2012年11月24日土曜日

逆賊三藩山岳ドライブ (13)



-磐梯・吾妻・奥只見を走る-

11.酷道352号線
この道は新潟県柏崎を基点にし、栃木県河内郡上三川町(宇都宮)を終点とする330kmの山岳道路だが、銀山平から先50km位集落が全く無いのだから、本来どう言う経緯で出来た道なのか不明である。全線が開通したのは1972年なので尾瀬観光辺りが動機なのかも知れない。しかし、ガイドブックには夏シーズンに予約制小型路線バスが走るよう書いてあるものの、ダイヤなど記載されていないので、どのように利用できるのかも分からない。通常11月半ばからは閉鎖される、厳しい走行条件を覚悟して走らなければならない。まして、昨年7月の豪雨で銀山平から尾瀬口の間は道路が寸断され、復旧に1年以上要しているほどだから、天候次第では途中で引き返すことも考えておく必要がある。その場合は小出まで引き返し、関越道で戻ろう。この道を選んだときの危機回避プランである。
昨日は夕闇も迫っていたので並行する電源開発用の壁面・天井は素掘りのままの黒又トンネルを走ったので、難所の一つといわれる枝折峠はバイパスした。そんなわけで本格的な走行はこの朝からである。幸い空に雲が残るものの、快方に向かいつつある。草原を出立した時後ろを走っていた地元の軽自動車はトンネル方面へ向かって分かれていったので、いよいよ単独行になった。トンネルとの分岐路を1kmも進まぬうちに道幅は115車線程度に狭まり、上り勾配の路面も荒れてくる。左側に奥只見湖が見え始めてもいいのだが、高い雑草や木々に遮られてよく見えない。それ以上にカーブの連続でとても脇見を出来るような状態ではなく、ガードレールなど防護柵は無いところも多いから一瞬たりとも気が抜けない。道路には側溝など無論無く、山から流れてくる水は“洗い越し”と呼ばれる、道路を横断する緩いU字溝を通って谷へと落ちていく。今まで他の酷道では見たことも無い、お握りを二つ並べたような道路標識がそれを予告する(写真右上)。外国の住宅地内道路に在るバンプ(盛り上がり部)のように、そこはユックリ走らないと、激しい突き上げを食らうことになる。こんな“洗い越し”が次々と現れる。
それでも小回りが効き、スピードに緩急が付けやすいスポーツカーは俊敏に走る。やがて前を行く空荷の中型ダンプカーに追いつくと、退避地帯で先を譲ってくれる。後で出会ったコンクリート・ミキサー車も中型だった。とてもフルサイズのトラックで動けるような道ではないからだ。
こんな車たちと会うのは、一応全通したとはいえ、まだまだ道路修復工事が続けられているからなのだ。場所によっては大勢の作業員と建設機械が入っている所もあり、そこでは交通整理も行われているが、大方の工事現場は信号機による片側交互交通になっている。平日、遊び車でそんなところを通ると、何か後ろめたい気分に襲われるのは、工場勤務が長かったせいであろうか。
高度は銀山平の800mから県境に向かって次第に高くなり、それにつれて紅葉が美しくなってくる。幾重にも蛇行する道は、曲がり部分では道幅に少し余裕があるので、車を停めて山の色模様にしばし見惚れる。県境に沿って走る樹海ラインの紅葉はまだまだつづく。
写真はクリックすると拡大します

(次回;酷道352号線;つづく)

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