2019年12月13日金曜日

最後のグランドツーリング-7



5. 蓼科を走る-3
車山周辺を離れたのは3時少し前。ホテルへ戻るにはまだ早いし天気も良い。暗くなる5時前で時間は充分ある。「どこへ行くか?」しばし考えたが結局宿の近くの女神湖を散策することに決定。湖畔の駐車場に着いたのは丁度3時、陽気も暖かいので湖畔を歩いて一周することにする。
ここは12年前、20087月に来ているのだが、その時は蓼科山のリフトを利用して中腹に在る湿原を巡っただけで、湖の周りは観光していない。駐車場はレストハウスやスワンボート乗り場と一体になっているが、数台の車が駐車しているものの、閑散としている。ボートに乗るにはチョッとひんやりし過ぎているからだろう。
この湖はもともと農業用のため池(人工湖;周囲長約2km)。ビーナスラインが出来て白樺湖とつながったことで一気にリゾート化し、前回は湖を見晴かすオーベルジュに泊まった。そんな施設や別荘が湖畔に点在しているがどこも人の気配は全く感じられない。紅葉と気候は申し分ない時期なのだが、やはり観光シーズンの切り替わる端境期なのだろうか?とにかく静かな散歩を1時間ほど楽しんだ。
途中にガラス天井の教会が在ったので立ち寄ってみるとそれはリゾートホテルの付帯設備で、ここで結婚式を挙げるために設けられたようである。しかし、本体のホテルは休館状態だった。こんな時つい現役時代に戻り「こう言うところの経営も大変だろうな~」とついつまらぬことを考えてしまう。
駐車場に戻り、レストハウスでおやつでもと思ったが、昨晩のディナーを考えるとここで何かを摂る気にはならない。と言ってホテルに戻るにはまだ早い。
出がけにもらった「信州立科町まるごとガイドブック」を調べるとホテル上方蓼科山中腹に「御泉水(ごせんすい)自然園」なる森林公園があることがわかったのでそこへ行ってみることにする。もう夕日も傾きかけていたが薄暮の中山岳道路を駆け上がる。
自然園の駐車場にはクルマが23台。入口受付の建屋で作業をしている人が居るものの、受付は閉じられ、114日でここも長期休業に入ったことが記されている。しかし、先行していたクルマに乗っていた人達が構わず中に入って行くので、我々もそれに続くことにする。本来は有料なのだが、建屋の中にいる人も咎めない。さらに、若い女性がもう薄暗くなりかけている森の中を、我々を追い越してどんどん進んでいく。「皆で入れば怖くない」の心境で彼女の後を追う。
着いた先は運休中の蓼科山ロープウェイの山頂駅。駅の下に広がる傾斜地にいくつか椅子が置かれており、彼女はその一つに座って、前に広がり夕日に映える山々を眺めている。絶景独り占め。我々もそれにならってしばし暮れゆく山容を楽しむ。こうして静かな蓼科の一日が終わる。
入口に戻る途中気がついたのだが、ここは12年前訪ねた湿原と蓼科山への登山ルートの中継点で、その時は下からここまでリフトで上がり、そこから歩いたのだった。全く意図していなかったことだけに、最初と最後の長距離ドライブ立ち寄り点が同じことに何か運命的なものを感じた。「このクルマとの別れに相応しい」と。

写真は上から;女神湖-1、同-2、ガラスの教会、自然公園入口、山頂リフト駅からの眺め

(写真はクリックすると拡大します)

(次回;昇仙峡)

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