2018年6月24日日曜日

ドイツ周遊3000km-8



-バス、鉄道、船、乗り物三昧の9日間-


6.ライン河を下る-3
ライン河はスイスのボーデン湖を発しオランダのロッテルダムまで全長約1320km。この間、リューデスハイムの次の船着き場ビンゲンからコブレンツまでの65kmが世界遺産に登録され、そこには自然ばかりではなく古城や城址が含まれている。ライン下り(上りもあるが)は各種あり、最長はバーゼルからロッテルダムまで三日かけるものもあるが、今回は2時間足らずの良いとこどりの船旅だ。
リューデスハイムを出て15分くらい西に向かうと対岸のビンゲン、ここでハイデルベルク方面からの乗客がかなり乗り込んでくる。前部甲板はこの段階で船縁以外もほとんど満席となる。そこを出ると河は右に曲がり北西を目指す。大河のわりに川幅はさほど広くはなく、湾曲部は浅瀬になっているから、河面に赤い浮標の航路警告がそこここに見える。曲がり角右側、最初に姿を現したのは“鼠の塔”、何が鼠なのか形からはそれを窺うすべはない。記録によれば44カ所にあった河の関所の一つである。実はこの関所の権利を握る大司教が阿漕な男で、住民に重税を課したため鼠に食い殺されたと言う昔話からきているのだ。
次の船着き場アスマンスハウゼンを出ると今度は左岸上方の中腹にラインシュタイン城、さらに進んでライヒェンシュタイン城が見えてくる。こうして、船は左右交互に船着き場に立ち寄っては客を乗下船させていく。ドイツ人の書いた旅行案内書では、このように途中下船で鉄道などを併用しながら旧所名跡を気ままに旅することを薦めている。
河を行き交うのは観光船ばかりではない。否、むしろタンカーを含め貨物輸送の船が多い。目視でも難なく航行できるように見えるのだが、皆船首にレーダーを装備し、それがクルクル回っている。下流は4000トン規模の船が航行でき(この辺りは2000トン級)、観光シーズン外(11月~3月)は天候も不順なこともあってそれが必要なのだろう。
河の両岸には道路と線路が走っている。右岸はなだらかな丘陵地帯に葡萄畑が続き、城址が時々現れるが小規模な監視塔と言った趣きで、静かな田園風景。左岸は切り立つ地形、本格的な城が山の中腹にその威容を誇る。交通量はこちら側の方が多く、小さな町が点在し生活の匂いが強く感じられる。
河中左側にピンクに塗られた船の形をしたグーテンフェルス城が現れる。これも関所だ。さらに下って今は高級ホテルとなっているシェーンブルク城を過ぎると、河は一旦右に直角に折れさらにその先で左折する。いよいよローレライの岩である。
ローレライの岩はこのクランク状の曲がりの中に突き出している。河巾が狭まり流れが急になる中での操船はしばしば困難を極めたであろうことは想像に難くない。美女のささやきに誘われ難破する船が出たという伝説も、今日のようなのどかな天候でなければ、ありそうな気がしてくる。船上を流れるローレライの歌につられて、人々は立ち上がり写真撮影に余念がない。「(我々が席を占めている)右側にばかり集まらないでくれ!」
この岩を過ぎると直ぐに下船地ザンクト・ゴアール、11時着。そこには赤いバスが待っており、左岸を少し遡ってローレライの岩を対岸正面にした、観光客相手そのもののレストラン“Panorama”に運んでくれた。
ツアーとして今回初めてのレストランでの食事、飲み物だけはそれぞれの好みだが、メインはソーセージ、ザワークラウト、ジャガイモの典型的なドイツ料理。まずくはないがそれほど美味しくもない。飲み物にラインの白を注文したのは言うまでもない。これだけは満足した。

写真上から;クルーズ図、ラインシュタイン城、ライヒェンシュタイン城、グーテンフェルス城、ローレライの岩、ザンクト・ゴアール、ローレライを背景に

(写真はクリックすると拡大します)

(次回;エルツ城)(メールIDhmadono@nifty.com


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