14.天橋立(2)
天橋立を特徴付ける長く延びた砂嘴を俯瞰するのは高い所からしか適わない。文殊山でそれを楽しんだ後は、その砂嘴に踏み込んでみることにした。東側に開ける宮津湾と西側の内海、阿蘇海の間を南北に横切るそれは全長3.6km、徒歩だと往復3時間かかる。40数年前来た時には貸し自転車で廻った記憶がある。南側の観光基点である文殊地区の商店街にはずらーっと自転車を並べている店もある。我が家には息子が出ていって以来自転車は無いし、乗ってもいない。しかし、水泳と自転車は一度おぼえたら出来るとよく言われてきた。就職後工場勤務時代は通勤も場内移動も自転車だった時期もあるので私には問題ない。問題は家内である。聞けば最後に乗ったのは中学生の時と言う。どうも自信がなさそうなので、徒歩で途中まで出かけてみることにする。
内海と湾をつなぐ水路は南の端にある。そこには、船を通すための廻旋橋が設けられておりそれを渡ると松林が広がり茶店などがある。有人の建物があるのはそこまでで、あとは松林の中に未舗装の道が北へ向かって見え隠れするだけ。平日の昼時、人影はまばらだ。しばらくは砂嘴の幅が広いので間近に海辺は見えず、8千本の松の中を歩くだけだから、景観を楽しむよりは森林浴に近い感覚である。
ただこれだけの松林を退屈せずに歩けるのは、ところどころに“由緒のある?”松があるからだ。大正天皇お手植えの松、岩見重太郎仇討ちの松(傍らに竹囲いされた“試し切りの石”と言われる一里塚のようなものの割れた一片が置かれている。まさか!)や万葉に由来する松などが説明板と伴に現れる。面白いのはこんな狭い砂嘴(20~170m)の中に古くから真水が出る所が一ヶ所在ったことである。磯清水と名付けられたそこは日本名水百選の一つとし今でも珍重されている。
阿蘇海側の海際は石垣などを積んで砂浜はほとんど無い。一方宮津湾側は海流による浜の侵食を防ぐために低い防潮堤が短く斜めに湾に向かっていくつも張り出しているので、砂州は鋸歯状になってつながっている。海水浴などは専らこの人口砂浜で楽しまれるようだ。
砂嘴の中ほどにある橋立神社で引き返し文殊の商店街に戻る。時間は12時半、丁度お昼時、何を食べるか?事前調査では当然各種活魚料理が名物であることが分かっていたが、それほど特色のあるものは無かった。そんな中で目を惹いたものにアサリ丼、アサリうどんがあった。今夜の泊まりは城崎温泉、そこも海が近く魚料理は売り物、それに昼食は軽いものがいい。海鮮定食は避け、アサリうどんが食せる店を探すのだが木曜日は定休日の所もあり、意外と手間取る。やっと“海渓”という食堂にそれがあることが分かり早速注文する。うどんはこの地の名物ではないが関西では先ず間違いない。そこに沢山のアサリが入ったそれは極めてシンプルはものだったが、大変美味しかった。これで三日間昼食は麺類(初日;きし麺、二日目;おろしそば)でいずれも満足した。最終日の明日の昼食もその地の代表的な麺類を楽しめたらとの思いが浮かんでくる。
昼食の後土産物屋に寄る。ここを過ぎると後は城崎温泉しかあれこれ選べそうな所は無い。城崎温泉では、料理はとも角それほど特色ある土産物は期待できない。結局丹後の名物である黒豆を材料にした、煎餅状のおこしのような菓子が試食して口に合ったので、これを求めた。
ガソリンは満タン、腹も満腹。いよいよ本ツーリング最後の山場、丹後半島に向かう。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回:丹後半島)
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