8.金沢観光
ホテルの在る香林坊と東茶屋町はかなり離れている。一先ずホテル裏の金沢城公園の一画で前夜作ってもらったおにぎりで軽い昼食を済ませ、路線バスで東茶屋町に向かう。先ほど前を通った交番辺りが観光ルートの出入口、しばらく路地を東へ進むと案内所があり、街の由来や見所を丁寧に説明してくれる。江戸時代から焼けずに残った歓楽街ゆえ道路が狭いのだ。中心部はきれいに整備され、無論クルマは入れない。さすがにもう“お茶屋さん”はなく、飲食店やお土産物屋、あるいは工芸店(特に金箔細工)に転じているが、風情はそれらしい面影を残しているので、趣のある街歩きが出来る。そんな道筋で見つけた“森八”と言う加賀藩御用達の老舗菓子屋で一休み。外国人も和菓子と抹茶を楽しんでいる。とにかくここ金沢もインバウンドブーム、いたるところで外国人を見かける。
次の観光スポットはこの街の西に在る近江市場だが、ここは買い物と食事を楽しむ所だし、以前一度行ったことがあるので(カニを買って旅館で料理してもらった)今回はパス。
一旦バスで香林坊に戻り、ホテルでチェックイン手続きをして、徒歩圏内に在る長町の武家屋敷跡を観て廻ることにする。ここは家まで残っているところは限られているので、公開されていることがガイドブックに明記されている“野村家”を最初に訪ね、それから周辺を散策することにする。野村家は、信長の家臣前田利家がこの地に入城した時(16世紀末)からの直臣で禄高は1200石の馬廻組頭だった家である。中央部には控の間、謁見の間、上段の間(総ヒノキ造り)など在り、周辺には仏間、離れの茶室や庭を見渡す奥の間などが配された立派な作りだが、家族や使用人がどんな暮らしをしていたか推察するすべはなかった。それは本来の館が長い歴史の間に分割分譲され移築されたものを、昭和初期に上段の間を中心に復元したことに依るらしい(本来は敷地千余坪だが今は200坪程度、近代の復元故国・県重要文化財ではない)。
ここの後は土塀で囲まれた屋敷町全体を観て廻ったが、長屋門なども往時を偲ばせて、そんな中に九谷焼の工房などもあって、なかなか落ち着いた雰囲気を醸し出している。
二カ所の観光で強く印象に残ったのは、加賀百万石の伝統が今に生きているのだろうか、とにかく歴史再現に“貧相なところがない”のが、何と言っても素晴らしい。また古いものとモダンなものの共存もここほどバランスよくまとまった所を知らない。あちこちに在る自称小江戸・小京都あるいは中途半端な懐古地方創生とはそこが根本的に違う。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;ホテルとディナー)
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