4.マラガへ
私なりに“スペインらしさ”を期待したのはアンダルシア地方である。リゾートよりは地方色・歴史が強く感じられ、中でもグラナダとコルドバはイスラムと西欧の絡みに大いに惹かれるものがあった。その取っ掛かりとしてマラガへ飛ぶのである。計画検討時旅行社にもらった案内パンフレットには空路を利用することの他は特別な情報は記されていなかった。しかし、前日の午後、翌日の予定を知らされて驚いた。「モーニングコール;4時、パッケージダウン;4時40分、朝食;朝食ボックス、ホテル出発;5時」と説明があり、さらにディナー解散時「8時過ぎたら明日の朝の弁当が用意できているので、フロントで受け取ってください」と告げられる。信じ難いスケジュールなのだ!結論から言えば、時間と費用を少しでも節約し、目いっぱいアンダルシアを観光するプランだったわけである。この地方に2泊でめぼしいところは訪れることができたから、その点ではよかったのだが、年寄りにはチョッと辛い行程だった。
前夜フロントで渡されたボックスはかなりの大きさがある。中身はサンドウィッチ、ミネラルウォーター、紙パック入りのジュース、バナナ、菓子パンのようなもの。これを持って飛行機のエコノミークラスで広げるのは憚られる(と言うよりも液体は空港のセキュリティで面倒を起こす可能性がある)。4時に起きて部屋で早々と食してしまうことにした。考えることは皆同じ、誰も出発時これを持ってきた人はいなかった。
昨夜ホテルへ戻ったのは9時前、外はまだ明るかった。逆に夜明けは遅い。暗い中を空港に向け出発した。空港に着くころには夜も白み始め、早朝にもかかわらず結構どこのカウンターも込み合っている。特に中学生や高校生と思しき団体がやたら目につく。着ているものは揃いのジャージーが多いので「若者のスポーツ大会でも開かれているのか?」とガイドに問うと「学期末休暇の修学旅行です」とのこと。彼らは夏休みが卒業・進級の時期なのだ。我々の搭乗機も1/3くらいがそのような生徒で埋まり、座席の周辺は離陸までは騒がしかったが、飛び出すと静かになったので一安心。乗った飛行機はどうもLCCの様な会社(ヴェリング航空)で何のサービスも無かった。
マラガはコスタ・デル・ソール(太陽海岸)の中心地なので空港は国際空港。我々は市街地には行かず、“白壁の村”として有名なミハスを目指す。ここは土地のガイドは居らず、添乗員のSSKさんが、地図をくれて簡単な説明をしてくれた後、昼食場所まで案内してくれそこで解散、昼食時間まで自由行動となった。小さな村の広場、その先の地中海を見晴るかす展望台、小さな闘牛場(今日は開催していないが入るには入場料が要るので見学はせず)、市場などを散策する。展望台からの眺めは空気が澄んでいる時にはジブラルタルまで遠望できるようだが、残念ながら春霞(夏霞?)がかかり見ることは出来なかった。白壁の通りには花々が飾られ美しい。
ここでの昼食は“ワイン博物館”という名のレストランでガスパッチョ(トマトの冷スープ)とイカ墨の煮込みだった。このメニューはパンフレットにも記されていたので、申込時に私だけ別のものにするようお願いしてあった。イカ墨のパスタを始めて食べたのはギリシャのアテネで、その時は全く異常なく美味しくいただいた。次いで御茶ノ水で同じものを摂った時も何ともなかったのが、3度目を飯田橋のイタリアンレストランで昼食にこれを食した直後体中に蕁麻疹がでた。それ以来イカ墨を避けているのだ。代わりのイベリコ豚のカツは塩辛さが強く、日本のとんかつに比ぶべくも無かった。ただこの地の名産シェリー酒(へレス)はなかなかの味で、以後この地では専らアルコールはへレスで通した。
ここで初めてのお土産を買った。バスの駐車場近くに屋台を出しているナッツ屋である。ピーナッツ、アーモンド、胡桃などを蜂蜜と混ぜて焼き上げたものである。味は良いし値段も安く、お買い得だった。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;グラナダ)
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