7.新幹線で嘉義へ
11月21日(月)台湾二日目の早朝は発つ前の予報通り雨だった。今日の出立は台北駅発6時30分なので5時半にモーニングコールを頼んであった。前日夜食事を終えてホテルに戻ったときフロントで「朝の弁当は5時半にここに用意しておきます」と言われていたからだ。ホテルの朝弁当は昨年のスペイン旅行でも2度ほどあったが、いずれも受け渡しは前夜だったので、早く起きて部屋で済ませたが、今回は駅が目の前とはいえ、勝手がわからぬ大きな駅なので、乗車してから摂ることにする。ホテルをチェックアウトしたのは6時過ぎ。地下道でホテルと駅を隔てる大通りを抜けて広大な駅コンコースに出るが、ほとんど人が居らず、“高鉄”と称される新幹線の乗り場が直ぐには分からない。何度か人に“高鉄”“新幹線”を書いた紙片を見せながらやっと改札にたどり着く。巨大な駅舎は1階がメインだがホーム(月台)はすべてコンコースからはかなり奥深く入った地下に在るのだ。
到着したのは6時15分頃、直ぐに左営(高雄)行き203号列車が入ってきた。ホームのつくり、並び方、車両そのものも日本と何も変わらない。少し違ったのは、入り口近くに成田エキスプレスのようにスーツケース置き場があったことである。これは助かる。さらにこれはあとで気が付くのだが、座席配置が通路両側とも2列配置であることだ。“ゆったり感”が日本の新幹線よりあるのがいい。
列車は定時に出発、乗車率は6割くらい、大方は現地のビジネス関係者と見うけられ、荷物はそれほど大きくない。これもあとから分かることだが、我々の乗った列車は“ひかり”“こだま”時代の“こだま”号に相当、各駅停車らしく10分くらいで板橋と言う駅で停まり、間もなく地上に出る。車窓はしばらく日本の都会とさして違わぬ景観が続く。国際空港のある桃園(距離的に新横浜と言う感じ)を過ぎたころから、畑地が目立つようになり、雲が薄くなり雨が止んでくる。嘉義(Chiay)到着時刻は7時43分の予定だから、早速朝食にかかる。大きな厚紙のボックスに入っていたのは、大きめのサンドイッチ、ロールパン、クロワッサン、リンゴ、リンゴジュース、ヨーグルト、チョコレート菓子。普段の朝食よりかなり量が多く、加えて車内で無料のコーヒーサービスもある。結局ロールパンには手が出なかった。
乗客の多くはこれも無料配布の朝刊に見入っている。一面のトップ記事がふと目に入ってきてびっくり。巨人OBと台湾出身OBの試合が前日あったらしい。日本への親近感はこんなところにも表れていてうれしうなる。
途中の大きな町は台中、ここはかなり手前から高層のアパートなどが現れ、大都会が近いことをうかがわせる。この頃になると雨の降った後もなく、雲間から太陽が顔を出し始める。乗客の乗降がかなりあった。
嘉義到着は定刻通り。一応事前調査で分かっていたものの、この新駅は全く人里離れたところに在る。在来線の台鉄嘉義駅との間に無料連絡バスがあるが、これは利用客の多い時間帯に限られ、この時間は走っていない。あとは路線バスがあるのだが時間がかかるのと台鉄嘉義駅のバス停はホテルからはかなり遠い。森林鉄道の出発時刻は9時半だから、ホテルに荷物を預けて駅へ戻る時間を考えると、これもチョッとリスキーだ。そんなわけで、タクシーでホテルに直行することにする。今度は“兆品酒店(これも酒屋ではなくホテルなんだ!)”と書いたメモをタクシー案内のおじさんに見せると、嬉しそうな顔をして運転手(陳大松さん)を呼び寄せる。良い客なのだろう。
新駅の周辺は真っ平らな農地、どうやらサトウキビ畑のようだ(今は刈り取られている)。そこに新しくて広い直線道路が東西に走っている。自動車専用道路ではないが、いくらでも飛ばせる。20分ほどで市街地に入ると、ここは日本の地方大都市に近い感覚、さらに在来線をまたぐ跨線橋を越えると、狭い道路、スクーターの多さ、東南アジアの混沌に似た雰囲気になっていく。兆品酒店はそんな中に在った。タクシー料金はメーター通り400元(1500円程度)、初乗りが100元だから乗った距離を考えるとリーズナブル。地図の上では近くに在る(徒歩で行ける)と考えていたホテルは台鉄駅からかなりあり、直行したことは
“正解”だった。
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(次回:阿里山森林鉄道)
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