2024年1月31日水曜日

一人参加の三陸ツアー(10)


 

10.三陸鉄道リアス線(Sanriku Railway Rias Line after the disaster

本来なら北の久慈から南の盛(さかり)まで全線163km、途中で宿泊・観光しながら乗り潰したかったが、ツアーゆえ宮古から陸中山田までの一部区間乗車となった。距離はわずか26.5km


地域振興策の一環なのだろう団体改札口は別にあり、プラットフォームへの入場も優先される。既に2両編成のディーゼルカーが入線していたので、これが終点盛までの編成と考えていたが、乗降口は先頭の車両、運転席のすぐ後ろの一ヶ所のみ。一両だけで運行するワンマンカーなのだ。丁度高校下校時、都会のラッシュアワー並み混雑となり、ところどころで高校生が観光客に席を譲っている。私は幸い海岸窓側に席を確保していたが、何か被災地の人に申し訳ない気分になる。



1413分宮古駅発。次の駅磯鶏(そけい)はまだ宮古市街の内だが空き地が目立ち建っている家も新しい。おそらく津波に洗われたに違いない。この景観は数駅つづき、本来は水田だったと思われる場所も雑草に覆われ荒れ地と化している。海から少し離れてきても同様だから、相当奥まで海水が押し寄せたのだろう。

海岸が見える所は前日の島越駅から見たのと同じ高く厚い堤防が築かれ、河口は強力な水門で守られている。歴史を振り返れば、この地方は何度も津波に襲われている。次がいつになるかは予想もつかぬし、おそらく我々の世代はこの世にいないだろうが、今度の津波対策が効果を発揮するよう願うばかりだ。


1450分陸中山田駅着。ここで我々は下車する。駅舎の東側に海が見えており、駅の周辺はプレファブタイプの建物が多く、郵便局もその一つ。ローカル色は全く感じられない。駅舎もモダンな新築だから、駅の周辺は完全に洗い流され、整備再興されたのではなかろうか。短い鉄道旅だが震災と鉄道の関わりを観察するには、それなりに乗った甲斐があった。

(つづく)

 

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