-因幡・伯耆・出雲を走る-
11.出雲大社
10時半過ぎ松江城とその周辺の観光を終え駐車場を出発。当初の予定では宍道湖の北岸に沿って国道431号線を西に向かう予定だったし、ナビも初めはそのルートを示していたのだが、どこかで方向を取り違え、結局宍道湖の南岸山中を抜ける山陰自動車道走ることになってしまった。どうも今回はこの種のミスが多い。ただ所要時間はこちらの方が若干短くなるので、松江観光で予想を上回った時間の回復には都合がいい。この自動車専用道路は無料だし、空いていて走りは至極順調だった。専用道の終点出雲ICを出ると北へ向かう一般道を取るのだが、これも交通量は少なく、この地方の幹線道路である国道9号線と交わる付近はやや建物が現れるものの、周囲はほとんど田圃である。大社到着は11時半。間近に広い無料駐車場があり助かる。
ここへは1969年のゴールデンウイークを利用して一度訪れて以来なのだが、周辺はほとんど変わっていない。大社参拝以外で思い出すことが一つある。この時は同じ職場の年上の同僚と二人旅だった。和歌山から四国に出て、高知・足摺・道後と巡り、前夜は萩泊、この日萩の名所旧跡を巡ってこの地に到着したのは3時頃だった。無論宿泊先の予約など全くしていない。参拝を終え、大社駅前の観光案内所で適当なところがないか問うたところ「近くの旅館はすべて満室だが、クルマならそれほどの距離でもないところに若干の空きがある」との返事。当方としては全く問題ないのでそこを予約し、道順を教えてもらって20分足らず田圃の中を走った。すると二階建ての家々が二列に並んだ妙な集落があらわれ、どうやら宿はその中に在るらしい。駐車場所は建物の周辺の空き地である。「一体ここは何なんだろう?」と思っていると、もう妻子もある先輩が「こりゃ赤線だよ」と言う。既に売春禁止法が施行されて数年たっているので、無論その種の商売が行われているわけではないが、かつて参拝客を相手にしていた遊郭が旅館に転業したのである。その夜は男二人で安普請の4畳半の部屋で過ごす羽目になった。
大社前の駐車場から鳥居をくぐって、一件玉砂利を敷き詰めたような舗装がされている参拝路進んで神楽殿前に出る。随分人はいるのだが、広さが充分あるので混んだ感じはしない。ただあの巨大なしめ縄を入れて写真を撮るのが定番だから、その前だけ人が集まっている。バスで来た団体客が多く、東アジア人(多分中国人)のグループがいくつか混じっている。残念ながら一般参拝客は本殿まで入れないので、神楽殿で拝礼し緑に囲まれた外縁を時計回りに廻ると、国宝の御本殿(神楽殿のうしろにあるのは新本殿で国宝ではない)の一部が塀越しに見えてくる。雨こそ降ってこないものの、空は厚い雲に覆われ全体に明かりが足りないので、裏の方から写真を撮ってもコントラストが今一つだ。おおよそ一周したところに、この御本殿に前に位置する一般参拝者用拝殿に至る。ここでも拝礼。神道の持つ独特の清々しさに浸ったひと時であった。
神楽殿前を経て右わきに駐車場へ至る間に食堂や土産店が並ぶ小路がある。もう12時を過ぎているので、予定通りここで出雲そばの昼食とする。頼んだのは三色割子蕎麦、一番上が卵、二段目はとろろ、三段目はおろし大根、つゆをかけて上から食べていく。ごちそうさまでした。
写真は上から;神楽殿2葉、御本殿、御本殿前拝殿
(写真はクリックすると拡大します)
次回;足立美術館と大山寺
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