1.新会社創設(14)
日経トップ記事すっぱ抜きも杞憂に終わり、新会社スタートも最終段階に至る。資本金、組織と人事(本体に残る組織を含む)、オフィス増設、移転資産などなど設立準備は続く。その中で今回は社名について書いてみたい。
検討段階で「社名はグループ全社員から公募し、新会社転籍・出向メンバーの投票で数社に絞り、順位を明らかにして経営会議で決定する」ことになっていた。そこで1985年5月の連休後に締切日を設定し、公募を行った。正確な数は記憶にないが数百件にのぼる多数の応募があった。多かった用語は当然だが、情報システム、システム開発、システム・センター、インフォメーション・テクノロジーなど、それに東燃を付けるかどうか。またそれらの英語名を略字にしたものなども随分あった。ただ“ユニークさ”と言う点でそれほど面白いものは無かった。
情報システムサービス分社化の動きは数年前から始まっており、それらの社名も大方は親会社のイメージに直結するものが多く、そんなところが無難だとの意見がある一方、いずれは株式公開を目指すのだから、独立自主の意気を感じさせる名前にしたいと言う声も強かった。
こんな議論の中で最終的に決まる“システムプラザ”はOTB前情報システム室長(この時は既に定年退職し嘱託になっていた)の一言に発する。まだ公募が正式に行われる前、OTBさんと私を含む数人の室員が雑談している時「最近若い人に好かれる場所を表す言葉に“プラザ”があるんだよ」との発言があった。それが“広場”を意味するスペイン語であることは知っていたので、この案を採用すると“システム広場”と言うことになり、目指す企業体(プロセス製造業を対象とする情報システム構築者)のイメージとはかけ離れた第一印象を与えるような気がした。しかし他のメンバー(皆私より若い)は極めてポジティヴな反応を示したのである。公募の段階でOTBさんは辞退したものの、事務局を預かる者としてこの名前をリストに加えたところ、何とトップ当選してしまったのである。
“東燃”を付けるかどうかも大きな問題だった。既存の100%子会社は総て付いているので、順当なら東燃システムプラザとなるところである。東燃自身決して知名度の高い会社ではないが、知る人ぞ知る優良会社、大方のメンバーにはそれに未練がある。中には「娘の嫁入りに欠かせない!」などと拘る人もいる。一方エンジニアリング会社の東燃テクノロジー(TTEC)のシステム部として商売をしていると、石油精製や石油化学企業ではそれだけで敬遠されてしまうケースもあった。従ってここで仕事をしてきたメンバーは全員“東燃外し”を主張した。結局「経営会議で問題提起しよう」で臨んだところすんなり“無し”で通ってしまった。
正式名称は“システムプラザ株式会社”、英語名は“System Plaza, Inc.”、通称SPIN(スピン)。ここには軌道から飛び出すSpin outの意が込められている。
この社名は3年後東燃を付けて東燃システムプラザとなるがこの経緯はいずれ時期が来たら書くことにする。
(次回;“新会社創設”つづく)
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