5.久し振りの奈良観光
奈良へは中学・高校の修学旅行で来ているほか、和歌山工場時代に何度か訪れている。つまり最も直近でも40数年前と言うことになる。それもほとんど日帰りのドライブ行である。従って街の変わりようを記憶に留めることはなかった。比較の対象は60年近く前の修学旅行だけである。
中学の時は伊勢神宮を参拝してから関西本線(蒸気機関車の牽引だった)で、高校の時は京都から宇治経由でバスだった。観光先で記憶に残るのは二度とも大仏と法隆寺、外から校倉造を見た正倉院、それに若草山くらいである。高校の時は天気が悪く、若草山の周辺はドロドロだったことだけは憶えている。
今回は晴天。午後の陽光は明るく、遅咲きの桜が奈良公園のいたるところに残り、ボツボツ草木は新緑が芽を吹きだしている。高層建築が少なく自然との調和が素晴らしい!京都が歴史的人工物溢れる古都であるのに対して、ここは当に往時の景観をそのまま今にとどめる古き都と言える。京都がパリならば、奈良はフィレンツェと言うところだろうか?奈良がこんなに美しい都市であることを初めて知った。
登大路の駐車場から大仏殿までは徒歩で10分程度。水路や土塀が残る道を辿ってのアプローチも風情がある。中門付近に至るとやはり修学旅行や団体旅行が目に付くが、平日のせいか境内はさほど混雑していない。
広い緑の前庭が大仏殿をひと際クローズアップする。大仏様のご尊顔を拝観し裏へ廻ると、中国人団体客が柱の穴くぐりに興じていた。
次は、緑と桜に覆われた奈良公園内を横切って春日大社に向かう。ここはチョッと距離があり20分くらい。途中、所々で神鹿と行き交うが全く人を恐れない。やがて高い木々に囲まれた参道に入る。開けた一角に在る、朱塗りと白壁の神殿や回廊が西日に映えて眩しいほどだ。
ここから、本来ならばバスを利用するほどの距離だが、陽気も良いので表参道を通らず公園内の小道を下り、鷺池・荒池を経て興福寺に向かう。池の先に五重塔が見えてくるが、風景の中にビルが全く入ってこない。ここら辺が京都と違うところだ。下りとは言え30分強時間がかかり、さすがに興福寺に着いたときは疲れがどっと出てきた。
到着したのは4時過ぎ。もう閉館時間も間近い。興福寺の本堂が修復中であることは事前に知っていたので、五重塔をデジカメに収め、国宝館へ直行した。
暗い回廊形式の小博物館。団体客は居たものの、遅い時刻が幸いし、“人垣の後ろから”というような混雑は無く、国宝の仏像の数々をゆっくり鑑賞できた。何と言ってもここのスーパースターは“阿修羅立像”、眉を顰めて何か苦悩するような少年の表情は、悪魔から転じた心の翳りを表すのだろうか?実はここで本物を見るまで、その顔が三面あることを知らなかった。裏の二面は横顔しか見えないが、少し表情を変えながら、やはりしかめっ面をしていることを写真で知った。
初日と最終日は移動が主体となる。それでも今回は道路事情にも恵まれ、2時半から5時前まで三ヶ所を訪れることが出来た。見所はまだまだ在るし、奈良観光を目的に再訪したいとの思いが沸いてきた。
興福寺の裏門から登大路の駐車場は直ぐだった。ここの駐車場は時間制ではなく1日単位である(千円)。広く、止めやすく、観光スポットへのアクセスも良く、おまけに県警本部が隣接する。長時間駐車で観光するには最適の駐車場だ。
帰宅ラッシュが始まる時間、カーナビの案内で5時JR奈良駅西口に在るホテル日航奈良にチェックインした。本日の走行距離、468.2km、計画(476.1)との差は県道80号線の効果だ。
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;久し振りの奈良観光-2)
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