3.バルセロナ
バルセロナという都市名が日本人に広く認知されたのは1992年開催されたオリンピックではなかろうか。水泳を健康維持の糧としている私には、200m平泳ぎで優勝した、当時中学生の岩崎恭子選手が強く印象に残る。アントニオ・ガウディのあの奇態な教会(サグラダ・ファミリア)を知るのはそれ以降だった気がする。しかし、その存在とそれがいまだ建設途上であることを知ると「スペインへ行く機会があったら、いつか是非訪れてみたい」と念じるようになった。
旅行各社のパンフレットをみると、スペイン旅行では、いずれも特殊な旅を除いて、すべてにこの教会を観光するようプログラムが組まれている。日本観光を代表するものが富士山ならばスペイン代表は、断突でサグラダ・ファミリアといえる。幸いバルセロナ観光にはこの教会の他にもガウディの作品に触れる機会があるので、当初はこの町はそれで十分と考えていた。しかし、何冊か目を通したガイドブックの中で、今回いわばバイブルといっていい紅山雪夫の「魅惑のスペイン」ではわりとあっさり説明され、19世紀この地で開花した“モデルニスモ(モダニズム)”芸術の一部として解説されているに過ぎない。紙数を割いているのが旧市街(ゴシック地区)、歴史的な見所はこちらに多いように受け取れる。一方旅行社のプログラムではここを巡る計画は皆無だった。そこで充分あるわけではない自由時間をそれに当てることにした。
6月7日(日)晴。昨夜はパドリョ邸ライトアップを見た後、ホテル近くのコンビニ?で缶ビール2缶と水2瓶を求め(何と缶ビール一缶3€、水は2€!完全に観光客価格だ!)、風呂の後ビール2缶を飲んでバルセロナFCの試合をTVで観戦しているうちに時差ボケなど無く爆睡。極めて爽快な目覚め。7時からの朝食ビュッフェに出かける。当然ハモン(生ハム)中心で美味しい朝食。多分アメリカ人と思しき若者の団体を昨夜はホテル内そこかしこで見かけたが、まだ起きていないようで静かに、ゆっくり朝食を摂れるのがありがたい(もともとそれほど騒がしい連中ではなかったが)。
今日の出発は9時だから食後も時間はたっぷりある。昨夜短い時間しか外出していないので、ホテル周辺の土地感をつかむためしばし散歩をすることにする。ホテルの前は広い中央分離帯と並木の連なる大通り、コルツ・カタラネス通り、下には地下鉄が走っている。左側一件先はメインストリートのグラシア通りだ。日曜の早朝だけにほとんど人出は無く、散水車で清められた道を歩くのは気持ちがいい。先ずホテルの南東1ブロック先にあるカタルーニャ広場に向かう。どうやら昨晩のバルセロナFC三冠獲得でここに群衆が集まったようで、清掃車・清掃人が大勢出て作業をしている。広場の東側のクラシカルなビルは朝日に照らされてキラキラして気持ちがいい。広場のベンチで一休み。北側を見ると屋上にIngres(あとで分かるがこれはスペイン最大手のデパート)と大きな看板を掲げたビルの前に、そこだけ人が多く集まり同じ塗装のバスが何台も停まっている。バスセンターでも在るのかと思い近づいて見ると皆空港行。どうやら東京の箱崎のような所だった。
30分ほど広場周辺を散策してホテルに戻る。分かったことは宿泊しているホテルは、東京でいえば銀座4丁目に所在しているようなものだった。これもあとで分かるのだが、ゴシック地区(旧市街;下町)も徒歩の範囲、至極利便性のいいホテルなのだ。この地の利に加え、セキュリティ、清潔感、アメニティも満足すべきもので、当地訪問者にお薦めのホテルといえる。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;バルセロナ;つづく)
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