6.ホテリ・アアルト
猪苗代湖周辺、紅葉、温泉、大内宿、山岳ドライブ、連泊、が今回のキーワードである。計画を検討し始めたのは9月上旬。先ず決めなければいけないのが宿泊先。会津や猪苗代に焦点を合わせれば、東山温泉、磐梯熱海あたりがポピュラーだがややリゾート感に欠ける(会津若松の奥座敷あるいは古くからの湯治場感が強い)。その点磐梯山の裏側は、何となく別荘地風で落ち着けそうな感じがする(ごく少ない体験に基づくのであやしいが)。一方で伝統的な温泉宿は少なく、ホテルやペンションが多い。リゾートホテルの問題点は団体と流行っていないところを選んでしまったときの寂謬感である。あれこれ当たってみて最も好ましい候補として裏磐梯高原ホテル(約50室)が浮かび上がってきた。しかし、残念なことに10月中旬から11月中旬の一ヶ月間で連泊できるところはなし、他のホテルは大き過ぎて複数の団体客利用の恐れが多分にありそうだ。これだけは避けたい。対象をオーベルジュタイプ(レストラン付き小ホテル)などに広げて探したところやっと見つけたのが“ホテリ・アアルト”であった。
惹かれたところは;客室が少ない(13室)、建物は古い山荘を建築家3人が徹底的にリノベーションしたもの、木の素地を生かした内装・家具、部屋にキッチン設備があること、夕食は本格的なフレンチ、五色沼に極めて近い、米沢方面へのアクセスが良いなどである。気になったのは;道路に近くうるさいのではないか?道路とあまり違わぬ高さだと部屋からの景色はどうなんだろう?元の“山荘”は何だったのか?もし山登り主体だと浴場や食堂などが粗末ではないか?などであった。しかし、ハイシーズンで残りの部屋も少ないようなので、即Webで予約した。
ホテリ・アアルトはHotelli Aaltoと綴る。いずれもフィンランド語でHotelliはホテル、Aaltoは波のことだとHPにあった。周辺に五色沼、秋元湖、小野川湖、雄国沼などが点在し、少し北には桧原湖、曽原湖、南には猪苗代湖がある(大小300余りの湖沼があるようだ。敷地内にも湧き沼がある)からこんな名前にしたのだろうか。確かにフィンランドを舞台にした“1000湖ラリー(別名ラリー・フィンランド;今年はトヨタ・ヤリス(ヴィッツの欧州名)が優勝)”と言う湖水地帯を巡るラリー競技があるから、あながちフィンランドと波に無縁ではない。無垢の木を生かした内外装・家具も明らかに北欧をイメージしているのでそんなコンセプトを売り物にしているようだ。
ホテルへのアプローチはユーチューブの動画で国459号を上り下りして確認してあった。道路際に在るこれも無垢の板に書かれた“HOTELLI aalto”が目印だ。時刻は4時半頃、磐梯山の北東裏に当たるためもう完全に太陽は山陰に隠れており、辺りは薄暗くなってきている。するとその看板が現れた。まもなく左に折れる緩い上りの道を進むと大屋根形式の建物が見えてきた。駐車場はその前に開けているが、結構車が止まっており、一部は前後2台が踵を接するように駐車している。「どこに停めたら良いのか?」と思案していると玄関からスタッフが出てきて誘導してくれた。どうやら2台連結駐車は従業員用らしい。
二重扉玄関の中は小さなフロントとロビー兼ラウンジが配されている。ロビーの窓側はカウンター席になっており、書き物やPCを扱うのに手ごろなように設えてある。ロビーの奥はL字型にソファーが置かれ、書物や新聞を読むのに適した感じだ。全体の内装は板張りで当に山荘であった。チェックイン手続きを終えると若い女性スタッフが、一階の施設(浴場、食堂、庭への出入りなど)を説明してくれ、エレベータで2階に向かう。208号室が我々の部屋だ。
予約をしたときこのホテルが13室から成ることは判っていた。クラスは、スウィート;1、スーペリア;4、デラックス;8である。予約時空いていたのはデラックス2室だったから、写真で「これはチョッと面白そうだ」と感じて指定したのがその部屋だった。写真に写っていたのは、リビングに簡易キッチンが付いた一角と寝室部分が分かれており、その間に廊下がある造りになっていた。案内された部屋に入り、それがどう言う構造か分かった。全体の形は凹型、左の突起部分に玄関・トイレ・クローゼット・洗面/シャワー室、キチンコーナーそれにリビングが配置されている。突起の右側が寝室で、二つの突起を廊下でつないでいるのだ。この分離方式はなかなか使い勝手がよく落ち着いた雰囲気を醸し出していた。では凹みの部分は何か?エレベータシャフトがここを貫いているのであった。幸いなことに音は全くしなかった。
夕食時間は6時半を予約したのでまだ1時間半ほどある。先ず温泉で今日の疲れを癒すことにした。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回:ホテリ・アアルト;つづく)
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