2011年1月29日土曜日

写真紀行-冬の京都を巡る-(4);嵐山から嵯峨野へ

 桂離宮後発組は1時間後のスタート。合流場所は阪急嵐山線を降り、桂川の渡月橋を渡り、川沿いの茶店と言うことになっていた。出発前に店の名前もMRNさんから指示されていたのだが、先発のSKIさんも私も名前を失念。ぶらぶら歩いているとちょうど開けたばかりの茶店があったので一休みすることにした。川に面して緋毛氈を敷いた縁台が設え、その一角だけうまく風が当たらない。明るい光の中で、豆腐田楽で一杯やりながら、後発組を待つことにした。
 後発組は離宮から直接タクシーでやってきたので、11時半頃に合流。しばし川に沿って歩き保津川(桂川上流)下りの下船地点まで行き、そこから東に開ける嵐山公園の上り道に取り付いた。この辺はシーズン(桜、紅葉)には人で溢れ返るようだが、今日は我々だけである。

 昼食は天竜寺に近い湯豆腐の「竹むら」で採ることになっているので、嵐山公園のあとは嵯峨野方面へ道をとり、途中「丹下作善」で有名な、大河内伝次郎の別邸(ここの庭も素晴らしいようだが、今回はパス)があるところで折れて天竜寺の外縁をなす竹林を抜けることにする。さすがにここには観光客が出ているが、それでも混雑するほどではない。手入れの行き届いた竹林はただの竹薮とは違い、天を突くほど高く伸びて、見る者を圧倒する。
 「竹むら」は天竜寺へは2,3分、大衆的な感じの店で、熱燗と湯豆腐で午前の疲れを癒し、午後の活力を補給するのに適当な所であった。
 天竜寺は後醍醐天皇の菩提寺として足利尊氏が創建したもの。世界遺産になっているが、何度も大火に遭っているので、建物よりは庭園に価値がある。我々の観光も庭園見学だけにした。なんといっても有名なのは本堂(大方丈)を囲む小石を綺麗に掃いて作られた部分だが、苔や先ほど見た竹林、それに桜と紅葉、ときには木々を覆う雪景色も季節によって堪能できる。ここも今日は静か、出たのはあの竹林につながる北門だった。
 再び竹林をもどり、大河内邸前で東に向かい、山陰本線の “トロッコ嵐山”駅(旧線、新線がここで分かれ、旧線は保津川下りの出発点まで観光路線になっている)を下に見ながら嵯峨野へ向かう。それほど市内から離れていないのだが、まるで山里である。北山杉の産地も近く、並木にもその独特の育成方法を見ることが出来る(根元から数本の枝を垂直方向に分ける)。

 嵯峨野散策のゴールは祇王寺、平清盛に愛された白拍子(祇王)が、やがてその寵を失い剃髪して篭ったのがこの寺。尼寺である。こじんまりしているが、如何にも世捨て人の隠れ住む地に相応しい。寺と言うより庵の雰囲気、さびしい場所・佇まいが往時をそのまま偲ばせる。京都が人々を惹きつけるのは清水や金閣ばかりでないことを、しっかり体験した。
(次回;金閣寺と舞妓)


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