2014年4月12日土曜日

ブログ雑談-6;ウクライナのこと


ここのところNHKニュースが、G20開催もあり、ウクライナを頻繁に取り上げている。日本人にはあまりなじみのない国だが、20038月に数日黒海に臨むオデッサという港湾都市に滞在したことがあり、個人的な関心もあって注意して観ている。
この時のオデッサ訪問は、そこに在るロシア資本の石油会社ルックオイルの製油所を訪問し、IT利用の程度を診断し、近代化の提案を行うことであった(原油はすべてパイプラインでロシアから輸入)。当時の旧ソ連圏では会社(工場)訪問は先方の招待状をもらい、そこが用意した旅程に従う方式で、オデッサ空港到着から一般の旅行者とは扱いが異なり、VIP待遇だった。案内されたホテルはオペラハウスと広場を共有する高台にあり、名画「戦艦ポチョムキン」に登場する有名な階段も近い“モーツァルト”と名付けられた高級ホテル。講演者で最年長者だった私の部屋は、角部屋の広大なリヴィングルームを持つスウィート、いまだかつてこんな立派な部屋に宿泊したことはない。費用はすべてこちら持ちだったから、同行した横河電機の日露スタッフは支払をしきりに気にしていたほどである。
製油所でも街でも日常用語はロシア語だが、街のたたずまいは、この旅でそれまで訪れてきたロシアの都市とは異なり、西欧的な雰囲気がするものであった(昨年マルセイユを訪れたときオデッサを思い起こした)。8月のここは、日本人の感覚では初秋であるが、まだ避暑リゾートの雰囲気が残り、それも開放感を感じさせてくれた(モスクワ育ちのロシア人スタッフの一人は水泳パンツを持参し、顧客との懇親宴会の前にひと泳ぎして「黒海の水に浸かった!」とはしゃいでいた)。宴会の席上「注文が取れてしばらくここに滞在できるといいなー。その時はガールフレンドを同道したいなー」と言ったら、我々の受け入れを取り仕切っていた総務部長(元KGBだとの噂)が「連れてくることなど必要ないさ。可愛い子はいくらでもいるよ」と応えて皆で大笑いした。
ただ、そんな和やかな中にも何かとロシアとの関係では気を遣うところがなかったわけではない(特にロシア資本であることもあり)。「ウクライナはロシアとは別の国として考えていいか」とロシア人スタッフに聞いたところ「講演ではCIS(独立国家共同体)と言った方がいいだろう」と助言された。また、ここで競合他社のセールスマンと鉢合わせしたが、彼もモスクワからやってきていた。
偶々いま名将ロンメルの伝記を読んでいる。その時代背景がかなり克明に解説されなかでミュンヘン会談に始まる、チェコスロバキア解体のくだりにウクライナの現状がオーバーラップする。一連の政治的・経済的大混乱の後の強権政治体制、戦争(冷戦)で失った旧領土の回復、大国(EUを含む)介入の曖昧さ、自治権の拡大要求(スロバキア分離独立はドイツの工作)、住民投票による帰属決定、経済・軍事面での締め付け、アッと言う間にチェコスロバキアは消滅してしまった。クリミアはズデーテン(チェコ西部;ドイツ系住民が多数派)か?プーチンはヒトラーか?

好印象の訪問だっただけに、ニュースで伝えられるこの国の動向に目が離せない。

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