2011年9月13日火曜日

道東疾走1300km-16;六花の森・紫竹ガーデン・十勝千年の森

六花の森
 北海道を走っていると、空間・時間感覚が北米大陸をドライブした時に近くなる。地図上で見た目標は直ぐ近くに感じるのだが、意外と時間がかかるのだ。特にここ十勝平野ではその感を強くした。十勝ヒルズを出たのは11時過ぎ、平らで似たような道道・農道を、ただカーナビを頼りに走るのだが、なかなか目的の六花の森に着かない。距離が35kmだから30分強と思っていたのが1時間半近くかかった。途中で一時有名になった幸福駅の前を通った。もう鉄道は走っていない。
 六花の森は、北海道を代表する数々の銘菓を製造販売する六花亭の工場に隣接した森林と庭園から成る公園。広々した芝生の丘には巨大なロダンの“考える人”があり(写真上、庭園内にはいくつかのログハウスの休憩所や展示館があって、花模様の包装紙を描いた画家などの作品が展示されている。園内には小川が流れ、深い森に吸い込まれていく(写真左)。花畑には、はまなし(はまなす)の花が今を盛りと咲いている。この庭園は花を見せると言うよりは、企業のメセナとして運営されているようで、観光臭が抑えられているのが良い(売店を兼ねた受付のおみやげのお菓子の種類もごく限られていた)。レストランがあれば昼食としたかったが、そんな訳で食事は次の紫竹(しちく)ガーデンまで我慢となった。出発時間は1時半になっていた。


紫竹ガーデン
 旅行計画段階から予定していた紫竹ガーデンは、再び碁盤目状の農道の中を走って30分。付近の道路には観光バスが2台駐車し観光客が乗り降りしていた。入口近くに砂利を敷いた小さな駐車スペースが在ったのでそこへ止めたが、少し離れた別のところ大駐車場があるようだ。入場すると直ぐ右に売店とレストランが併設された建物があるのでそこで遅い昼食を摂る。
 この庭園は“ガーデン街道”の始祖とも言えるもので、紫竹さんと言うお金持ちの未亡人が理想の庭園を作るために、牧場(1万8千坪)を買い取り開いたものだ。創設者自身は元々一園芸愛好家に過ぎなかったが、趣味が嵩じて花の栽培や庭園作りに傾倒、NHKの趣味の番組にも登場、テキストなども書いてこの世界の有名人になる。今では株式会社形式で経営され、その社長でもある。広大な庭園は22のゾーンに分けられ、約2500種の花々が季節ごとの美しさを見せてくれるとガイドブックに紹介されている。
 と、ここまでは出発前に得た知識である。確かに広い。いろいろな花が咲いている。一見自然との調和も図られているように見える(写真上)。しかし、グランドデザインが何か人工的な雰囲気で雑な感じがする(アマチュアの限界?)。らせん状の草花をサポートする道具がやけに目立つ。白いテーブルや椅子、あずまや(写真左)、長方形の芝生状の広場など、どうも今ひとつしっくりこないのだ。広いせいもあるが細部のメンテナンスも充分とはいえない。もしかするともう高齢で現場に足繁く出向いて指示していないのではないか?そんな思いがふと頭を過ぎった。やや期待外れと言っていい。


十勝千年の森
 本日の最終訪問地、十勝千年の森はそれまでの三ヶ所(帯広の南西)とは少し離れ日高山脈の麓に在る(帯広の遥か北西)。ここを選んだのは今日の最終目的地、新得に近いからである。紫竹ガーデンからもカーナビにお任せ、始めはそれまで同様の農道(その中には広域農道と言う一級国道並みの道もある)。しばらくすると北へ向かう緩やかな上りの地方道を進む。時々一車線ぎりぎりで草が覆いかぶさるような道まで走らされる。所要時間は約1時間。3時半に広くよく整備され、緑の多い駐車広場に到着した。西日がきつく、明るい。まるでアメリカの公園へ来たような気分だ(写真上右)
 ここは十勝毎日新聞社という地方コンツェルンが経営しており、駐車場の角にあるお土産物屋を兼ねたビジターセンターの大きさからして、今までの庭園とは規模が違う。公園の広さはガイドブック・案内パンフレットにも載っていないが、多分意味が無いからであろう。トレッキングやセグウェイ(アメリカで発明された、立って乗る電動二輪車)のコースまである。おすすめ順路は約3時間。とてもこんなに時間は使えない。ビジターセンターから料金所まで続く森を抜ける遊歩道を歩く(この間は無料)。料金所で「どちらから?」と聞かれたので「横浜から」と答えると「今日は道外からのお客様が多いです。有難いことです」と謝意を表された。有料エリヤの入り口に近い庭園(これも英国人設計のイングリッシュガーデン)を一巡して(写真上左)、ビジターセンターに戻り、ここで濃厚なミルクで作ったソフトクリームを堪能して本日の観光を終えることにした。
 駐車場から今朝走ってきた国道38号線(十勝国道)まで出て、北へ約40分、今日のゴール、ヨークシャーファームに着いた。夕日の中、どこからか羊の鳴き声が聞こえてきた。
 本日の走行距離228km。

(次回予定;ヨークシャーファーム)
(写真はクリックすると拡大します)

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