-バス、鉄道、船、乗り物三昧の9日間-
8.モノトーンの町フロイデンベルク
5月22日(火)朝早く目覚め外を見ると雲はあるものの、それが朝日に映えている。今日も天気は期待できそうだ。モーニングコールが6時と早いのは、今日の行程が他の日といささか異なることによる。最終目的地はベルリンだが、この間フロイデンベルク、ケルンと観て廻り、ケルンから高速鉄道ICEに乗りベルリンに向かうことになっている。鉄道利用区間はバスには用がない。そこでこのツアー専用バスは我々のスーツケースを積んでベルリンに直行する。つまり荷物だけは早く発たなければいけないのだ。
ビュッフェスタイルのあまり変わり映えのしない朝食を摂った後、8時半に今日のためだけにチャーターされたバスでホテルを出発。近くの自動車専用道に入ると市街中心部を遥か西に見ながら外縁道路を反時計方向に廻り、やがてアウトバーンA5号線さらにA45号線へと進んでいく。今回は現地ガイドは乗らず、案内は添乗員のFSMさんのみだ。北上する道路の景観は昨日とあまり変わらず、なだらかに起伏する緑野が左右にどこまでも広がる。昨日との違いは、交通量の多さ、特にトラックが目立つ。前回も書いたように、車線数に関わらず、走行車線は右一車線だから、そこを長い貨物列車のようにトラックが連なる。左側の追い越し車線を猛スピードで走る車も、追い越しが終わると走行車線に入る。マナーは極めていい。
二日目になると少し日本の自動車専用道との違いが分かってくる。先ず感じたことは日本のような大規模サービスエリア(SA)をまったく見かけないこと。それに対して、何も設備のない(ように見える)パーキングエリア(PA)が多いことである。その数少ないSAでトイレ停車があった。トイレは有料(50セント)、自動改札で1ユーロ硬貨を入れたら、次回使える金券カードがおつりだった。これを数人分集めるとSAの売店でコーヒーなどの支払いに使える。
今日の最初の観光地はフロイデンベルク(Freudenberg)。Freudenはベートーヴェン第九交響曲の合唱でも歌われる、“歓喜”の意、Bergは山だから、歓喜山と訳して良いのだろう。ここも日本のガイドブックには出てこず、FSMさんによればドイツでもあまり知られていないのだと言う。それでもアウトバーンの案内には明示されていたし、街中はそれなりに観光地の風情だった。ここの特徴は、町の中心部の建物のほとんどが黒っぽく塗られた木の柱や梁と白壁で作られており、白黒のモノトーンが醸し出す落ち着いた雰囲気が売り物なのである。また建物の造りは急傾斜の切妻で三階・四階建てになっており、チョッと白川郷や五箇山の合掌造りを彷彿とさせる。バスが止まったのは観光案内所の前、駐車場は別の所にあるようで、我々を降ろすとどこかへ去っていった。
この案内所の周辺で街をぶらつくのかと思ったが、FSMさんは「町全体を見渡せる丘が近いのでそこまで行きましょう」と先に立って案内してくれる。大してきつい道ではなかったから、皆彼女について登ることにする。10分もしないうちに山頂?の公園に達して振り返ると、町中見事な三角屋根の波である。この頃から空が雲に覆われ少し暗くなってきたのも、モノトーンを強調、日本人の感覚に馴染みやすい景観が出現した。
FSMさんの説明に依れば、この町も戦災に遭い破壊されたのだが、時間をかけて再建されたとのこと。この後何度も観ることになる、破壊建造物再建・景観復旧へのこだわりとそれへ向けての努力を認識させられた初体験であった。
写真上から;立ち寄ったSA、街中、全景
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;ケルン)(メールID:hmadono@nifty.com)
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