この時私はECCS(Exxon Computer ,Communication & Systems)との打ち合わせでメンバーに先行し9月19日に日本を発ち29日までニュージャージーに滞在。そこに導入されていたIBM・MF互換機、アムダールの互換性調査などに当り29日にシカゴに移動、10月1日(金)オヘア空港で皆と合流した。今回は、個々のトピックスは次回以降に譲り、大まかな研修ツアー・ルートを辿ってみたい。
オヘア空港は乗換えだけでバッファローに向かう。明日は土曜日。先ずナイアガラ観光である。実はこのような観光プログラムが週末あるいは夜は組まれ、堅苦しい勉強ばかりではないのだ。過半は海外出張が初めての人達なのでこう言う配慮は極めて効果的だ。折しもカナダは紅葉真っ盛り。美しい景色は当に夢の国へ来た感じだろう。次いでニューヨーク・マンハッタンに移り、その夜は希望者はミュージカル見学である。このあたりはJTBの添乗員が現地支店のメンバーと準備してくれる。至れり尽くせりサービスだ。
4日(月曜)から研修開始。先ず訪れたのはマンハッタンにオフィスを構えるA/FE(Asia and Far
East)本部。ここで歓迎を受け、その後の研修についてあらためて説明を受ける。翌5日は市の北部、ヨークタウンハイツにあるワトソン研究所(基礎研究)を訪れ、ノーベル賞の江崎博士を交えた昼食会が催される。6日はこれも州北部イーストフィッシュキルに在る自家用半導体工場の見学。帰路にはロックフェラー家所縁の地などに寄る。7日は近郊、ホワイトプレーンズに在るIBM・USAを訪れ、主に社内システム(特にネットワーク)の説明などを受ける。これも帰路に彼方の丘の上(アーモンク)に在るIBM本社を遠望する。夕方ニューアークからノースカロライナ州ラーレイへ向かい、8日はリサーチ・トライアングルに在る通信システム開発製造拠点を訪問。夕方当地を発ってワシントンへ。週末は博物館・美術館やアーリントン墓地などの観光に費やす。
日曜日の夕方ワシントンからラ・ガーディアに飛び、そこから専用バスで、これもニューヨーク市北東部にある、IBM発祥の地ともいえるポケプシーに向かう。ここには教育センター(ホームステッド)と汎用機組立工場が在るのだ。天城のホームステッドに比べると古い(第一号)こともあり設備などは天城の方が快適なくらいだが、ほぼ同じような雰囲気だ。異なるのは運営方式がオリジナルのままで、教育の場ゆえ“アルコール類禁止”であることだ(とは言っても抜け道はあり、個人でこっそり持ち込み、自室で飲むのは許されているようだ。我々も引率者(日本IBM)、MTAさんの手引きでショッピングセンターにバスで乗りつけ、おもいおもいの酒類を購入した。バスに戻るとMTAさんが「見えないように新聞紙などで包むよう」アドヴァイスしてくれた)。
ここでの研修は他と違い、工場見学 もあるものの“見学とそれに付帯した解説・説明”講義は僅かで、専ら“経営とIT”に関する講義が中心、それがみっちり三日間ある。それも皆IBMの社員によってである。製品売込みばかりでないこんなプログラム構成は、当時のわが国コンピューター・メーカーには無いもので(学者やコンサルタントを講師で呼ぶものはあったが)、この辺りに彼我の差を感じたメンバーが多かった。
ここから中西部ミネアポリスに移動。15日はミネソタ州ロチェスターに在るオフィス・コンピュータS/3Xシリーズ(この時はS/38、のちにAS-400 に発展していく)の工場を訪れ、汎用機とは全く異なるアーキテクチャーの考え方や将来構想を学ぶ。主力ではないだけに、却って社内異分子としてのプライドを持っており、独自文化を頼もしく思ったほどである。
この週末はバクチ公認の町、リノ(ネバダ州)に降り立ち、そこから西部劇を髣髴させるバージニアンシティ、カーソンシティなどをバスで巡りレイク・タホ湖畔の、カジノ付きホテルに宿泊、翌日はシエラネバダ山脈を越えてカリフォルニア州都、サクラメントの鉄道博物館などを見学。夜はサンホセ泊となった。
シリコーンヴァレーにはいくつかのIBM施設が在る。サンホセ工場は大型記憶装置の開発・製造を行っているし、ここに教育センターも併設さている。また、当時新設のサンタテレサ研究所はソフト開発、特にプログラミング技術の最先端研究所だった。当然これら見学し、開発・研究テーマについての話を聞く機会も設けられていた(それぞれ1日)。また、サンフランシスコ郡(County)の情報システムについて郡役所(市内)で、IBMユーザーの声を聞くことも出来た(半日研修、半日市内観光)。最後の研修はロスアンジェルスの銀行訪問。これは金融関係参加者のために用意されたプログラム(半日研修、半日市内観光)。そして週末はディズニーランド。最後にホノルルで2泊して帰国した。
“よく学び・よく遊ぶ”を地で行く研修だった。当然皆確りIBMシンパとして洗脳されたことは言うまでも無い。
(前回10月23日帰国としましたが、26日の誤りでした。お詫びし訂正いたします)
(次回;IBM・STI参加;つづく)
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