2018年7月22日日曜日

ドイツ周遊3000km-18



-バス、鉄道、船、乗り物三昧の9日間-

12.ベルリン-3
芸術(美術、音楽、演劇、建築)を理解するには、本物に触れることが大切だと思っている。それもあるのだろう、ツアーではそれなりに美術館や博物館あるいは民族舞踊見学などが組み込まれることが多い。また多くの宗教施設(教会、モスク)を訪れるのも、私にとってはこれに近い視点だ。ベルリンはその意味で、歴史的に特記される場所の一つである。戦前はパリと並ぶ華やかな文化都市であり、東西ドイツ統一後、その勢いを取り戻しつつあるように思われる。今回のツアープログラムでその“生に触れられる”機会は二つ。一つは絵画館、もう一つは夕刻開催されるクラッシック音楽の演奏会である。限られた時間の中で、個人旅行では別の選択もあったと思われるが、それなりに楽しい時間を過ごすことが出来た。
ブランデンブルク門を発したバスは南へ向かい、左手に墓石を大量に並べたような“ホロコースト慰霊碑を見ながらポツダム広場で右折、右側にはガラスを張り巡らせた円形のソニーセンター。冷戦崩壊後ソニーが建設し、欧州本社が置かれたことから名前が来ている。高級アパート、ショッピングセンター、シネコンなどが入っており、映画博物館も在って、ナチス政権下でアメリカに亡命した大女優マレーネ・ディトリッヒ関係のコレクションも多数展示されていると言う。時間があったら是非見学したい所だが、残念ながら今回そのチャンスは無い。
そこから200m位進むと奇妙な黄色い多角形の建物が現れる。ベルリンフィルハーモニーのホールだ。「一体全体中の構造はどうなっているんだろう?」全く外からは想像がつかない。このポツダム広場界隈は統一後の再開発重点地区、新しい建物が多数あり、その方面に興味があればお薦めの名所である。ユニークなベルリンフィルの隣が広いアプローチが東に向かって開けている絵画館、これも建築としてなかなか印象深い。外からは横に広がる白い低層の建物だが、展示室は天井の高い地階に在り、そこに13世紀~から18世紀に至る1400点の西欧絵画が展示されている。無論ブリューゲル、デューラーなどドイツ人作家の作品が多いのだが、ラファエロ、ボッチェリ、フェルメールなど著名外国人画家の作品も半数を占める。私がこの絵画館を気に入った理由は二つ、先ず(世界有数と言われながら)混雑していないこと、次いで展示作品に宗教画が極めて少ないこと、である。カソリック文化の国々はおどろおどろしい絵が多すぎる!
1時間半の見学で外に出たのは午後4時前、外の暑さはかなりのものだ。バス内の温度計は外気温30°C!と示している。まるで夏だ。次に向かたのは東側を流れるシュプリー川の中州に在る博物館島、ここには小アジアで収集された考古学上の資料が展示されているペルガモン博物館を始め、それ以前19世紀に建てられた4つと合わせて5つの博物館があるのでそのように呼ばれている。残念ながら中を見学する時間はなく、ベルリン大聖堂前で一時下車して記念撮影をしただけで、ホテルへ戻ることになった。感心したのはこの中州周辺は激しい爆撃に会いほとんどの建物が壊滅しているのにその片鱗さえ残さない現状である。このことは、この後訪れるドレスデン以降ほとんど同じ。復元にかけるドイツ人の執念を、この目で見ることが出来たのは、何よりの収穫だった。石と木の文化の違いだけだろうか?
一旦ホテルに戻って一休み。夕刻6時にいつもとは別のバス(労働時間制限)でホテルを出て、先ずディナー会場へ。西方へ向かったことは確かだがレストランの場所は定かではない。大きな複合ビルの1階にそれは在った。摂ったのは肉団子とジャガイモ料理、それに黒ビール。代わり映えのしないメニューである。
これを済ませると、本日の締め“クラシック音楽鑑賞会”である。場所はブランデンブルク門の西に広がる広大な公園、ティーアガルテン(英:Deer Garden;鹿公園;もともとは王家の狩猟場)の西端にあるシャルロッテンブルク宮殿、初代プロイセン王フリードリヒ1世がその妃ゾフィー・シャルロッテのために17世紀末に造ったものである。残念ながら演奏会場は本館ではなく、隣接する別館、その1階中央ホールを挟んで一室が演奏会場、他方はレストランとして設えてある。平らな広い部屋に椅子が200席ほどと言ったところ。添乗員も入れて32人の日本人はかなり目立つ存在だ。
演目は46月は“モーツァルト名品集”。休憩を挟んで“フィガロ”や“ドン・ジョヴァンニ”の曲が14、例のかつらをかぶった演奏家たちに依って演じられた。観客はきわめてカジュアルないでたちで聴きに来ている。今のように大演奏会場が無い時代、貴族たちもこんな雰囲気の中で演奏を楽しんだのだろう。もしかしたら演奏は食事やパーティのバックグラウンド音楽だったのかもしれない。とにかく面白い趣向であった。7時半から始まった演奏会が終わったのは10時。自分好みのプログラムではなかったが、まあベルリンを楽しんだ1日であった。

写真上から:ベルリンフィル、絵画館パンフレット、ベルリン大聖堂、演奏会パンフレット

(写真はクリックすると拡大します)

(次回;ドレスデン)(メールIDhmadono@nifty.com
  

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