2011年9月27日火曜日

道東疾走1300km-20;クロージング

 予定通り苫小牧港を7月11日18時45分に出港した“さんふらわあ・ふらの”は、ダイヤよりは若干早く翌12日13時30分大洗港に到着。途中の航海は往き同様穏やかなものだった。水戸大洗ICで北関東自動車道に入り、常磐道→首都高中央環状線→湾岸線と走り約3時間で自宅に帰りついた。

 私のドライブ旅行は、景色や名所巡り、グルメも関心事ではあるが最大の楽しみはクルマの“走り”にある。ただ幹線国道や自動車専用道路の、トラック輸送の流れに身を任せるような走行は単なる移動であって“走り”とはいえない。その点で今回の道東ドライブは本州のそれとは比較にならぬ楽しいものだった。先ず自動車専用道路はトンネルや掘割が極めて少ないので展望が開け快適だ。一般道も集落、交通量、信号が少なく、長い区間をマイペースで走れる。ベストは網走から美幌峠を越え、弟子屈から道道53号線で釧路湿原の西側を行くコース。起伏や曲がりも適度に在り人車一体感を心ゆくまで堪能した。次いで良かったのが日高富川から南富良野までの273号線。ここは“樹海ロード”とも呼ばれ、途中町と言えるのは占冠くらい、ほとんど無人の山中を行く。高くはないが峠越え(金山峠)も在るので、アクセル加減・ハンドル捌きに変化が楽しめた。平坦な道では、短い距離ではあったが、網走から小清水原生花園へのオホーツク海沿いの道も“最果て感”がなんとも言えなかった。

 アメリカの州は愛称を持つ。代表的な一例はニューヨーク州の“エンパイア・ステート(帝国州)”だろう。その南隣、ニュージャージは“ガーデン・ステート(庭園州)”と呼ばれる。有名な庭園があるわけではないが、地域全体が庭園のようなのだ。それに倣えば、道東は差し詰めわが国のガーデン・ステートと言っていい。それは数多く存在する個々の庭園だけでなく、適度に起伏がありながら広々とした景観も楽しめる地形があるからだ。ただチョッと不満は、個人経営の庭園は規模が小さく散在していることで、全体と個のバランスを欠き、“ステート”と称するにはもうひと工夫必要と感じる点である。そんな中で割りと良かったのは十勝ヒルズとパノラマロードで、花々とそれに繋がる遠景の緑や山々の組み合わせが見事だった。
 旅の楽しみの大きな要素に“食”がある。最近、日本旅館を避ける傾向にあるのは、食事が種類・量とも多すぎるところにある(食糧難の時代に育ったので残すことに罪悪感を感ずる)。今回それを避けるために網走・釧路は宿・食を別にした。しかし、海の幸を楽しむための店の選択とオーダーを確り考えなかったので、ここでも“多すぎる”過ちを犯してしまった。奥の細道ドライブの酒田のように、地魚中心の鮨+αくらいで済ますべきであった。それに引きかえ、富良野のフレンチと新得のラム料理はいずれも質・量ともに満足できた。黒部・飛騨ドライブでも高山牛のフレンチが一番だったことを考えると、これからは洋風を中心に旅の計画を立てようかとも思っている。
 宿は全てホテル。リゾート(富良野)、ビジネス(網走、釧路)、ペンション(新得)と泊まったが、いずれもそれぞれの選択要件を満足させてくれた。ベストは値段もあるがフラノ寶亭留。この地を再び訪れる機会があったらやはりここを選ぶだろう。中高年齢向けの洗練された小ホテル(家族連れや若者グループが来ない)はこれからのニッチマーケットに間違いない。
 反省は“走り”と観光のバランスである。このシーズンこの地域に行くことは花や緑が目玉になる。私の好み、“走り”を優先したことによりこのバランスが崩れた。特に二日目の富良野から網走への行程は、計画段階から距離と時間に疑義を感じていたのだが、一応算出データに依ることにした。その結果富良野から美瑛の観光スポットを大幅に端折ることになり、最終日半日、再び駆け足で見て廻ることになった。本来なら富良野に少なくとももう一泊して、ゆっくり花と景観を愛でる時間を作るべきであった。
 全走行距離は1655km、満タンベースのガソリン消費量は142l、燃費は11.65km/lであった。これもまずまずの成績である。

 春に大震災で高野山から紀伊半島深奥部へのドライブ計画を中止、結果このドライブ行が実現した。船旅も含め大遠征だったが、“走り”と言う点で今までこんな楽しいドライブは無かった。来月には二番目の孫が誕生予定だから秋のドライブは諦めざるを得ない。今年はこのドライブ一つで終わるが、“走り”に関しては最も充実した一年となるだろう。
(完)

   ー 長期にわたり連載をご愛読いただき有難うございました ー

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