7. 最後の長距離ドライブを終えて
今のクルマは2007年10月末購入した。この年の3月末でビジネス人生を終え念願だった英国の大学でOR(オペレーションズ・リサーチ;軍事における応用数学)の歴史研究に約半年費やし、帰国後初孫の誕生と併せて求めたものである。父が自動車会社勤務と言うこともあり就学前から自動車が大好き、卒論もエンジンの制御をテーマに選んだほどだ。“いつかクルマを持とう”の思いは“三つ子の魂百まで”。
最初に持ったクルマはルノー4CVの国産化で日野自動車が学び、初めて自社開発した日野コンテッサSの中古車、1964年のことである。このクルマは1967年本格的スポーツカーであるダットサンブルーバードSSS(これも中古車)に代わる。1970年から73年の間横浜で所帯を持ち自家用車の必要もなかったので一時期クルマを所有しなかったが、長女(二番目の子)が生まれる少し前その後に備えて軽自動車のホンダライフを購入、爾後ホンダアコード、トヨタ・コロナ5ドア、BMW‐3、トヨタMR-S、フォルクスワーゲン・ポロと乗り継ぎ、このクルマ(ポルシェ・ボクスター)が最後となる。
9月の病気(硬膜下血腫)発症までは85歳くらいまで乗るつもりでおり、9月30日実施の認知症検定講習の予約もしてあったが、退院後も手の震えが起こることがあり(現在では治まり日常生活に差しさわりは皆無)、検定講習を見送り免許証更新をあきらめた次第である。免許証を取得したのは1961年3月だから58年間運転してきたことになるわけで、それを終えることには身体の一部を割かれるような苦痛を感じるが、一方でダラダラ運転し続けることで、高齢者が起こす思わぬトラブルと縁を切れることもあるわけで、病気発症が良いきっかけになったとも思っている。
この12年間ボクスターで走った距離は約5万5千km。最初の長距離ドライブは2008年7月新潟県の十日町から信濃川を遡り、飯山・小布施を経由し今回走った蓼科を駆け抜ける2泊3日の旅だった。以後毎年1,2回遠隔地に出かけ、沖縄を除く全都道府県を走破した。それらの詳細はすべてブログで紹介してきたので、関心のある方はそこをご訪問いただきたい。
日常の使い勝手は極めて悪い車だが、高速道路や山岳路では実力発揮、これほど信頼の置け、人車一体感を味わえるクルマはチョッと得難い。清水の舞台から飛び降りる想いで手に入れた愛車は、充分その価値をもたらしてくれたにである。
細部に時々不具合が生ずることもあるがトラブルと言うほどのものではなく、燃費は新車時全く変わらず、まだまだバリバリの現役として使えるが、免許証の切れる来月末には手放すことを決めている。その時はどんな心境になるのであろうか?涙でも流すことになるのだろうか?チョッと心配である。
(写真はクリックすると拡大します)
-完-
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