18.丹波篠山路を経て
5月17日(金)、三日かけて走った往路を一日で帰る日だ。旅館を出てから自宅まで、距離はおよそ640km、走行時間にして約8時間半。今までのドライブ行で最長の距離と時間だ。立ち寄り地点決定の第一因子はSSである。帰路は自動車道を最大限に利用するのでE/M/GのSSはきわめて限定的、結局最後の給油ポイントは東名の富士川SA上りのゼネラルになる。ここから自宅まで約100kmだからそれ以前の行程は540km、この距離を無給油で走るには自動車道に入る前に一度満タンにしておく必要がある。幸い北近畿豊岡自動車道が始まる和田ICの近くにエッソのSSが在る。城崎からは50km足らず。ここにナビのゴールを設定して8時50分西村屋を出発した。
城崎温泉駅までは昨日来た道を戻り、そこから円山川に沿って南下する県道3号線(リバーザイドライン)を走る。晴天の朝この地方の中心地、豊岡に向かう道はそれほど混雑もしておらず、丹後山地を東に臨みながら豊岡盆地を快走する。豊岡市内も川沿いの道は町の東端を抜けていくので、兵庫県中央部を南北に結ぶ幹線道路ながら、クルマの流れはスムーズだ。自宅出発時異常音を時々発していたのも、二日目以降治まっている(この時点で原因は依然不明だが)。
和歌山在住7年の間に山陽道・山陰道を利用して近畿・中国は随分走っている。縦断も、和歌山を出て京都経由福井へ、さらに鳥取から岡山へ、四国を巡った後山口から島根(出雲)経由広島へなど、道路事情の良くない40数年前何度か連休を利用したグランド・ツーリングを楽しんだ。また、本籍のある兵庫県西部も姫路・龍野(“赤とんぼ”の歌誕生の地)を二度訪れている。関東を中心に生活してきた者としては、比較的この地方のイメージ・土地勘はある方と自認しているが、これから走る一帯はスポッと抜け落ちているのだ。何と言っても観光の目玉が何も無いことがその理由だ。「丹波篠山、山家の猿が・・・」のデカンショ節でその名を知られるくらいではわざわざ出かけてみようと言う気にはならない。だからこそ今回は、自動車道を駆け抜けるだけとはいえ、「どんな所だろう」との興味がわく。
県道3号線はやがて国道312号線に変わり、円山川を挟んで東側には県道2号線が並走するようになるとナビはその道を選んでくる。やがて国道9号線(山陰道)と交わることを避けるためだろうか。この指示は大変良かった。山と川に挟まれて並木の植わる空いた道はまるで外国の道を走っているような気分にさせてくれる。やがて“やぶ(養父)”と言う道の駅に到着。この先土産物を入手できる所は高速のSAしかない。ここで黒豆を食材にした煎餅を求める。さらにこの地方道を進んで和田SSに到着。満タンにしてナビを“自宅”にセットする。
和田ICは加古川方面から山陽道・中国道を結んで北上する播但連絡道と北近畿豊岡自動車道(国道483号線)との連結点(JCT)でもあるが、有料区間は遠阪トンネル(300円)だけだ。道はそれほど高くない山間を東に京都府との県境に向かって適度なワインディングとアップアンドダウンが連続する、通行量も少ない楽しい道だ。周りの景観は、低い山と田んぼが混在する、本籍のある龍野付近とよく似ている。県境の付近で南へ向きを変え舞鶴若狭道路(有料)と春日JCT(丹波市・篠山市)で交わりさらに南下する。この辺りの風景は山陽新幹線の車窓と似ており、低木で覆われた小山が連続する。“山家の猿”から描く山奥のイメージは全くない。吉川JCTで中国道に入るともう神戸市内、三田、西宮、宝塚などなじみの名前が道路標識に表われてくる。あとは流れに乗って走るだけである。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回:新名神を通る)
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