2017年3月20日月曜日

台湾一周鉄道旅行-21


18 .旅の総括(最終回)
海外個人旅行の最後は2008年秋のイタリア旅行だった。この時は、航空券はHISで求めたほかは現地(ミラノ)にある日本人を対象とする小規模な旅行社を利用した。この年春のタイ・カンボジャも同様のやり方だったから、今回の台湾も初めはそんな会社とコンタクトした。しかしここはもっぱら現地ホテルや交通機関の手配のみで、旅を情報をやり取りしながら固めていくサービスが無く、やむなくJTBの個人旅行を利用することにした。嘗て、マイレージを使って同社のLOOKと組み合わせすることを数回利用し、たまたまかもしれないが、ほとんど個人旅行の趣で楽しめたからである。結論から言えば「JTBもこの程度か」と言うサービス内容であった。つまり、こちらで細部まで詰めないと、先に進まないのである。チョッと考えてみればごく当たり前で、横浜支店辺りで世界の旅に対応できるわけはないのである。しかしながら、成熟社会では、あらゆる分野に個人の好みを反映したビジネスが良い商売になる傾向にある。今回は台湾だから何とかなったが、ヨーロッパの鉄道旅行など考えると、都心まで出かけ、有料でもいいから、好みの旅を作り上げるサービスがあったらと思う。
台湾鉄道一周に関しては十分満足した。先ず滞りなく、新幹線・在来線を利用して、正確・安全かつ気分よく一周出来たこと。在来線ではディーゼル、電気で走る特急・急行に乗れ、現地の鉄道事情が良く分かったこと。目玉だった阿里山森林鉄道を楽しめたこと。加えて台北・高雄ではMRT(地下鉄)も気軽に利用出来たこと。何といっても鉄道は現地の人との接触機会が多く、これほど“外国”を身近に感じるものはない。期待はずれはあまりにも日本と同じシステム・環境であることくらいである。だから少しでも違いがあると嬉しくなる。新幹線・在来線は左側通行だがMRTは右側通行なのだ(道路と同じ)!残る疑問は一体全体車両の調達はどうなっているのか?と言う点である。新幹線は日本製だが他の車両につては分からなかった。
乗り物の旅と対になるのは車窓風景。沿線の田や畑、はるかに見える山々、これも日本とほとんど変わりがない。東海岸はでは急峻に海に落ち込む断崖をかすめることもあったが、これとて親不知辺りの旧道とさほど違わない。海に流れ込む川が大きな石ころだらけなのも同じだ。この点でも“外国”を感じさせるところは少ない。
台湾式旅館があることは今回参考にした下川裕治の本などで知っていたが、これも急速にビジネスホテルに変わってきているようである。今回泊まったホテルはすべて洋式、設備もサービスも基本的に欧米や日本と同じであった。その点では日本の方が伝統的旅館が残っているのかもしれない(欧米人のみならずアジアの観光客も最近はこれを好む傾向にあるらしい)。
最も違ったのは食事。2回だけだった朝食ビュッフェでは典型的な日本食も用意されていたし、洋食は当たり前。しかし、昼・夜はローカルな食べ物とスタイルを楽しんだ。中でも海鮮料理は日本は無論中華とも違い、個人的には極めて好みに合っていた。奮起湖で食べた釜飯駅弁、高雄のイタリアン、花蓮の肉麺、いずれも美味しかったし安かった。朝食の油條や豆乳も悪くない。
私の旅の楽しみの重要要素、歴史に関しては残念ながら中華文明をここに移した故宮博物院くらいしか見所はない。歴史を訪ねる旅だけは不適なところである(最初から故宮博物院以外は期待していなかったから問題にはならない)。
一番評価できるのは“人”である。とにかく皆さん親切で、現地語を全く解さないにもかかわらず(専ら筆談と日本語)、一度も不愉快・不安な思いをすることはなかった。これこそ今回の旅の最も強く残る印象である。
インバウンドで台湾からの観光客も増加していると聞く、日本人も大いに台湾を訪ねてほしい。大事にしたい国と国民である。

(完)

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-長らくの閲覧、ありがとうございました-


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