-磐梯・吾妻・奥只見を走る-
4.浄土平
磐梯吾妻スカイラインは福島市側の高湯温泉から猪苗代側の土湯温泉に至る約30kmの自動車専用道路である。そのほぼ中間点に浄土平は在る。標高は1600m。小休止したつばくろ谷からは約7kmだからほんのひとっ走りであった。吾妻小富士(1707m)など三つの小山に囲まれた小盆地で“平”の名に相応しい。そんな地形だから湿原があり、春から夏にかけてはその中の遊歩道を廻るのも一興らしいが、このシーズンはもう草木もほとんど枯れて寒々しい。広い盆地は充分な駐車場や休憩施設を設けるのにも適しており、平日と言うのに収容能力300台の駐車場は7割方埋まっている。ナンバーを見ると地元福島ばかりでなく、仙台、土浦、宇都宮など近隣の他県からも観光客が集まってきていることが分る。
晴れてはいても標高が高いので持参のフリースをシャツの上に着るのだが、それでも寒い。と言って食事は済ませたばかりだし、まだお土産を求めるには早いので建物に入る用事も無い。観光客の一部は目の前の吾妻小富士に登る人もいるが、結構時間も体力も要りそうだ。結局ここではトイレ休憩と写真撮影程度で早々に引き揚げることにする。
チョッと先を急ぎたい気になっているのは、計画検討段階から“磐梯吾妻レークライン”への道の採り方が今ひとつはっきりしていなかったからだ。スカイラインからレークラインへ岐け入る地点には何もランドマークと言うようなものが無く、その先にある桧原湖周辺の施設などを設定すると、猪苗代湖寄りの道(レークラインの南を走る)を選んできてしまう。それもあって浄土平から桧原湖畔まではナビをセットせず、道路標識に頼ることにしたので、もし道を間違えた場合の時間の余裕を見ておく必要があるのだ。
浄土平を出てしばらくするとこの道の最高点、烏子平(1622m)に達し、そこから山肌に沿ってカーブが続く。高湯から浄土平への道は北東から南西に向かう上りなので、午後は逆光で紅葉の彩がチョッとくすんだ感じになるが、この下りは南西斜面なので日差しに色が映える。前後する車もそれほど多くなく、ハンドル捌きと山の色模様を楽しむこことが出来る。
やがて土湯の料金所(本日は開放中)を過ぎると福島方面と猪苗代方面に道が分岐するので、猪苗代方向に道をとると、国道115号に入り、しばらくすると“レークライン”の案内が出てくる。この案内に従って県道70号に分入るとそのままレークラインの料金所につながっていた。ここも嬉しいことに“開放中”だ。この頃になるとさっきまで晴れていた空は、曇りに変わり木々に覆われた道路は夕方のように暗くなってくる。この辺りは事前の紅葉予想でも“色づき始め”残念ながら少し早いようだ。“レークライン”の湖(秋元湖、小野川湖)も木の間隠れにちょこっと見える程度。ここは一言で言うと“期待外れ”。オープンにしてきた屋根を閉じることにする。
レークラインを出ると桧原湖沿いの道、県道2号線を北に向かう。30数年前の夏、この近くのペンション村に泊まり、子供たちと五色沼を訪れたり桧原湖ではモーターボートにも乗ったりしたが、当時の景色や道がどうしても蘇ってこない。車で走る限りあまり印象的な景観がそもそも無いのだ。頼みは道だが、人工湖畔のそれは変化に乏しく、おまけに前を桧原湖周回の、古風なボンネットバスに阻まれ、ドライブの楽しみさえ奪われてしまった。これから開放されるのは、桧原湖北端でスカイヴァレーへ分け行ってからである。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;西吾妻スカイヴァレー)
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