2017年8月11日金曜日

信長回想ドライブ1200km-11


11.越前海岸を行く
期待外れの東尋坊を出発したのは11時過ぎ、オリジナル計画では金沢の朝立ちも早く、出来れば東尋坊観光の後北前船寄港地として有名な三国港に寄ることもオプションとして組み込んでいたのだが、今日の後の予定、特に長浜周辺の観光が気になりパスすることにした。
越前海岸走破は年来の希望だった。これほど海に近い道路を長く走る機会はそうあるものではない。あったとしても最近は防波堤が高かったり、やたら洞門状のトンネル(海側に明り取りがある)が連続し、景観を楽しむのに難があるところが多い。しかし、越前海岸に沿う国道305号線は山も高さや勾配が適度はこともあって、三国の少し南から眺望に良い海抜のところを、トンネル部も少なく、海を眺めながら敦賀まで60km近く走れるのだ。このシーズンあまり食や花々を楽しむ(水仙畑もカニもオフシーズン)ことは期待できないが、寒くもなく暑くもなく、ドライブと言う点では最高の時期とルートの一つと言っていいだろう。読みは違わなかった。東尋坊を出て三国港からつながる坂井市の工業地帯(福井備蓄基地はここに在る)を抜けると、あとは海を右手(西)に見ながら、適度なアップダウンとハンドルさばきを楽しめる。その大きな理由は、急ぐクルマは北陸道、用事のある車は国道8号線を利用するので、全体の交通量が少ないうえに、トラックがほとんど走っていいないからだ。しかも有名は観光スポットが全くないことがそれに輪をかける。現れるのは小漁村がちらほら、スピード要注意ここだけで、あとはマイペースで走れる。それだけにガソリンスタンドやレストランもほとんどないので、それなりの準備が必要だ。
ガソリンはともかく(充分明日まで問題ない)、昼食はボツボツ考えなくていけない。できれば景色が良いところに、駐車しやすい小奇麗なレストランが在ると良いのだが、と思っていたところにそれらしきものが現れた。左側に数台の車が止まっている広い駐車場、その奥の山懐に低層のコンクリート造りの東屋のような建物が見える。右の海側前方には大きな岩のアーチが張り出し、手前に小公園のようなものがある。時刻は丁度12時。取りあえず昼食と散策でも、と駐車場に入る。マツダロードスターの傍らでバイクツーリングの青年と話していたおじさんがこちらに手を振る。皆走りが好きでこの道を選んだに違いない。
駐車場の外れから今通ってきた国道305号線に沿う形で鉄の階段がある。「ここから見所に行くのだろう」と勝手に決めて上るとただの横断歩道橋だった。交通量を考えれば不要とも思えるが、渡った先の公園の案内板や駐車場の広さから、ここが越前海岸を代表する観光名所と知って合点がいった。越前岬“呼鳥門(こちょうもん)”があの岩のアーチなのである。シーズンには人もクルマも多いのだ。
案内板によると旧国道が呼鳥門下をくぐり抜けていたが、崩壊落石を恐れて、2002年山側にトンネルを穿ちバイパスしたとのこと。呼鳥門観光の後は歩道橋を渡らず、道路を横断したのは言うまでもない。
コンクリートの東屋と見たのは立派なレストランと土産物屋を合わせた建物。土産物屋では鮮魚も扱っており、そこで料理して食せるようにもなっている。他に別棟の貸し切り?レストランもあり、団体が来ても対応できる、かなり大掛かり施設だった。造りも鄙には稀な立派なもので、利用はしなかったがトイレ(大)はまるで坪庭の中に在るようだった。美味しそうな海鮮料理がメニューに並び、何組かの客はそこから選んでいるが、今夜はフランス料理のフルコースだから、カニピラフで軽く済ませることにした。この一連の施設は第3セクターの経営かと思ったが、“有情”と言う純然たる民間経営であることを帰宅後調べて知った。
精算の際レジの男性に「越前岬はどこですか?」と問うと「ここが“越前岬”と特定した場所はありません。ここら一帯がそうです。ただ灯台がありますから、そこに立ち寄ったらいいでしょう」と場所を教えてくれた。1時前有情を出発、灯台への道路標識には“水仙ランド”とあった。急な山道を登り切るとそれが在ったが、シーズンでないから灯台以外は何も見るものはなし。直ぐに国道に戻り、さらに越前海岸を南に下り敦賀の少し手前で海岸に別れを告げた。この道は期待通りだった。

(写真はクリックすると拡大します)


(次回;信長ゆかりの地を巡る)

0 件のコメント: