10.東尋坊
6月1日(木)金沢市内は明け方雨で、出発時も小降りだったが、天気予報では西の方から快方に向かっているとのことだった。今日は海岸沿いのドライブが長いので何としても晴れて欲しい。ナビにセットしたのは東尋坊タワー駐車場。出発時刻は8時40分。この地方最大の都市の中心部、ラッシュアワーで道は渋滞気味、本来北陸道金沢西ICへ出る予定だったが、右折個所を間違えたために、結局一つ先の白山ICで乗ることになる。
高校生時代だった思うが“東尋坊の鬼”と言う映画があった。何か凄みのある妙なタイトルで“東尋坊”が記憶に残った。そこが日本有数の海蝕断崖で国の天然記念物であることをのちに知り、一度訪れたいと思っていたが、今日までチャンスがなかった。走りを楽しむ越前海岸へ出るのに良い位置にあることから、今回の旅行の景勝地探訪の最有力地としてここを選んだ。
白山ICに入るころには空も明るくなってきて雨は完全に止んでいる。北陸道に乗ると直ぐ、平坦な道路の右側間近に海岸を見て走ることになる。高架でないのが海を近くに感じさせる。交通量は少なく走り易い。小松ICを過ぎると左側から旅客機が飛び立つ。小松空港だ。片山津ICの先から海岸を離れ、田園地帯を少し走ると北陸道の出口加賀ICに至る。ここから国道305号線に出て、北潟湖畔の西側を通り、芦原温泉の中心部で西へ向かう県道を進んでいくと、道が広くなり案内板に駐車場や公園への道筋が示される。もう東尋坊の観光エリアに入っており、目の前に展望タワーが現れる。少し手前に無料の駐車場があったがタワー前のそれは有料(市営:一日500円)、広い駐車場に
とまっているクルマは数台のバスと乗用車だけだった。到着時刻は10時50分。
第一印象は「寂れた感じだなー」とあまり良くない。駐車場の案内人に観光路を確認して、先ずタワー内のトイレへ。一階はお土産を扱うスペース、ちらほらと客はいるものの、照明が暗いせいもあってうらぶれ感が拭えない。展望タワー(有料)は動いているが、二階のレストランは休業中で階段にロープが張られている。国の天然記念物の所在地に相応しくないこんなものを何故作ったんだろう?
タワーから断崖に至る道の両側は例によって土産物屋と飲食店が並ぶ。多いのが鮮魚を扱う店だ。これも、「こんなものをここで買う人がいるんだろうか?」と思わせる。おそらくクール宅急便が何かで送るのだろうが、店頭に並ぶものはとても鮮度がいいとは言えないのだから。そでも通りは結構にぎわっている。芦原温泉に一泊するのだろうか、東アジア系の人(おそらく中国人)が多い。
通りを抜けると眼前に日本海が広がり、足元は海蝕断崖の上、左右にもそれが広がり(約1km)、その先に雄島と呼ばれる小島が見える。断崖上部からは下に向かって遊歩階段が出来ており、これを下っていくと少し広々したところに出る。ここから断崖絶壁を観るのがここの定番観光ルートらしい。ただし足下が悪く要注意だ。階段の途中から一気に海淵に下りる道は遊覧船専用だ。この船で下からそそり立つ断崖絶壁を巡るのが素晴らしいとガイドブックにはあるが、30分ほどかかるのでパスすることにする。観光に要した時間は約20分、これで充分だ。
率直に言うと「期待外れであった」柱状節理(岩が柱状に立ち並ぶ)断崖は世界有数のものだと言われているが、地質学上はともかく、この程度の海蝕断崖は、日本各地にみられるし、和歌山白浜の三段壁を何度か訪れたことのある者にとって、周辺の景観を含めると、遥かに白浜の方が好ましいと感じた。
ところでこの奇妙な名前は近くの平泉寺(数千人居た!?)の僧侶の一人。暴れ者で仲間にここで突き落とされ、そこから数々の伝説が生まれた結果らしい。これで映画の題名との関係が分かった(映画は現代物だったが)。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;越前海岸)
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