2012年11月14日水曜日

逆賊三藩山岳ドライブ (10)



-磐梯・吾妻・奥只見を走る-

8.喜多方
道の駅“裏磐梯”を出発する頃には雨は上がっており、道路も乾き始めていた。桧原湖畔から喜多方へ向かう国道459号線は幹線道路ではないので交通量は少ない。しかし、観光地を結ぶ路線だからか、道路の整備状況は良好で走り易い。取上峠までは上り、そこからはなだらかな下りで、適度にワインディングして運転を楽しめるなかなか良いコースだ。やがて目の前に広々と開けた会津盆地の田園地帯が見えてくる。如何にもここが豊かな稲作に適した土地であることを感じさせる風景である。
市内南北に走る幹線道路国道121号線を横切り、それと並行する、おそらく古くからの米沢街道と思われる道に出る。どうやらここら辺が喜多方の中心らしい。街中をナビの案内でしばらく進むと、広い駐車場のあるコミュニティセンターのような所で案内を終えた。
喜多方の蔵が注目されるようになったのは、地元の写真家の作品がNHKの目に留まりそれがTV放映された昭和30年代以降のようだ。ガイドブックには市内に2千の蔵があると書かれているが、時間の制約のある中で、どこを見たらいいのかさっぱり判らない。しかし、そこは良くしたもので、歴史的に価値のあるものを一ヶ所に移設し観光の便に供するようにしたのが“蔵の里”である。由緒ある蔵7棟、民家2棟が集められ、ガイドまでついて説明してくれる。もともとは市のサービス部門の一部だったようだが、今は第三セクター方式で運営されている。
米蔵・味噌醸造蔵・商品蔵・酒造蔵それに座敷蔵などと言うのもある。つまり蔵と呼ばれているが、それは単なる物を仕舞う倉庫ばかりではなく、生活の場としても使われる、防災対策(火災・盗難)を施した建物なのである。ガイドが蔵の数は4千というので、「ガイドブックには2千と書いてあるが・・・」と質したところ「それは古い数字です。その後町村合併で4千になったのです」とのこと。喜多方市の総人口は約5万人、住居として使われている“蔵”が多いに違いない。
これらの蔵以外にも2棟の大きな民家がここで見られるが、それらは郷頭、肝煎など地方有力者の住居で往時の富と力の大きさを今に伝えるものであった。“蔵の里”の向かい側にはレンガ作りの小規模は市美術館もあり、コンパクトな観光地区としてよく整備されている。
さて、11時半。この時間なら喜多方ラーメンを食べずにこの町を去るわけには行かない。どこがいいのか判らないので、手持ちのガイドブックに書いてある“老麺まるや”へ出かけることにしてナビに案内を委ねる。場所は裏磐梯から走ってきた国道459級号線が121号線と交差する少し手前なので来た道を戻ることになる。ナビの案内で難なく店にたどり着いたが駐車場が無い(ガイドブックで“有”を確認)。しばらく迷ったが、近くの神社の中にそれが在った。店内は田舎の駅前食堂風、椅子席と畳席がある。さすがに昼時、ほとんど埋まっていたが、幸い大テーブルに席を取ることが出来た。店の中にはごちゃごちゃとお土産品なども置いてあり「観光客の方に大人気」と書かれたTシャツなどもある。一瞬「これは失敗かな?」と思ったが、地元のサラリーマンらしき客もいるので、一安心。メニューはセットもあるが、周りを見回すとどうやらチャーシュー麺が多いので、我々もそれを注文する。塩味のそれは、結論から言うと“大成功!”。値段も750円だからリーズナブルである。
当初の訪問計画にはなかった喜多方だが、ここへ立寄ったのは正解だった。
写真はクリックすると拡大します

(次回;只見川に沿って)

0 件のコメント: