2013年5月19日日曜日

遠い国・近い人-27(友朋自遠方来 不亦楽乎-8;シンガポール)



29日(土)に会うことは決まったが、何処で何をするかについてはその後もメールのやり取りが続いた。どうやら今回はツアー参加ではなく単独行らしい。宿泊先は“ホテル・グランドフレッサ赤坂”、聞いたことも無い名前。調べてみると相模鉄道系のビジネス・ホテルであることが分る。何処を案内するか?何時何処でどんな食事にするか?特に食事に関しては、前回の来日でJiayingがほとんど我が家で用意した食事に手を付けず「カップラーメンがいい」などと言い出して、皆を唖然とさせたことが思い起こされ、くどくこの点を質した。折り返しのIt Chengのメールではっきりしたことは、「Jiayingはアレルギー体質で食事には自宅でも気を遣っている。肉類は白身;例えばチキンはOK。魚は銀鱈、マグロ、カンパチ、ハマチ、鯖なども問題ない。アレルギーが出るのは貝類・えび・蟹・烏賊」と言うことであった。家内ともども「そうだったのか!」とあの時の言動に納得した次第である。夜にするか昼にするかは我が家の次女のスケジュールでランチに決まった。
東京・横浜の交通事情に慣れていない彼らを慮って「ホテルに迎えに行くよ」と伝えたが「調べて行くから大丈夫」との返事。それでも心配なので手書きの地図と待ち合わせに適当な電車の時刻表を添付して、横浜駅での再会を約した。到着した6日夜無事着いたこと、指示に従った電車で出かけるとのメールが入った。あとは当日異変が起こらぬことを願うばかりである。
異変が起こるのはこちらの方であった。9日昼は充分時間があると言っていた次女が「当日取材が入り平塚に1時半までに行かなければならない」と言ってくる。手際よく彼らと昼食を済ませるには横浜駅周辺が好ましい。またJiayingの体質を考慮すればビュッフェ・スタイルが無難である。早速西口駅前の横浜ベイシェラトンのランチを予約しよとしたが、既に満席との返事。やむなくみなとみらいのインターコンチネンタルホテルに空きを見つけ、観光ルートの調整も行う。
当日寒さは厳しかったが幸い晴れだった。待ち合わせ時間(10時半)前に横浜駅に着き、観光案内所で英文のガイドマップを入手して、彼らと次女を待っていた。最後にIt Chengとシンガポールで会ってから14年を経ている。お互いの変化を考えると、直ぐには見つけられないのではないかとの不安もあり、私の相貌については「白いあごひげを伸ばした髪の毛の薄い老人」としておいた。この助言はどうやら適切だったようで、こちらより先に先方が私を見つけてくれた。It Chengは髪に白いものが混じってはいるがそれほど変化はない。しかしJiayingは背も高く完全にレディに変じており、一人なら見つけられなかったろう。とは言っても直ぐにあの甘えん坊でマイペースの幼い日々のJiayingが戻ってくるのだが。
駅での立ち話では「昨日は日光に行ってきた」とのこと。ホテルあたりで用意する現地参加ツアーかと思いきや、何と自分たちだけで出かけたのだと言う。「陽明門も素晴らしいが、雪山を見たのははじめて!」と興奮気味に話し出した。どうやら冬の日本を堪能するのが東南アジアの人達(特に若い人)の間でブームになっているようである(確かにTVでそんなニュースを見たような気もするが)。この話は横浜観光最後の休憩場所、ニューグランドホテルのティールームで再び話題になる。

(つづく)

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