たない)単独乗船者は下船も受け付けます」とのアナウンス。神戸港到着後は自宅に向かうだけなので実害はほとんど無いが、大幅な遅れが予想される。大分港への帰着は9時20分頃、点検後航海に支障がないと分かり、再出発したのは10時半頃。当初予定では少し頑張って起きていればしまなみ海道の夜景くらい見えるかとの期待があったが、これでは寝るしかない。幸い海は穏やか、翌朝空が白む頃までぐっすり休むことができた。起きて外を見ると丁度瀬戸大橋をくぐるところだった。
船足は、昨晩のトラブル騒ぎにもかかわらず、20ノット前後で走っている。昨秋泊まった屋島が遥か彼方に遠望できると、次いで鳴門大橋も朝日の中に現れる。サンデッキに出て冷たい潮風に当るのも短時間なら気持ちが良い。再出航後の放送では神戸到着が大幅に遅れる(6時半の予定が9時過ぎ)ので朝食は無料になると報じていた。6時半にレストランに出向き朝食を済ませる。この朝食中に「潮流と風の影響で昨夜の到着予定時刻より1時間程度遅れ、10時過ぎになります」とのこと。ここまで来たら、「それだけ美しい瀬戸内海の航行時間が長くなる」と考え、部屋へ戻って最後の航海を楽しむことにする。
9時前明石大橋通過、神戸へ向かうスピードはあのトラブル騒ぎにも関わらず、何と23ノット!六甲フェリー埠頭到着は10時過ぎ、貨物埠頭に向かう高架道路はコンテナー車が数珠繋ぎになっている。乗り込むときは最後のグループだったが下船は最初だ。毎度のことだが、フェリーに乗るとナビには乗船地の位置(大分)がそのまま残る。船を下りると、一旦流れから外れ、交通量の少ない所で“帰宅”を選んで、帰路を確かめ、10時20分自宅を目指す。
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(次回;ラストラン・総括;最終回)
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