7.善光寺
上州・信州の温泉場を廻る計画を発念した時には善光寺参りは考えていなかった。第一のポイントは草津、第二は渋峠越えで小布施。それから先は松本・上田周辺から山梨県北西部の温泉地で適当なところと考えていた。これであれこれ当たった結果松本市街とつながる浅間温泉が浮上してきた。ここは何度かの信州(特に美ヶ原・白樺湖方面)ドライブで通過はしているものの、宿泊したことが無かったからである。「松本の奥座敷ならばいい旅館があるかもしれぬ」と。小布施から浅間温泉までも山間部を走る一般道を選べば運転を楽しむこともできるし、時間もかかる。早過ぎれば見どころの多い松本市内で調整すればいい(概ね既に訪れているが)。この案を家内にぶつけると、ご本尊御開帳中(丑年、未年に実施;「牛に曳かれて善光寺参り」はここからきているのであろうか?)の善光寺に寄れないかという返事。私は何度かお参りしているが、家内は一度も出かけたことがなかったのだ(長野市に泊まる旅行はしているがその時は松本観光の途上だった)。ご本尊は拝観していないので、その提案に乗ることにした。小布施から長野に出て善光寺参り、そのあとは長野道を松本まで一気に南下すれば、立ち寄り時間は充分とれる。
小布施を出たのは2時少し前、千曲川を小布施橋で渡ると国道18号線に突き当たる。そこを南西に20分ほど行くともう長野市内。予想外に近い。カーナビにセットした“善光寺”に導かれ門前通りの西側を走る大通りを行くと何カ所か駐車場が現れる。満車の所もあるが平日の午後、何とか善光寺の末寺が経営するらしい所にスペースを確保できた。特別な催し物があるので当然だが、駐車料金は一回2千円!とびっくりするような値段である。ただ長野駅周辺の比較的安い公共駐車場に停めると、そこから善光寺までの交通手段確保の手間と時間がかかるのでこれで我慢することにした。
駐車場から仁王門に至る道はメインストリートではないが、それでも人で溢れており、御開帳人気の高さがうかがわれる。仁王門から山門(重要文化財)に至る参道は仲見世で、両側に土産物・お守り・仏具などを商う店舗が並ぶ。この仲見世を通り過ぎ山門を入ると、本堂(国宝;江戸時代中期)との間に回向(えこう)柱が据ええられ、人々がご利益を得んとさかんにこれに触れている(ご本尊に触るのと同じ意味を持つ)。
本堂手前右側の案内所で御開帳参拝券(5百円/人)を求めて行列に並ぶ。本堂の外では真っ直ぐ本堂に向かっていた行列は、履物を脱いで中に入ると4列で何度もつづら折りになり、ご本尊(一光三尊阿弥陀如来;天竺、百済を経て渡来)を拝観できるまでには15~20分かかる。私たちはここまでで終えたが、本堂の下や周辺を巡るお戒壇巡り、印分頂戴(宝印を捺してもらう)など様々な参拝場所・方式があるようだ。
宗教(仏教)にまるで疎い私が奇異に思ったことは、この寺は天台宗と浄土宗が同居してことである(天台宗;「大勧進」と25院、浄土宗;「大本願」と14坊)。天台宗の方が古いことからメインなのだろうが、二つの宗派が一つの寺にまとまるというのは例がないのではなかろうか?しかも浄土宗の「大本願」は尼寺なのだ!なお、住職は代々公家から出ており、現在は鷹司家出身121代目とのこと。これもちょっと他の名刹では無いのではないか(宮司はともかく)?思わぬ立ち寄りからあれこれ好奇心が起こってきた。「少しは信心ということを考えろ」ということかもしれない。
3時半ここを発って、今日の宿泊地浅間温泉に向かう。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;浅間温泉)
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