幾重にも曲がる美幌峠からの下りが終わると、屈斜路湖畔から243号線は“パイロット国道”の愛称を持つようになる。これは、この辺りから根室にかけて1950年代農林省(当時)が酪農のパイロット農場を開発したところから来ている。それもあって摩周の町の周辺に近づくと、人をほとんど見かけない広い歩道、交差点付近のガソリンスタンドや農機具デーラーの低層の建物とその前庭(あるいは駐車場)、まるでアメリカの田舎町を通っているような感じがしてくる。
この後の観光スポットも含めて、ここが一番混みあっていた。風景に加え、アイヌ伝説(神の住む湖)の神秘性と唄にも歌われ、知名度で抜群の人気を集めていることがうかがわれる。それにしても、“霧の摩周湖”は星も見えない霧の夜が舞台だが、星どころか何も見えないのではないか?歌謡曲には時々こんな不思議なシーンがあるなー、と無粋な考えが明るい陽光の下で一瞬頭をよぎる。
有料駐車券が硫黄岳に利用できなければ、ここから摩周の町へ戻るところだったが、折角だから行くことにした。道を北に向けると、上りとは違い下りはヘアーピン・カーブが続く。平地に出て程なく斜里方面と摩周を結ぶ国道391号線(摩周国道)に合流。T字路で右折し僅かに北へ走るともう硫黄岳の入り口だ。ここの駐車場は広い。目の前に黄色い斜面から水蒸気が立ち上がるのが見える(写真右)。山の裏側は美幌峠から見下ろした屈斜路湖だが、こちらからは見えない。硫黄臭の強くなる所まで少し歩いて写真を撮り早々に引き上げた。次は摩周の町で昼食と給油だ。
主要道路の交わる交差点にあるモービルで給油したが、何とコーポレートカードが使えなかった(OB割引が効かない)!弟子屈ラーメンの店で食べた、知床わさびの効いた冷やしラーメンは、なかなかの味だった。帰り際に褒めたところ「割引券を差し上げましょうか?」と言われてしまう。 摩周からは釧路湿原の西側に出る道道53号線をとる。この道は湿原の東側を通る国道391号線に併走するが、そちらがメインなので極端に車が少ない。なだらかな丘陵地帯に広がる牧草地にはヘイ(巻いた干草)がそこここに見られ、パイロット国道以上に風景はアメリカンである。途中にある鶴居村の中心部など、もし星条旗でも翻っていたら、アメリカ農業地帯の小さな町そのものという感じだった。
午後の日差しは強さを増し、オープンは老女には辛いようだ。不本意ながら、屋根も窓も閉め、クーラーをつけて快適ロードを飛ばす。
(次回予定;釧路湿原)
(写真はクリックすると拡大します)
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