2011年8月25日木曜日

道東疾走1300km-12;摩周湖

 幾重にも曲がる美幌峠からの下りが終わると、屈斜路湖畔から243号線は“パイロット国道”の愛称を持つようになる。これは、この辺りから根室にかけて1950年代農林省(当時)が酪農のパイロット農場を開発したところから来ている。それもあって摩周の町の周辺に近づくと、人をほとんど見かけない広い歩道、交差点付近のガソリンスタンドや農機具デーラーの低層の建物とその前庭(あるいは駐車場)、まるでアメリカの田舎町を通っているような感じがしてくる。
 摩周の町で道道52号線に入り北へハンドルを切る。しばらくは両側に酪農場・牧場が続くが、やがてから松林が遠望され上りが始まる。走っている車は少ないし、曲がりも勾配も緩やかなので周辺の景色を眺める余裕もある。晴天は続きオープンでは日差しが強すぎるくらいだ。車が少し混んできたな、と感じたらもう第一展望台だった。今までどこも駐車は無料だったが、ここは500円(硫黄岳駐車場も利用可)徴収される。展望台・レストハウス・駐車場(町営)をスペースがあまり無い所に設けたのでこうなっているのであろうか?
 霧で有名な摩周湖だが今日は雲も少なく・高く・遠く、鏡のような湖面に逆さに反転した山が写っている(写真左)。青い空・白い雲・青々した木々・コバルトブルーの湖面・小さなカムイシュ島にしばし心を奪われる。皆狭い展望台で写真撮影に余念が無い(写真右上)。残念ながら湖畔には下りられないので、世界有数の透明度を確かめることは出来ない。
 この後の観光スポットも含めて、ここが一番混みあっていた。風景に加え、アイヌ伝説(神の住む湖)の神秘性と唄にも歌われ、知名度で抜群の人気を集めていることがうかがわれる。それにしても、“霧の摩周湖”は星も見えない霧の夜が舞台だが、星どころか何も見えないのではないか?歌謡曲には時々こんな不思議なシーンがあるなー、と無粋な考えが明るい陽光の下で一瞬頭をよぎる。
 有料駐車券が硫黄岳に利用できなければ、ここから摩周の町へ戻るところだったが、折角だから行くことにした。道を北に向けると、上りとは違い下りはヘアーピン・カーブが続く。平地に出て程なく斜里方面と摩周を結ぶ国道391号線(摩周国道)に合流。T字路で右折し僅かに北へ走るともう硫黄岳の入り口だ。ここの駐車場は広い。目の前に黄色い斜面から水蒸気が立ち上がるのが見える(写真右)。山の裏側は美幌峠から見下ろした屈斜路湖だが、こちらからは見えない。硫黄臭の強くなる所まで少し歩いて写真を撮り早々に引き上げた。次は摩周の町で昼食と給油だ。
 主要道路の交わる交差点にあるモービルで給油したが、何とコーポレートカードが使えなかった(OB割引が効かない)!弟子屈ラーメンの店で食べた、知床わさびの効いた冷やしラーメンは、なかなかの味だった。帰り際に褒めたところ「割引券を差し上げましょうか?」と言われてしまう。
 摩周からは釧路湿原の西側に出る道道53号線をとる。この道は湿原の東側を通る国道391号線に併走するが、そちらがメインなので極端に車が少ない。なだらかな丘陵地帯に広がる牧草地にはヘイ(巻いた干草)がそこここに見られ、パイロット国道以上に風景はアメリカンである。途中にある鶴居村の中心部など、もし星条旗でも翻っていたら、アメリカ農業地帯の小さな町そのものという感じだった。
 午後の日差しは強さを増し、オープンは老女には辛いようだ。不本意ながら、屋根も窓も閉め、クーラーをつけて快適ロードを飛ばす。
(次回予定;釧路湿原)
(写真はクリックすると拡大します)

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